トッテナム戦から見えてきたこと
サンビ・ロコンガ
アルベルト・サンビ・ロコンガが昨日の試合で先発したのはうれしい出来事だったし、彼にとってはこの試合はオーディションのようなものだった。
そして、もしそうだとすれば彼はこのオーディションを突破したといっていいはずだし、プレシーズンではあったものの、プレミアリーグのチーム相手に全く場違いには見えなかった。
もしあなたが、私と同じようにアーセナルの開幕戦をジャカとエルネニーという中盤のコンビで迎えるかもしれないというアイディアにうんざりしていたとすれば、この試合はポジティブなものだった。
ロコンガはボール扱いは丁寧で、読みも良く、ブレントフォード戦でデビューを果たすのに支障はないと監督を納得させるようなパフォーマンスを見せた。
ベン・ホワイト
アーセナルの守備陣は完ぺきとはいいがたかったが、新加入のベン・ホワイトは非常に良かった。
パブロ・マリのパフォーマンスが不安定だったこともあってより際立って見えたというのもあるが、ホワイトは常に前にボールを出すことを狙っており、ボールの持ち上がりなど、なぜ我々が彼に50m£を支払うことにしたのかというのが垣間見えるプレイを見せた。
それだけでなく、いくつかの彼の1対1での守備は悪くなかったように思える。もちろんまだ評価を下すには早いが、昨日に関して言えば、好感が持てるパフォーマンスだった。
前線の火力不足
私は何度かプレシーズンでのオーバメヤンの得点力不足に関してジョークを言ってきたが、まず第一に、彼が左でプレイするのはもう見たくない、という点をもう一度主張しておこう。
昨日の試合に関して言えば、左サイドを務められるオプションが不足していたというのはあるが、オーバメヤンに関して懸念を抱かずにいるのは難しい。
最近の彼は何かを欠いているように見えるし、それがフィジカル面にしろメンタル面にしろ、素早くオーバメヤンがそれを取り戻してくれるよう祈るだけだ。
ラカゼットはハードワークをこなし、ポストを叩いた場面もあったが、彼にも限界がある。
ラカゼットが素晴らしいポストプレーを見せ、チームが左サイドにボールを展開し、ティアニーが素晴らしいクロスを・・・誰もいないところに向かって放り込んだ、という場面が昨日は見られた。
得点力を欠いたチームにはボックス内に走りこんでくれるストライカーが必要なのだ。低めのトップ下のように走り回る選手ではなく。
もちろんそれはビルドアップ時には有用だろうが、実際に得点を挙げるという観点からみると、相手のファイナルサードギリギリあたりで美しいプレイを見せても加点はない。
報道を見るに、アーセナルはFWの補強を求めているようで、その理由は明らかだ。
オーバメヤンはもう32歳だし、ラカゼットも30歳で、残り契約は一年しかない。得点力に関して言えば、彼は空中戦に強くない小さなジルーのようなものだ。
そして、その下の世代は非常に若い選手しかいない。
それでも私はサイドで上下動させる代わりにオーバメヤンを中央において、よりクリエイティブな選手をサイドに置く、という形が現状最適であるとは思っているが、その限界も明らかになりつつある。
いまだにチームはチャンス創出に苦戦しており、昨日の試合の公判ではほとんどチャンスを作れなかった。サカが登場するまで、これをなんとかしていようとしていたのはスミスロウ一人だけだったといっても良く、この2人がチームにいても十分ではなかった。
だからこそ、この夏の攻撃的MF獲得が非常に重要になってくる。
それがなければ、今季このチームは大きな改善が果たせるとは思えない。
実際のところ、我々は昨日の試合でまたしても、過去に一度もきっちりとはまったことのない3人を前線に配置して、昨季、そしてその前のシーズンにうまくいかなかったのと同じ組み合わせ、この24か月間その限界を露呈し続けている組み合わせで試合に臨んだわけだ。
同じ選手で同じことをしようとして、結果だけよくなることを期待するというのは無理というものだ。
移籍市場
これは昨日の試合というよりもこのプレシーズンを通して明らかになったことだが、チームにはさらなる獲得の必要性があるのは明らかだ。
補強に関して聞かれアルテタは
我々は手元の戦力を最大化しなくてはならず、ないものねだりをしても仕方がない。私は今チームにいる選手をよりよくし、試合を勝利に導くことに集中している。
と答え、第二GKについては
答えは同じだよ、今チームに揃っている選手で正しいことをし、チームを改善することを考えている。まだ移籍市場は開いているしね。
私にはアルテタはここまでの移籍市場でより多くの補強が実現できていないことに関してフラストレーションを覚えているように聞こえた。
昨季何度かアルテタはより高いクオリティの選手が必要だという点を強調してきたし、確かにここまで補強はあったが、まだアーセナルはいくつかのエリアで選手が足りていない。
特に控えGKの不在が深刻で、レノが倒れこんだ場面は不安な瞬間だったはずだ。一つのタックル、一つの捻挫、あるいは誰かがジャンプ中に彼をプッシュしようとしたりすれば、アーセナルは緊急事態に陥ってしまう。
もちろんマネージャーでもあるアルテタ自身の責任も少しはあるだろうが、以前移籍市場での責任は究極的にはテクニカルディレクターにあるとエドゥ自身が示唆していたし、ここまでのところ、開幕に備えてチームは万全だとは言えない。
もちろん移籍市場が閉まった時点で彼の評価をするべきだろうが、今週中に何かが起きない限り、GKを巡る状況は大きな懸念だ。エドゥには多くの仕事が残されている。
ジョー・ウィロック
デイビッド・オーンスティンによると、アーセナルは20m£を超える額でウィロックの売却を行うことが濃厚となっているようだ。
個人的にはウィロックより先に売却すべき選手は多いように思うが、ここまでのアーセナルの売却の苦戦の状況を見るに、ある程度仕方ないことではあるだろう。
将来的にこの売却は後悔することになるのではないか、という気がしなくもない。ウィロックはどちらかというとイウォビではなくエミ・マルティネスに感じられる。
もしアーセナルがウィリアン、ネルソン、エンケティア、セドリック、ベジェリン、メイトランド=ナイルズら-私が思うにクラブはもし可能であれば、ウィロックよりも先に彼らから売却したいと考えていたはずだ-の売却に成功していれば、アーセナルはウィロックの売却交渉においてより強気に出られる、あるいはローテーション要因として彼をチームに留めることすらできたかもしれない。
だが、その他の売却がうまくいっていないことで、それなりの条件のオファーを受け入れざるを得ない状況に陥ってしまった。
もちろんこれはそこまで悪くない条件だし、ウィロックの評価が今は非常に高い時期でもある。既にニューカッスルが欲しいクオリティを備えている選手だと証明されているからこそ売却がスムーズにいくというのはあるだろう。
だが、ウィロックがクラブを去ることにいくばくかの悲しみを覚えずにはいられない。
彼が昨季終盤のような得点をずっと続けると思っているわけではないが、今のアーセナルのように中盤の得点力がほぼゼロに近いチームにおいて、交代選手としてでも、ウィロックのクオリティは非常に役に立つものであるように思われる。
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