トーマス・パーティがアーセナルにもたらすもの
数か月間にわたって噂されていたトーマス・パーティのアーセナル移籍がついに決定した。
彼のサッカーキャリアは母国ガーナで始まり、オドメタFCのユースを経て2011年にアトレティコへと移籍した。マドリードでその本領を発揮するには少し時間がかかり、アトレティコのBチームやマジョルカ、アルメリアでのローンも経験している。
だがそれ以降はヨーロッパでも最高のMFの一人という評判を確立し、最終的にアトレティコでは188試合に出場、その活躍は世界中のトップクラブの目を引くこととなった。
トーマス・パーティの守備の特徴
パーティのボール奪取は非常に完成度が高い。サッカーIQの高さと試合を読む力、そしてそのフィジカルを活かして、彼を突破しようとする選手にとっては非常に嫌な相手となる。
守備時のポジショニングの良さもパーティの明確な強みで、相手のパスレーンをふさぎ、ライン間を狙ったパスをカットするのも得意だ。19/20シーズンは28度のインターセプトを記録しており、これはMFとしてはスペインで8位の記録だ。
そして、彼はタックルも大得意で、昨季CLの一試合当たりの成功タックル数では全体で7位につけている。
身長が185cmあるおかげで、地上空中両方のデュエルに強く、これに彼の絶対にあきらめない性格が加わり、中盤でのセカンドボール回収が非常に得意な選手となっている。彼の384度のボール回収という数字は昨季のリーグ11位の数字だ。
トーマス・パーティのボール保持時の能力
Iとはいえ、パーティはただ守備が上手いだけの選手というわけではない。その体のサイズにも関わらず、彼はボール運び時に非常に優美な動きを見せる。ドリブルで大きくボールを前に進める頻度も高く、これはアーセナルのカウンターの脅威を増すだろう。
昨季パーティは一試合当たり1.6度という成功ドリブル数を記録、リーグ28位だが、これは守備的MFとしては非常に優秀な数字だといえるだろう。
さらに、彼のボール運びと体の使い方は非常に巧みで、ビルドアップ時にプレスがかかった状態でもボールを受け、そのままそれを前のスペースへと供給することが出来る。
積極的にボールを受け取り、プレイに関わっていくのを好む選手で、昨季のCLでは一試合当たり62本の平均パス数を記録した。これは、シメオネのスタイルを考えるとかなり多いといえる。
もちろんパーティはボールをつなぐためのパスだけではなく、危険なエリアにチームメイトを送り込むパスも出せる。昨季のCLで彼は71本のプログレッシブパスと65本のファイナルサードへのパスを記録しており、これはそれぞれ7位と6位の数字だ。
トーマス・パーティがアーセナルで務められるポジション
ここまでで、パーティがボックストゥボックス型のMFとしても、守備的MFとしても非常に高いレベルでプレイできる監督にとっては夢のような選手で、アルテタのアーセナルに戦術的柔軟性を与えてくれるというのがわかったと思う。
彼ならジャカやセバージョスの相方として守備的MFを務めることはたやすいだろう。実際にアトレティコでも2人の中盤のうちの一人を任されることは多かった。
あるいは彼のボール扱いの上手さを活かしてより前で、3人の中盤の一員として自由にボール奪取に動き回る役割や、ボックストゥボックス型として攻撃にも貢献することも出来るはずだ。
またパーティは時折臨時の右サイドバックとしてもプレイしており、もしアルテタが4バックを採用するのであれば、右のCMFとして完璧な候補のはずだ。
ジャカが左サイドで行っていたように、ビルドアップ時にはベジェリンの後ろに入って彼を前に押し上げるような役割を果たすことも出来るかもしれない。
あるいは、単独で中盤の底を預かるアンカーとしてもプレイできるだろう。自身のボックスのすぐ外でボールを預かり、ドリブルとパスを駆使してボールを中盤に運ぶのは彼の得意分野だからだ。
プレッシャー下でのパス数でも昨季スペインリーグ15位につけており、プレスを受けても落ち着き払ったプレイが出来るのはアルテタの後ろからつなぐスタイルとマッチしている。
対戦相手が低くブロックを構えて守備してくるような試合では、彼がフィルターとなり、セバージョスをより高い位置に送り込むようなスタイルが良いかもしれない。
パーティのフィジカルとボールをキープする能力は強豪相手の試合ではよりアーセナルに試合をコントロールする力を与え、そしてカウンター耐性が高くなるはずだ。
このガーナ代表の副キャプテンは既にプレミアリーグ最高峰のチームと十分に戦えることを示している。昨季のCLではリバプール戦でホームアウェイ共に素晴らしい活躍を見せ、ホームでの試合ではマンオブザマッチも獲得した。
この日彼の守備の活躍は特に素晴らしく、11度の1対1勝利、5度のタックルそして12度のボール回収に成功したのだ。
アトレティコ時代のチームメイトであるキーラン・トリッピアーもトーマス・パーティのプレミアリーグでの成功を確信しているようだ。
『彼は信じられない選手だ。フィジカルの強さに、相手の攻撃を破壊する能力。技術面でもすべてを備えている。彼は一緒にプレイした中でも最高のMFの一人だし、英語もうまい。彼がプレミアリーグで苦戦するとは思えないよ。』
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トーマス・パーティの選手紹介記事はこちら
ディスカッション
コメント一覧
「フィジカル的にスーパーでなくともMFはできるはず」とベンゲルがが考えパスサッカーなるものを追求し始めたのはビエラがいなくなってからだった。実はその念頭にあったのはセスクよりむしろ、ウイルシャー、ラムジーだったと思う。今回のパーティー獲得も同じ文脈とみます。つまり素晴らしい才能を持った英国籍選手たちに良い影響を与えると思います。…この決定を「出来た」アルテタがした。
トーマスの寄せの速さ強度、守備範囲の広さはそれこそヴィエラを彷彿とさせますが
ヴィエラのような変態的なテクニックでなく、より基本に忠実なテクニックは感じるし、
特筆すべきはボールを奪った後のプレーの正確さですね
トランジションで奪ったあと一番狙われるのを回避するのが非常に上手いです
ジャカほどの特殊能力的なロングキックではないものの、大外に振る精度の高いキックは持ってるみたいですね
ヴィエラほど相手ボックスに影響与えるかはわかりませんが
前節のエルネニーのように、ペペベジェリンを起点に引いた相手にもギャップを作って
後方からタイミングよくスペースに侵入していくパターンが出来つつあって
そこでトーマスがどんなプレーを見せるかですね