ペペの話 後編
(この記事は昨日の前編の続きとなっています)
やはり、ここでも大きな問題は、彼にとって最適なポジションでプレイするより序列が上の選手が既にいることだろう。
エジルがライン間を行き来する自由を与えられている。ペペはトップ下ではないが、リール時代はよく非ボール保持時にチームがボールを奪取した瞬間にすきをつけるようにハーフスペース側に入り込んでくることが多かった。
今のアーセナルでは、トップ下がこのようなポジションを取る。一方で、ペペは大外で待機させらられている。
サイドで張って待つことのもう一つ問題点は、ボールを受けたとしても、ゴール前まで運ぶうえでの障害が多くなってしまうことだ。
まず相手のサイドバックとウイングを相手にしなくてはならないし、もし仮にペペが彼らを突破することに成功したとしても、ペナルティエリアに侵入するには、その後ろに控えている相手のCBと、場合によっては戻ってきたボランチまで相手にしなくてはならない。
また、エジルが右に流れるので、相手のマークもそれについてくる。ペペが密集地帯でプレイしなくてはならなくなることもしばしばだ。
もちろん、部分的にはこれがサカやマルティネッリ、オーバメヤンといった左サイドの選手が活躍できる理由でもあるのだが。アーセナルは右に相手を集めて左を自由に使うという戦術をとっているのだ。
どうやらアーセナルはラカゼットやオーバメヤンを擁する攻撃陣にどうやってペペをフィットさせるのかということをきちんと検討しないまま大枚をはたくことを決断してしまったようだ。
最近いくつか言い訳がましいインタビューを発表していたウナイ・エメリも明確に、ペペの獲得は彼の決断ではなかったと発言している。
『ニコラ・ペペはクラブ主導の獲得で、まだまだ適応に時間が必要だった。もちろん、クラブのやり方を批判したいわけではないよ。それがルールだし、過去にはこのような決断によって私が利益を受けたこともある。』
その結果、歴代移籍金記録1位の獲得はその1シーズン目を棒に振りかけているが、アーセナルの経営状態を考えると、彼らにはこの獲得を失敗に終わらせる余裕はない。
そして、今の状態がずっと続くと悲観的になる必要もない。
パブロ・マリの獲得はペペにとっては非常に興味深いものになるだろう。左サイドから右に斜めのパスを出せるセンターバックの存在は、ペペがより受けやすい角度で、かつ素早くボールを受けることを可能にするだろう。
ルイスやムスタフィも縦パスを出すことができるが二人とも右利きで、そのためロングパスは左に向かって出されることが多い。
オーバメヤンのアーセナルでの時間はあまり長く残っていなさそうで、夏に移籍することになれば、監督はペペやマルティネッリといったアーセナルの中長期的な将来を担うであろう選手たちを軸に据えた攻撃を構築することになるだろう。
当然ピッチ上での問題だけではなく、ロンドンでの生活への適応や、ビッグクラブでの文化に慣れること、英語学習など、いろいろな課題があったはずだ。
今後のペペの活躍のためには、スタイル面での適応と状況判断力を磨くことが必要だ。
だがそれ以上に、アーセナルの上層部は、大金を選手の獲得に支払う前にきちんと考えなくてはならないということを学ぶべきだ。
(Source: https://arseblog.com/2020/03/pepe-talk-2/ )
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