アーセナルの左サイドの予測の難しさに関して

分析Tim Stillman,海外記事

ここ数シーズンのアーセナルの補強を見ると、ミケル・アルテタは大多数のサポーターが感じていることと同じことを課題と捉えているようだ。

ガナーズの右サイドは実にうまく機能している。

ホワイト、ウーデゴール、サカのトリオは数年前からずっと安定しているし、ユリエン・ティンバーもまた、その枠組みに違和感なく組み込まれた。

このサイドは補強のペースも安定している。ティンバーは2023年の夏に加入し、今夏獲得したマドゥエケはサカの控えだが、サカの長期離脱などがなければ左でプレイすることの方が多くなるだろう。

イーサン・ヌワネリもアカデミーから台頭し、右サイドのオプションとなっている。

アーセナルの右サイドで大幅なテコ入れはほとんど見られない。

その一方で左サイドに目を移すと、この夏左サイドバックだけでもキーラン・ティアニー、ヤクブ・キヴィオル、オレクサンドル・ジンチェンコが去った(ここに冨安も含められるかもしれない)。

昨夏カラフィオーリを獲得しただけでなくルイス=スケリーも台頭し、そして今夏にはピエロ・ヒンカピエが獲得された。

さらにより前のポジションでは、デクラン・ライスとカイ・ハヴァーツが2023年にグラニト・ジャカの代役として加入し、2024年にミケル・メリーノ、今夏にはエベレチ・エゼも加わった。

この夏良いオファーがあればマルティネッリかトロサールのどちらかの放出をアーセナルは検討していたはずで、ファビオ・ビエイラは2年連続でローンに出された。

さらに言えば、左インサイドハーフとしてプレーしていたサンビ・ロコンガと左サイドバックのタヴァレスも、この夏完全移籍でクラブを去った。

アルテタとスタッフがどこをいじり続けてきたのかは一目瞭然だ。彼がミハイロ・ムドリク獲得を試みてから2年半が経ち、また最終的にジンチェンコ獲得に動く前にはリサンドロ・マルティネスを望んでいた。

現在のスカッドでは、アーセナルはエゼ、トロサール、マルティネッリ、そしてマドゥエケの4人の経験豊富な左ウイングでプレイできる選手を抱えている。

カラフィオーリ、ルイス=スケリー、ヒンカピエの3人の左サイドバックもいる。ライス、ハヴァーツ、メリーノの全員が左8番でプレイ可能だ。

これだけの人数は流石に少々過剰かもしれないが、一方で、昨季の後半アーセナルのベンチがいかに薄くなっていたかを考えるとここまで余裕があることに感謝もしたくなる。

だが、一つ言えるのは、アーセナルは右サイドにこれほどの人数を抱えてはいないということだ。

これは二通りの見方が出来る。

悲観的に見るのであれば、アルテタは右サイドで構築できている明確なファーストチョイスや継続出来るパフォーマンスを左では得られないと考え、ジャクソン・ポロックのように絵の具をキャンバスに投げつけ、いつか正しい色の組み合わせが現れるのを期待しているだけだ、と言えるかもしれない。

より好意的に見れば、アルテタはこちらのサイドで予測不能性を築こうとしており、左サイドが十分に生産的でなかったことを認めたうえで改善に取り組んでいるのだと考えることもできる。

例えば、インカピエの獲得とエゼの獲得は強く結びついている可能性がある。

彼はカラフィオーリやルイス=スケリーよりもオーバーラップするタイプのサイドバックで(彼らも必要があればその役割を果たせるとは思うが)、エゼはより中央寄りのエリアを好む。

これまで数シーズン、マルティネッリとトロサールは基本的にビルドアップの間再度ライン際に位置するよう求められてきた。

マルティネッリも、インカピエの加入により、その方が彼のスタイルに合っているのではないかと思われるより中央寄りの位置で、インサイドFWのスペースに移ってその恩恵を受けるかもしれない。

最終的にアルテタがサイドバック、左ウイング、左CMFの3人を特定の組み合わせで固定するかどうかは興味深い点だ。

例えば、ノニ・マドゥエケが左サイドでプレーする際には、彼はより大外でのプレイに向いており、ルイス=スケリーやカラフィオーリのような中へ絞るタイプの左サイドバックと良い連携を築ける可能性がある。

個人的にはエゼは主に左ウイングでプレーするために獲得されたのだと思っている。なぜならここが最も明白に補強の必要が感じられたポジションだったからだ。

デクラン・ライスのポジションは同じような意味で空いているとは思えない。

加えて、マルティン・スビメンディの加入により、アーセナルは中盤の布陣も微妙に調整を行っている。

ライスとスビメンディが頻繁にポジションを入れ替えながらセンターバックからボールを受け取る形は、より流動的なダブルボランチに近い。

スビメンディには明らかに状況に応じてプレスに参加する自由を与えられており、配球もパーティやジョルジーニョより多彩だ。

この結果、もしかすると、左8番の役割はこれまでほど常にチームに不可欠ではなくなるかもしれない。

ハヴァーツとメリーノはこのポジションだけでなく、センターフォワードとしてもプレーしている。

左サイドには過剰なほど多くのオプションと組み合わせが存在し、右サイドではホワイト/ティンバー+ウーデゴールとサカの組み合わせが、コンディションが許せば常に起用されるのは明らかなのと対照的だ。

問題は、この流動性と予測不能さがアーセナルの対戦相手にとって脅威となり、アルテタのチームを柔軟で読みづらく、ベンチから即座に変化を加えられるものにするかどうかだ。

あるいは逆に、チームを混乱させ、味方にとってもに予測不能な存在になってしまうのだろうか。

この問いへの答えがどちらに転ぶかが、アーセナルが栄光への最後の一歩を踏み出す準備ができているかどうかを大きく左右することになるだろう。

source(当該サイトの許可を得て翻訳しています):

関連記事(広告含む)

Posted by gern3137