【戦術コラム】機能し始めたアーセナルの攻撃とブカヨ・サカの1対1

分析Tim Stillman,海外記事

チームメイトを助けるためには近づかなくてはならないと思いがちだが、実は、離れていくのが最も助けになる。もし私がボールを持っていたら、1対1を作ってもらった方が良く、そのためにはチームメイトが私から離れてくれた方が良いのだ。

これは有名なヨハン・クライフの言葉だが、その通り、もし1対1をしかけられるチームメイトが居るのなら、彼から距離をとり1対1を仕掛けさせてやった方が良い。

そして、マルティン・ウーデゴールはどのようなタイミングでブカヨ・サカから離れるべきなのかを完璧に把握している。

ノッティンガム・フォレストのアプローチはあまり整っていたとは言えず、これがアーセナルにとって有利だったのは間違いない。ハドソン=オドイはかなりティンバーに意識を引っ張られていたにもかかわらず、あまりタイトにマークすることができていなかった。ここに中に入って相手を引き付けるウーデゴールも加わり、何度もブカヨ・サカは相手との1対1を作ることができた。

試合中にこのような場面が何度も見られるようであれば、相手チームの守備はうまくいっていないとみていい。

この場面では最終的にハドソン=オドイがサカに追いつき1対2で対応したが、その後ティンバーが裏へ抜けるような走りを見せたことで、ウーデゴールがボックスのすぐ手前のスペースでサカからパスを受け、スペースを得ることができた。

結果的にここから得点は生まれなかったが、この試合を通して、ウーデゴールがサカが使えるスペースを消してしまわないように、うまく距離をとることでサカが孤立した相手と1対1で勝負できる、という場面が何度も生まれていた。

もちろんアーセナルは常にサカを一人にしておいたというわけではない。サカが1対2で対応されている時、あるいは攻撃がボックスまでたどり着いたときには、サカがボールを進めやすいようにサポートしていた。

この試合のアーセナル全体でのオフザボールのランは素晴らしく、かつ回数も多く、絶え間なく行われていた。サイドで1対1が作れていなくとも、ボールを持った選手を味方が囲んで相手DFをかく乱し、空いたスペースに走りこむことができていた。

ここで、今度はもう一つ異なるクライフの言葉を見てみよう。

我々は小さなフィールドでたくさんの選手とプレイしているんだ。したがって、ボールを早く動かす必要がある。ほぼ常にワンタッチかツータッチの方が良い。だから我々は練習ではピッチの部分を小さく切り取って、早くボールが動いている状態での練習をするんだ。だから常に我々の選手たちは100%のスピードでプレイできる。

ワンタッチ、ツータッチ、素早いアクションと近い距離でのチームメイトによるタイトなエリアでのサポート、これはアーセン・ベンゲルのスタイルも思い起こさせる。

そして、フォレスト戦では何度かそのような場面が見られた。

上の画像は、まだゴールから少し距離はあるが、フィールドプレイヤー10人のうち7人が既に一つのサイドに集まっている。

また、一人も見方の横に位置している選手が居ないのも非常に重要なポイントだ。彼らは皆小さな三角形を作り、誰にボールを繋いでも横パスにはならず、必ず縦か斜めのパスになる形となっている。

このため、タイトなエリアでもボールを素早く前に進めることができる。

結果的にこの場面ではメリーノがボックス手前でウーデゴールへのパスの強さを少しミスしてしまいうまくいかなかったが、それ以外にも何度もこのような場面は見られていた。

例えばこれは前半のより早い時間帯、逆側の左サイドだ。

結局のところ、何よりも重要となるのは、相手を迷わせ続けることなのだ。

サカに一人でボールを持たせ続ければ、相手は1対2でカバーして、他のエリアを空けてしまっても良いのか考える必要があり、相手がどこまでついていくべきか迷わせる裏へのランもそれは同様だ。

もし相手が低く構え、タイトに対応する様子を見せるのであれば、さらに多くのアタッカーを前に送り、プレイのテンポを上げて相手を突破することもできる。

これらの使い分けやバランスがフォレスト戦のアーセナルは素晴らしく、この試合でのパフォーマンスは、アーセナルが相手の守備陣を攻略する必要がある際に、本来どの程度のレベルのプレイが見せられるのかの片鱗を示していたように見える。

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Posted by gern3137