一夜明けて

2024-05-21語ってみたarseblog,海外記事

太陽は輝き、ムードも良かったが、心の底にはどこかで現実が見え隠れしていた。

ダビドがゴリアテを打ち破った逸話に思いをはせても、100回の戦いで99回はダビデは順当にゴリアテに敗れ、押しつぶされ忘れ去られるのだと理解していた。

スタジアムの雰囲気も素晴らしかった。全員が信じたいと思っていた。信じるつもりがあった。歌が響き、全力でチームと監督を応援していた。

だが、試合自体は少し奇妙に感じられた。非常に速い時間での他会場での結果が影響を与えたのは疑いの余地がない。

エヴァートンファンはすぐに『もう少しで優勝できるところだったのにな』というチャントを歌い始め、そしてフリーキックのディフレクションからエヴァートンが先制した。

冨安健洋のゴールでアーセナルは同点に追いつけ、そして立て続けにウエストハムが一点を返し、2-1になったという情報も飛び込んできた。

何故か誰かが2-2になったらしいぞ、と言っていたが、私の周囲には誰もそれを信じる者はいなかった。形態を見ると、スコアは2-1だと表示されていたからだ。

アーセナル-エヴァートンの試合は1-1でハーフタイムを迎えた。

この試合のチームのパフォーマンスはそこまでよかったとは言えない。なんとかハヴァーツのゴール、ウーデゴールの2アシスト目で結果をもぎ取った。一瞬他会場のスコアは3-2になったが、それは取り消され、そして、誰もがこれで終わりなのだと理解した。

もちろん、結果的にはプレミアリーグの順位に影響はなかったわけだが、この試合でアーセナルが勝利するのは重要だった。

これでサッカー界のランス・アームストロングは4季連続での優勝を収め、サッカー界のベン・ジョンソンがタイトルを獲得することとなった。

本来これは偉業のはずだが、多くのサッカーファンはこれに特にリスペクトを見せず、単に肩をすくめて見守るだけだった。誰も興味がないからだ。

サッカーファンはこの成功がうつろなもので、意味がなく、魂を欠いたものだと知っている。もしかすると、来季アーセナルが勝ち点115を獲得できれば優勝が可能かもしれない。

試合後、落ち込む人がいたのも理解できる。いかに現実を見据えていても、それが心の痛みを和らげてくれることはないからだ。

試合が終了した瞬間、以下に選手たちが落胆しているかも見て取れた。

ファンは残って歌い、彼らがもたらしたものへの感謝を伝えた。

もちろん今さらスタッツを持ち出すまでもないだろうが、プレミアリーグで28試合に勝利しながら、これだけ全力を尽くしてなお優勝ができないというのは辛いものだ。

38試合のうち28試合に勝っても優勝できないというのは尋常なことではなく、だからこそ痛みも強い。だがこれが現実で、これが現在のプレミアリーグだ。

あまり語られることがないが、プレミアリーグがこのような状況になってしまうことに潜む危険も認識されるべきではあるだろう。一つのクラブがリーグを優勝することが当たり前になってしまえば、リーグの魅力は減少してしまう。

実際のランス・アームストロングはツールドフランスを7連覇したが、それらが取り消され、優勝がはく奪された後も、ツールドフランスは魅力を取り戻しただろうか？

特にこれは、毎週試合を熱狂的に追う、というわけではないカジュアルなファンにとってはより大きな問題のはずだ。

試合後、ウーデゴールは話し、アルテタは話し、ファンは愛とサポートを伝えた。チームは8月から全力を尽くし、我々にゴール、勝ち点、希望、信頼を与えてくれた。

結果が望むものとならなかったとしても、それは変わらない。ファンとのつながりは強く、これからさらに強めていけるだろう。

2022年にCL出場権を逃したのは本当に心痛むものだったが、翌年アーセナルはさらに強くなった。去年タイトルを逃したのもつらいものだったが、今年アーセナルは更に強くなった。今季こんなにもギリギリで優勝がかなわなかったのは更に強い落胆をもたらしたが、出来るのはさらに強くなって来年帰ってくることだけだ。

監督と選手たちがそれを行ってくれるだろうということに全く疑いの余地はない。

正直に言おう、我々が戦わなくてはならない相手を考えると、無駄な努力なのではないかと感じられることもある。

だが、選手たちはこのレベルまでたどり着くためには非常にハイレベルなモチベーションで高い野心も持っているはずだ。彼らは何よりも勝利を求めており、さらに向上したいと願っている。リベンジを望む気持ちもあるだろう。

もちろん一旦体力や精神力を回復する時間が必要だが、またすぐにより早く、より効率よく山を登ることを求められる時が来る。

このような落胆と痛みを前にしても、試合終了のホイッスル後、6万人の観衆は選手と監督、クラブを応援し続けた。そこにいたのは6万人のアーセナルファンではなく、6万人のアーセナルサポーターだった。

今季の余韻も少しずつ薄れ、また来季が始まるだろう。素晴らしいパフォーマンスを見せた今季だったが、それをさらに良くするにはどうすればよいか？簡単なことではないが、それも当然だ。

ダメージを受けても、それでも立ち上がる。

我々は昨日はタイトルレースに敗れたかもしれないが、まだダウンしたわけではない。

今はまだ。

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