アルテタが設定した明確な基準
“『私が学んだのは、時には厳しくあらねばならないということだ。私はアーセナルを本当にリスペクトしているし、私自身が監督の椅子に相応しいと思っていなければ、このポジションを受け入れたりはしなかっただろう。
まず、チームのエネルギーを変えなければならない。選手たちには異なるアプローチ、異なる考え方を受け入れてもらわなくてはいけない。誤った文化が根付いていると、クラブ全体が揺らいでしまうからね。』
ミケル・アルテタは彼の就任会見で上のように述べた。アーセナルの文化を変えることが、重要な課題の一つだと指摘したのだ。そしてこれは、多くの人が賛同したことでもあった。
何人かが、アーセナルの環境は快適すぎると話していたし、チェフは、以下のよう痛烈にチェルシーとアーセナルの違いを指摘した。
『チェルシーでは、ホームであれば相手がビッグチームだろうと引き分けてしまった翌日には、ロッカールームは葬式のようだった。絶対に勝たないといけないという空気があった。
だが、アーセナルでは、もちろんアーセン・ベンゲルは他の誰よりも負けず嫌いだとは思うが、結果に関係なく、彼はずっと紳士だった。
勝っても負けても次の日が普通に訪れるというのは私は経験したことはなかった。したがって、奇妙かもしれないが、アーセナルにはプレッシャーが足りていないというのは言えるのではないかと思う。』
この点はウナイ・エメリも認識しており、彼も文化を変えようとしていた。彼がまず行ったことは、ヨーロッパリーグなどの試合でも、チームの主力を帯同させることだった。
個人的には私はこれを良いアイディアだと思っていた。彼らはもはや"カップ戦なのでゆったりできる休日"を得ることはなかった。
だがそれ以外のエメリの方策は上手くいかなかった。毎日練習場に顔を出しているわけではない外部の人間が実情を探るのは難しいが、エメリとエジルのいざこざは、エメリに一方的に非があったというわけではないのだろう。
だが、この戦にエメリは最終的に敗れてしまった。
また、これに加えて混乱を招く戦術的な指示や、コミュニケーション力が不足していたこと、またキャプテンの選考などといったシンプルな問題の対処を誤ったことで信用を失っていった。
エメリは自身の権威を確立するためにエジルとラムジーを外す、という策に打って出たが、最終的に勝ち点を得るために彼らをチームに復帰させたことで彼の権威はより低下してしまった。またしてもエメリは敗北してしまったのだ。
とはいえ、エメリには威厳が足りず結果的には失敗に終わったが、彼がアーセナルの文化を変えようとしたことは間違っていなかったはずだ。
近いうちに、アルテタがそれを証明してくれるだろう。アルテタのプロジェクトが成功であると断言するにはまだ早いが、彼が開口一番、チームの文化、彼の言い方を借りるのであれば『エネルギー』について話をしたのは興味深い。
チームが今後成功に向かうかどうかは別として、アルテタは既にアーセナルに新たな民主主義的なシステムを導入することに成功した。
彼は就任会見で『ゼロからのスタート』についてもコメントしていた。
『選手たちは、それがネガティブなものだろうと、ポジティブなものだろうと、過去の行いで判断されることはない。
これからの毎日が重要で、私は選手たちが正しい態度で、毎日良いパフォーマンスを見せることを期待している。これをしてくれれば、彼らにはプレイする機会が与えられるし、これが出来ないのであれば、チャンスはない。』
このような明確なメッセージはエメリの遠回しな言い方とは対照的だった。
さらに、アルテタはこの言葉に忠実だ。彼の就任前にはジャカとムスタフィはチームを外れつつあったが、そこから6週間がたち、彼らは先発に名を連ねている。
既にクラブを去りたいという意志を明確にしていたジャカを即座にアルテタは再びチームに組み込んだ。また、私はボーンマス戦前(ムスタフィがミスをしたチェルシー戦の次の試合)の記者会見に居たのだが、アルテタのムスタフィに関してのコメントは少し驚きだった。
『ミスの後、ムスタフィはそれを引きずって消極的なプレイを見せたりはしなかった。積極的にタックルに行き、ライン上に体を投げ出した。落ち込んでいたが、間違いを正そうとトライしたんだ。彼はこの状況を乗り越えることが出来るだろう。』
質問はアルテタがムスタフィを非難するよう誘導するような形だったが、彼はそうはせず、ムスタフィの精神的な強さを称えることを選んだ。そして、これ以来ムスタフィは全試合に出場している。
アルテタは、自身が就任会見で口にした通り、監督の要求を満たす選手にはチャンスを与えるという方針を忠実に守るつもりでいるようだ。
彼の行動がそれを裏付けていることも、その言葉を重みのあるものにしている。これに関しては、アカデミーの選手たちも例外ではなく、最近アルテタは『もし選手がこのサッカークラブで先発に値するパフォーマンスを見せているのであれば、アカデミーの選手だろうと起用する』とコメントした。
ブカヨ・サカはポジションをキープしているし、エンケティアは直近の3試合のうち2試合で先発した。一方で、ナイルズはメンバーを外れている。
ゲンドゥージも当初はメンバーを外れていたがFA杯のボーンマス戦でよいパフォーマンスを見せた結果、バーンリー戦での先発を勝ち取った。
しかし、先週末再びゲンドゥージは態度面での問題からチームを外れた。これによって空いた座を勝ち取ったのはセバージョスで、アルテタは『彼は完全に練習の態度を変えて、今は動物のように必死に練習に取り組んでいるよ』と評している。
彼のコメントの通り、ドバイで練習態度が素晴らしかったセバージョスは即座にチームに起用された。ペペはバーンリー戦で1分も出場はなかったが、ニューカッスル戦では素晴らしかった。
試合後にペペの守備面での改善がアルテタが考えを変えた理由であると発言している。
このように、アルテタのやり方は明確で、一貫している。態度を良くし、ハードワークを続ければ、チャンスが与えられる。
まだまだアルテタは監督就任したばかりで、ファンや選手から好意的に見られがちというのはあり、もちろんこの後選手たちが監督に従うのをやめて反乱を起こすという可能性はなくもない。だが、少なくともアルテタのケースでは、彼のメッセージが明快ではないということは出来ない。
(Source: https://arseblog.com/2020/02/the-message/ )
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コメント一覧
ツェフの発言に疑問。勝てば何をやってもいいという発想である。実際キャプテンが相手を頭蓋骨骨折させその後ヘディングで得点している。EU離脱のため反対派の議員を殺したのとダブる。頼むから正気に返ってほしい。