補強を待たずにアルテタはアーセナルの攻撃を再活性化できるか?
夏の移籍でまず初めに、アーセナルはストライカーの獲得に動いた。ベンジャミン・シェシュコを獲得しようとしていたが、結果的に彼はライプツィヒに残留を決めた。
その後、彼以外のFW獲得に本格的に動いた形跡はなかったが、それでもアーセナルが移籍市場でどのような優先順位で動いていたかは明確だ。
アルテタが前線に何らかの補強を行う必要があると考えていたのは間違いない。
確かにガナーズは昨季91ゴールを挙げたが、これには降格圏に近いチーム相手の大量得点も含まれており、アーセナルが無得点に終わった試合も5あった。
もしヴィラパークやセントジェームズパーク、クレイヴンコテージであと1点が獲れていれば、タイトル争いの結果は違うものになっていたかもしれない。
また、アーセナルは欧州の舞台でもポルトやミュンヘンで得点を挙げられておらず、今季もアウェイで苦戦する傾向はアタランタ、インテル相手に続いている。
今季に関してはボーンマスとニューカッスル相手にも得点ができなかった。
また、アーセナルがシェシュコ獲得に動いていたという点から見えるのは、アルテタがストライカーにどのような選手を求めるかだ。
最近はジェズスではなくカイ・ハヴァーツがアーセナルの正ストライカーとなっているが、シェシュコはジェズスよりハヴァーツに遥かに近いタイプだ。
もし今季ハヴァーツが怪我で離脱などという事態になれば、アーセナルの前線は0から再び考え直す必要が出てきてしまうだろう。
アーセナルは前線の補強としてスターリングを獲得したが、シーズンが進むにつれて、アーセナルが単に、非常に金銭的な条件が良かったため消極的な理由で動いただけではないか、というのが明らかになりつつある。
もちろん、今夏前線のマーケットの状況はあまり良いものではなかった。シティはアルバレスを放出しながら特に代役を獲得せず、ジローナから、予定を一年早めてサビーニョを獲得することに決めた。
リバプールはフェデリコ・キエーザを獲得したが、この獲得はアーセナルのスターリングと似た雰囲気がある。
ここまで彼は途中出場で3試合に出場したのみだ。
夏にEUROで輝いた選手もいたが、ニコ・ウィリアムズはビルバオ残留を決め、ヤマルは既にバルセロナに在籍していた。
ただ、市況が良くなかったとはいえ、今季アーセナルの攻撃が問題を抱えていることに変わりはない。
ウーデゴールの離脱で状況はさらに悪化した。ウーデゴールは安定してワールドクラスのパフォーマンスを見せられるチームの一員であるというだけでなく、単にタイプ的に彼に近い選手がファーストチームにはほとんどいないからだ。
ウーデゴールの復帰戦となったチェルシーとの試合で、キャプテンのスルーパスからマルティネッリは得点を記録した。この試合でウーデゴールはチャンスにつながるようなパスにトライしながらもパス成功率90%を記録し(これはサリアに次ぐチーム2位の数字だった)、シュート創出アクション5を記録した。プログレッシブパス数も10と2位の6に大きく差をつけてチームトップだった。
ウーデゴールが一人不在となるだけで、アーセナルの攻撃の創造性は半減し、中央からのビルドアップも難しくなってしまう。
そもそも完璧とはいえないアーセナルの攻撃はウーデゴールの不在で悪化してしまった。この試合で途中出場のメリーノが素晴らしいパフォーマンスを見せたのは偶然ではないだろう。ウーデゴールとメリーノ、というコンビはメリーノとライスよりもはるかにバランスが取れている。
同時にアーセナルはシンプルに選手個人の調子の問題も抱えている。
昨季からジェズスのパフォーマンスは思わしくなかったが、今思えば、今季の我々が目にしているものを既にアルテタは昨季の練習場で気づいていたのだろう。
彼のパフォーマンスのレベルは著しく低下しており、The Athleticは夏にオファーが届けばアーセナルはジェズスを放出する用意すらあったと報じているが、それには何かしらの根拠があったはずだ。
彼は最近チームに全く貢献できていない。
また、アルテタはスターリングを起用しようという姿勢をほとんど見せておらず、アーセナルがあれほど強硬な姿勢でチェルシーとの交渉に臨んだのは、素晴らしい交渉術だったというよりも、単にクラブ内で誰も獲得しないよりはスターリングを獲得した方がまだ良い、という結論を下すのに時間がかかっただけなのではないか、と思われつつある。
また、トロサールも昨季ほどのパフォーマンスを見せられていない。トロサールはこれまでキャリアを通してxG30から38ゴールを挙げているが、春にかけては特に好調で、xG7.9に対して12得点と、大きくxGを上回るペースで得点出来ていた(今季はxG2から2得点)。
単に昨季後半が少し調子が良すぎたのかもしれないが、彼もまたウーデゴール不在の影響を受けた選手の一人だ。
彼はウーデゴールがプレイしていない時に代わりにより低い位置まで降りてくることも多いが、彼は攻撃の最終局面フィニッシュで輝く選手で、チーム最高のクリエイターが居なければ恐らくチーム最高のフィニッシャーであるトロサールが影響を受けるのは当然と言えば当然だ。
より運動量のあるマルティネッリの方がトロサールよりも起用される頻度が高いが、そのマルティネッリもまた、得点とアシストという点ではファンが期待したほどの結果を残せていない。
また、ウーデゴールの復帰に伴って、日曜日に見られた通り、アーセナルの右サイドでチャンスを作る機能が復活すれば、ミケル・メリーノはファーサイドから攻撃に飛び込み、アーセナルに何得点かもたらしてくれる可能性は高そうだ。
事情がどうあれ、アーセナルはこれからボール保持をチャンスに、そしてゴールに変える方法を見つけ出さなくてはならない。インテル戦でアーセナルは相手をかなり押し込んだが得点は挙げられず、チェルシー戦の後半もそれは同様だった。
直近の二試合でアーセナルは得点が必要な時により試合を支配し、相手を押し下げることができることは示した。だが、今のアーセナルにはハーランドやサラーのようなスコアラーはいない。
だが昨季のドバイキャンプでアーセナルが攻撃を再構築し、勢いを取り戻した際のようにアルテタは過去何度か解決策を見つけ出す、あるいはチームを進化させることに成功している
ただ、一つ心配なのはそれにもある程度限界があるのではないか、という点だ。今のチームに新たな選手を加えることなく、攻撃をさらに活性化させることが可能なのか、確信は持てない。
年齢とパフォーマンスを考えるとジェズスやトロサールは近いうちに新たな選手と入れ替わることにはなるだろうが、アルテタとコーチングスタッフはアーセナルの攻撃力を取り戻すのにそれまで待つわけにもいかず、手元のリソースで何かしらの戦術ウサギをシルクハットからなんとかして取り出す必要がある。もしそれをアルテタが成し遂げられれば、彼にとってのアーセナルの監督しての最も重要な偉業の一つとなるだろう。
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