解決しなくてはならないアーセナルの攻撃の3つの課題
実質的に今季のアーセナルがプレミアリーグで望みうる最良の結果は、3位をある程度引き離して余裕をもって2位でシーズンを終えること、になってしまった。
もちろんアーセナルがこのような状況に陥ったのはこれが初めてではない。2000-01シーズン、既にイースターのころにはマンチェスター・ユナイテッドの優勝が決まってしまっていたが、その後アーセナルは忙しい夏を迎え、翌シーズンダブルを成し遂げた。
昨季リバプールは最後は優勝争いに絡めずに3位だったが、今季は似たようなことを成し遂げている。
早々に優勝の見込みが薄くなってしまうというのは、盛り上がりには欠けるが、チームの次のステップを考える時間が与えられるという意味ではポジティブな面もある。
アーセナルが攻撃陣に多くの問題を抱えていることは明らかだ。今季に関してはその多くは怪我に起因するものだが、それが全てというわけではない。
仮に離脱者が一人もおらずチームに揃っている状況でも、アーセナルは夏に攻撃の補強を必要としているだろう。
アーセナルが冬に全く獲得を行わなかったというのは夏に大型補強のつもりがあり、それに影響を与えたくなかったからだ、と推測するのは少々楽観的過ぎるだろうか?
今回の記事では、アーセナルが夏に答えを見つけ出す必要のある前線の3つの問いを見ていこう。
アーセナルは左サイドからもチャンスを生み出せるか?
最近のアーセナルで最も議論の的となっているのは『左8番』のポジションだろう。その最大の理由が、我々ファンがいまだにこのポジションの選手に課せられた役割が何なのかを100%理解できていないことだ。
最初のこのポジションでプレイしたのはグラニト・ジャカで、その後ハヴァーツが起用されたが彼は偶然重要なセンターフォワードになってしまった。そのためメリーノが獲得されたが、怪我などもあり少し適応に時間がかかり、結局我々はまだ理想の左8番像を描けていない。
昨季はデクラン・ライスがこのポジションでプレイすることもあり、アルテタはこの位置に背が高く、空中戦含めてデュエルに多く勝利できる選手の起用を好む。
だが、それがアルテタの狙い通り理想的な形で実現するところをまだ見られていない、と言っても差し支えないだろう。
アーセナルが夏にストライカーを獲得した場合(もちろん、絶対にすべきだ。ジェズスもケガしており、このポジションはそもそも質以前に人数も足りない。)、再びハヴァーツがこの位置でプレイするのだろうか?
もしかすると、新たなストライカーとその少し後ろ控える8番のハヴァーツ、と組み合わせが新たなアンサンブルを奏でてくれるだろうか?
だが一方で、各所で書かれている通り、現在のアーセナルでは積極的にチャンスを生み出せる選手がウーデゴールたった一人のみとなってしまっており、彼が不調の時には攻撃が上手くいっていない。チャンス創出も可能な坂の不在も事態を悪化させている。
スミスロウとビエイラの放出に踏み切ったことで、今のアーセナルにはクリエイティブな中盤のオプションが全く存在しなくなってしまった。
アルテタがこの2人の選手をこのポジションに置くことを望んでいなかったのは明白ではあるが、アーセナルは彼らに代わって誰か左8番としてプレイできる選手の獲得に動くだろうか。
アーセナルはウーデゴールの負担を和らげることが出来るようなクリエイティブなMFをもう一人左にも配置することを検討すべきかもしれない。
それとも単に、メリーノとハヴァーツの二人のデュエル勝利型のセカンドストライカータイプの選手がアーセナルの攻撃を活性化してくれるだろうか?
だがそれならば、アーセナルはもう少しチャンス創出も期待できるような左ウイングの獲得も検討すべきではないだろうか?
ピッチのこのエリアは、アルテタのアーセナルにおいていまだに未完成となっている重要なパズルのピースだ。
中央からの攻撃とシュートの威力
アーセナルの攻撃は右に偏りがちだが、チーム最高の選手が右でプレイしているのを考えれば、彼に出来る限りボールを渡そうとするのは当然ではある。
だがアーセナルはもう少し攻撃にバリエーションが必要だろう。今のアーセナルは中央からあまりチャンスを生み出せていない。FBrefのデータによるとアーセナルの90本当たりのシュート数はリーグ9位、xGは8位となっている。
アーセナルはゴールエリア内からのシュートがリーグ1多いチームだが、それより外のボックス内、そしてボックス外からのシュートはそこまで多くない。
これはアーセナルが攻撃時に、相手のブロックを回避しながら最後にそこに侵入を試みていることを示している。もちろんこれは良い戦略ではあるが、時折アーセナルはこれ以外に相手を攻める形がないようにも見える。
ちなみに、ゴールエリア外のボックス内からのシュート数がリーグで一番多いのはリバプールで、アーセナルより90分当たり約2本多い。
そして、アーセナルが獲得に動いているFWはこのことも念頭に置いて選ばれているようにも見える。そこまでシェシュコのことを良く知っているわけではないが、ハイライトを見る限り彼は『ゴールに向かってとりあえず強いシュートを放てる』タイプの選手に見える。そして、これは実際に今のアーセナルに欠けている要素だ。
シェシュコは直近の2シーズンで90分当たり約2本のシュートを放ち、平均距離は14.7ヤード、オリー・ワトキンスは3本以上放ち平均距離は12.4ヤードだ。
アーセナルは裏に抜けることが出来るのに加えて、そこまでゴールから近い位置でなく、PKスポットくらいの距離からも多くシュートを放てる二人のストライカーの獲得に動いていたわけだ。
もちろんまだ安心するには早いが、これを見るに、恐らくアルテタは攻撃にもう少しバリエーションを加えたいと考えているだろう。アーセナルが夏に獲得するであろうFWは裏に抜け出すことができ、中央からシュートを放てる選手である必要がある。
次世代のスターの起用場所
アーセナルはどうすればサカ、ウーデゴール、ヌワネリの三人を起用できるか、という問いは非常に興味深い。
ここまでの所、ヌワネリに最も適しているポジションはサカと同じく右サイドに見えるが、一方で将来的にはウーデゴールのポジションの選手として花開く可能性もありそうだからだ。
どちらにせよ、ここまでトップチームでプレイしてきたポジションでヌワネリがプレイを続けるとすると、アルテタは頭を悩ませることになるだろう。
サカの左サイド起用?ウーデゴールをより深い位置に?あるいはそのまま左8番に?ヌワネリが左サイドでプレイできる可能性もある。
これらの選択肢のどれも可能性がありそうだが、恐らくアーセナルにとっての理想的なシナリオは、ヌワネリがストライカーとして成長してくれることだろう。
夏にもう一人ストライカーを獲得したとしても、ジェズスが契約延長となるとは考えづらく、アーセナルは依然としてこのポジションに穴を抱えている。
そして、ヌワネリがストライカーとしてプレイしてくれるのであれば、問題なくサカとウーデゴールと共存させることもできる。
更に、ヌワネリは、上で今のアーセナルの選手には多くないと述べた『ゴールに向かってとりあえず強いシュートを放てる』選手でもある。
もちろん、チームにとって一番都合の良いポジションであるからといって、選手の将来のポジションの見極めを焦りすぎてはいけないし、いずれにせよ現時点ではまだ不確定要素が多すぎ、もう少し時が進んでからこの決断は下されることになるだろうが、サカ、ウーデゴール、ヌワネリという三人のスターがどのような軌道を回るのかは楽しみに注目していきたい。
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