アーセナルはマルティネッリに賭けるべきか
来季に向けて、アーセナルのストライカー事情は複雑な状況となっている。
クラブはオーバメヤンに巨額をベットする決断を下し、昨夏高給による契約延長を行った。恐らくこれはそこまで賢い方針とは言えなかったと思うが、アーセナルは世界一賢い人々によって運営されているわけではない。
今後二年間はオーバメヤンはクラブに留まり、アルテタもこの契約にゴーサインを出したという事は、少なくとも来季は彼を中心に据えたチームを作らなくてはならない。
ラカゼットは残り契約が一年となっており、クラブ運営という点で見ると、賢明なのは彼に感謝を告げ、売却を考慮することだ。とはいえ、この夏アーセナルが買い手を見つけることが出来るかはまた別の話だ。
給与の高い30歳の選手であり、ラカゼットが契約満了までアーセナルに留まることになったとしてもサプライズではないだろう。
もしそうなれば、ラカゼットとオーバメヤンという2人合わせて100m£で獲得された選手がフリーで去る、という事態になってしまうわけだが、逆にアーセナルがラカゼットに買い手を見つけられたとして、クラブは彼の代役を獲得すべきだろうか。
どちらにしろ近い将来、アーセナルはFW陣を刷新しなくてはならない。理想を言えば、この夏アーセナルがラカゼットの代役を獲得するのであれば、若く、今季ローテーションオプションが務められる実力がありながらも、オーバ-ラカ時代の後の中心となれる将来性のあるストライカーを獲得するのが望ましい。
だが、そのような選手は高くつくだろうし、中盤とトップ下の補強がアーセナルにとっては喫緊の課題であり、これに加えて将来性豊かなFWを獲得するのは難しいかもしれない。
もしかすると、今季欧州コンペティションの出場権を獲得できれば、アーセナルは来夏より魅力的な移籍先となっている可能性もあり、来夏にストライカーの獲得を目指すのが良いかもしれない。
とはいえ、この夏ラカゼットが放出となれば、昨季55ゴールしか挙げられなかったチームに穴があくことになる。
フォラリン・バロガンはアーセナルの前線の将来を背負って立つ存在かもしれないが、来季の時点でいきなり彼に賭けるというのは時期尚早だろう。カップ戦での出場と、第3ストライカーとしてベンチ入りする、程度の役割となるはずだ。
エディー・エンケティアはアーセナルに将来があるように見えないし、恐らくクラブは彼を売却すべきだろう。
アーセナルはこれまで代役を確保できないことを恐れすぎて、あるいは移籍市場で解決しなくてはならない問題が多すぎることを理由に選手の売却をためらうことが多すぎるというのは課題ではあるが、ラカゼットを契約満了まであと一年手元に留めるのはオーバメヤンとバロガンの間を埋めるという意味ではよいかもしれない。
しかし、クラブに将来がない選手を契約の最後の日までクラブに留めるという失敗はアーセナルフロントが何度も犯してきたものでもある。
もう一つの解決策は、ガブリエル・マルティネッリを第二ストライカーに据えるというものだ。来季序盤で躓けばアルテタは解任の可能性があることを重々承知のはずだし、マルティネッリはセンターフォワードとしての経験が豊富とは言えないことを考えれば、これはギャンブルではある。
少しずつマルティネッリを中央で試しながらゆっくり適応させるのが理想だが、当然ながら問題は、例えば9月にオーバメヤンが怪我をしたとしたら、補助輪を外してマルティネッリをいきなりストライカーとして先発させなければならなくなるという点だ。
チームを引っ張るストライカー、そしてアーセナルのシーズンをマルティネッリの肩に預けるというのは大きな賭けだ。
だが一方で、これは大きな見返りが期待できる賭けでもある。もしマルティネッリが機能すれば、アーセナルはオーバメヤンとラカゼットの後任に巨額の投資を行う必要がなくなるのだから。
また、私は個人的にオーバメヤンをトップに据え、両サイドにペペとマルティネッリを置くのはフィニッシャー色が強すぎ、また技術面での不安かがあると考えているが、マルティネッリが中央でプレイするのであればエレガントな形でペペとの共存の問題も解決可能だ。
さらに、もしマルティネッリがサイドでも中央でもプレイできるのであれば、彼はオーバメヤンとペペ二人の控えが務められるようになるため、来季の出場機会は増加するだろう。
FBRefによれば、(サンプルとなる試合数は6.5と少ないものの)マルティネッリは昨季一試合平均3本以上のシュートを記録しており、彼の得点期待値とアシスト期待値の合計は90分当たり0.8でアーセナルの誰よりも高かった。
2位はエンケティアの0.78で、オーバメヤンは0.59(PKを除けば0.54)でラカゼットは0.6(PKを除けば0.49)だった。
もちろん出場試合数が少ないためこのスタッツは正確でない可能性もあるが、とはいえマルティネッリはマンチェスター・シティとユナイテッド、そしてチェルシー相手に先発しているのだ。
これらは一流のFWの数字といっても良い。
中央でストライカーとして起用された際に同じだけの数字が残せるという保証はないが、私には彼はルイス・スアレスのようにサイドでも中央でもプレイできるタイプの選手に見える。
もう少し練習を重ねれば彼はストライカーとしてプレイできるように思えるし、そうなれば、アーセナルは既にサイドにタレントを抱えていることを考えると、それがクラブにとっても最良の道ではないだろうか。
アーセナルが若手の才能にかけるか、それとも市場で解決策を見つけようとするか、というのは興味深い問題だ。
アルテタのここまでを見る限り、後者の方が可能性が高そうには思える。彼も自身の立場が一年前より不安定になっているのはわかっているだろうし、彼が突然リスクを冒すようになるところは想像できない。
恐らくこれは本来テクニカルディレクターの腕の見せ所で、短期的な監督の以降ではなく長期的なチーム事情を見据えて介入すべき場面だろう。
ただしここまで、エドゥはそのようなことを行うそぶりを全く見せてはいないが。
source(当該サイトの許可を得て翻訳しています):
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません