アーセナルの補強に見るプレミアリーグの優勝を争うスカッド作りの難しさ

分析Tim Stillman,海外記事

私は今季、既にアーセナルの攻撃に関するコラムを10本書いている。先週はイーサン・ヌワネリのストライカー起用についても書いた。

アーセナルの攻撃をどのように強化すればいいのか、というのはもうずっとアーセナルファンが頭を悩ませている問いだ。

サカの離脱も加わり、この冬クラブが全力で何か手を打つ必要があることに疑いの余地はない。ミケル・アルテタ本人も『我々は開幕時点で既にプレミアリーグで最も層の薄いチームの一つだった』ともコメントしていた。

更にアルテタはアレクサンダー・イサクについても『チームに素晴らしいクオリティの選手が前線に居れば、違いをもたらすことが出来る。』とも話した。

そのあとアルテタは珍しくマルチクラブオーナーシップの話までしたが、これはクラブ上層部へに向けての一種のメッセージにも見えた。もちろんこれは良くあることで、特に騒ぐほどのことではないが、もしかするとエドゥが居なくなったことで、アーセナルは現場と上層部を正しい強度で繋ぐことのできる人材を一人失ってしまった。

また、夏には元CEOのヴィナイもクラブを去っている。

夏の移籍市場でアーセナルは一人獲得するためには一人の放出を行う、という方針を採用していたように見え、スミスロウやビエイラ、ネルソンといった選手たちを放出した。

報道によると、誰かの放出が決まる前にリカルド・カラフィオーリの獲得をクラブに説得するのにアルテタはかなり苦労し、レアル・マドリードがカラフィオーリ獲得に動いて初めてアーセナルは動いたそうだ。

恐らくアーセナルの上層部は、カラフィオーリを獲得する前に、ジンチェンコなど、誰か左サイドバックを一人放出することを望んでいたのではないだろうか。

確かに夏にカラフィオーリとメリーノを獲得する、というのは効果的な移籍金の使い方だったのだろうか、というのはフェアな問いではある。

どちらかというと、良いアタッカーがあまり市場に出ていなかった、という状況を鑑みてのものではあっただろうが。

アーセナルはアタッカーではなくDFの獲得が多すぎるのではないか、という批判もわかるが、これもある程度は市場の動向に左右された結果ではあるだろう。

基本的にDFの移籍金はMFやFWより安くなることが多く、そのため比較的低リスクな獲得だ。もしアーセナルが攻撃陣でガブリエル、カラフィオーリ、ティンバー、ホワイトと同じようなステータスの選手を獲得しようとすれば、移籍金は2倍にはなっていたはずだ。

だが問題は、今のアーセナルはついに、持ちうる全ての財力をアタッカーの獲得に費やさなくてはならないところまで来てしまったという点だ。

ファーストチョイスの選手たちの最高到達点を上げるだけでなく、2番手3番手の選手たちの質を上げるためにもアーセナルは移籍金を費やす必要がある。

これが良いニュースと言えるかはわからないが、アーセナルは遅かれ早かれどこかのタイミングでアタッカーを少なくとも二人獲得しなくてはならない状況にある。

トロサールはもう30歳だし、ジェズスのアーセナルでの長期的な将来も不透明だ。スターリングのローンも夏で終了する。

選手層という点では、アーセナルが仮に冬に誰か獲得できたとしても、それが夏に、もう一人アタッカーを獲得することの障害となることはないだろう。

だがもちろん、アーセナルに何が必要か、何を望んでいるかと、それが実現するかどうかはまた別の問題だ。

また、今季に限ってみれば、前線の層を厚くするような補強がそこまで劇的にアーセナルの攻撃を変えてくれるかどうかはそこまで自信が持てない。

ハヴァーツ、ジェズス、マルティネッリ、トロサール、スターリングといった選手は今季は在籍しているわけで、サカの怪我により理想より一人少ない状況ではあるが、長期離脱が予想されるのは一人だけで、サカの怪我の期間次第でもあるが、絶対的に人数が足りていないというわけではない。

そして、彼らは皆、程ほどに良い選手たちだ。問題は安定して試合を勝利に導けるようなパフォーマンスを見せられる選手がいないという点で、人数が足りないのが問題ではないのだ。

ただ、彼らはどちらかというとみんなサポートキャストで、アーセナルはもう一人スターを必要としている。

もちろん、1シーズンに勝ち点90を積み上げられるようなチーム作りは非常に難しい、という前提はある。昨季リバプールのシーズンはサラーがAFCONでハムストリングの不調を抱えて帰ってきたというだけで上手くいかなくなってしまった。

今季のロドリを欠くマンチェスター・シティでも似た現象が起きている。

一旦アーセナルファンとして自然な感情を脇に置いて今季のチームを眺めてみると、アーセナルはマンチェスター・シティや過去に主力をケガで書いた際のリバプールよりもうまく選手の離脱に対応できている。

リバプールが最初にシティとタイトル争いを演じた2018-19シーズンから、リバプールのリーグ順位は2位、1位、3位、5位、3位となっている。どの年に主力の怪我があったのかはわかりやすいだろう。

彼らもまた完璧なスカッドを備えているわけではない(アーセナルの攻撃陣が万全と言えないように)。

リバプールは一年でヘンダーソン、ファビーニョ、ミルナーを放出し、一気に中盤を再建する必要があった。そして、今年もまた、彼らのチームでベストな選手何人かが契約満了による夏の退団に近づいている。

プレミアリーグで優勝を争えるようなチームを組み立てるのは非常に困難なのだ。

アーセナルもまた、再び獲得においてある程度のギャンブルを行う必要がある時期に差し掛かっており、その結果はそこまで心配しなくても良いだろう。

確かにそれが失敗に終わった際のリスクはある。高額な移籍金で獲得したペペ-ラカゼット-オーバメヤンというトリオの前線が思ったように機能せず、また移籍金も回収できなかった、という失敗の代償をアーセナルは数年かけて払うことになった。

一方で、2022年の夏にアーセナルは当時は高額すぎるように見えた、レアル・ソシエダ所属のアレクサンダー・イサクの契約解除条項を支払わない、という決断もくだした。

こういった高額補強を成功させるのは非常に難しい。現実的に獲得可能な選手が少ないことに加え、エドゥの不在もあり、アーセナルの冬の移籍市場が難しいものになるのは間違いない。

だが今のアーセナルには、ここで今季が崩壊してしまうことを防ぐために、全力で何かしらの方策を見つけようとする以外に選択肢はないだろう。

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Posted by gern3137