アーセナルの左サイド
今季ブカヨ・サカはアーセナルの全コンペティションで41試合に出場している。ベン・ホワイトは40試合でマルティン・ウーデゴールは39試合だ。
昨季もこれは同様で、サカは42試合、ウーデゴールとホワイトは39試合に先発していた。この右サイドのトライアングルは直近2シーズンで不動のものとなっている。
左サイドでは2022-2023シーズンマルティネッリは40試合に先発し、グラニト・ジャカは43試合に先発したが、左サイドバックのジンチェンコが先発した試合数は28だった。
ただし、これはどちらかというと単にコンディション的にジンチェンコの出場数がホワイトのものに届かなかっただけで、左サイドの顔ぶれもある程度は一貫していた。
プレミアリーグでは左8番のポジションはほぼ常にジャカがプレイし、マルティネッリがシーズン最後の2試合を除いた36試合では左ウイングとして先発した。
一方で、今季は左8番としてカイ・ハヴァーツ、デクラン・ライス、エミール・スミスロウ、ファビオ・ビエイラ、レアンドロ・トロサールという異なる顔ぶれがそれぞれ先発している。マルティネッリの左ウイングとしての先発出場試合数は29で、トロサール、ジェズス、ネルソンもプレミアリーグでのこの位置でプレイしている。
左サイドバックも同じで、ジンチェンコが先発した試合が24試合(途中出場11)、キヴィオルが16試合(途中出場10)、冨安が11試合(途中出場14)という割合で、プレミアリーグ開幕節はティンバーが起用された。
キヴィオル、冨安、ジンチェンコ共にタイプが異なるDFだが、彼らのうちだれも逆ホワイトのベン・ホワイトが備えている万能性には達していない。
アーセナルが3人の左サイドバックを使い分けているのは層の厚さや柔軟性を示しているとみなすこともできるが、アルテタが心の底から全試合を任せたいと願うような選手がこのポジションには存在しないということも示している。
上に途中出場の回数も記載したのは、アーセナルが非常に頻繁に左サイドバックを交代させるからだ。
ジンチェンコと冨安は試合展開に応じて使い分けられることも多く、加えてコンディション面で安定して90分プレイすることができると示せていない。
そして、キヴィオルも時折不安定なパフォーマンスで途中交代となる時がある。
アルテタも交代枠を毎試合サイドバックに一つ使うことが理想的ではないと考えているはずで、恐らくここに交代枠を使う必要がなければ、今季のビエイラやスミスロウの出場分数はもう少し伸びていたのではないだろうか。
そして、左サイドの選手が安定しないことが、今季のマルティネッリのパフォーマンスにも影響を与えるように思われる。
今季彼はプレミアリーグで90分当たり0.45得点/アシストという数字を記録しており、これはそこまで悪いものではないが、昨季の0.65と比べると減少している。
もちろん怪我の影響もあるし、トッププレイヤーというのは周囲の環境が100%整っていなくとも結果を出さなくてはならないものだが、それでも左サイドバックと左8番が頻繁に代わることの影響はあるはずだ。
恐らく、これらのポジションに関してアーセナルは夏に決断を下さなくてはならないだろう。
多くの経験のある選手がフレキシブルに左サイドでプレイ出来る、というの必ずしも悪いことではない。例えば、もしホワイトやウーデゴール、あるいはサカが怪我で欠場となった場合の影響は非常に大きいだろうことは想像に難くない。
ただし、この3人は非常に良く機能するトリオなので先発の座をキープしている、というわけではなく、単に3人とも選手個人の非常に質が高いためチームにとって外せない選手となっているという点は留意する必要がある。
逆に左サイドはどのオプションもあと一歩完璧に届かない、という印象だ。
ライスとハヴァーツに最も向いているポジションがどこなのかをアーセナルはそろそろ定め、その形を磨いていく必要があるだろうか?ライスとハヴァーツがどのポジションでプレイすることになるかは互いの将来的な起用法次第であるように思えるし、ジョルジーニョとパーティの去就も考慮する必要があるだろう。
スミスロウ、エンケティア、ネルソン、そしてファビオ・ビエイラもある程度の出場機会を得られるほど監督からの信頼が得られていない選手となってしまっているし、夏には左サイドバック獲得の可能性もある。
恐らくアルテタが望んでいるのはトミチェンコ、あるいはジン安のような選手だろう。自信をもってボールを動かせるが、相手のウイング相手の1対1目にしないタイプの選手だ。
いずれにせよ、アーセナルは近いうちに左サイドを整理する必要がありそうだ。
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ディスカッション
コメント一覧
ヴィエイラやスミスロウの交代出場についての話ですが、アルテタは毎試合交代枠を使い切ってましたっけ?
あまりその印象はないですね。
あとマルティネッリは単純にWG適性とフォメの問題だと思います。
今季もカウンターではよく機能してましたし、堅守速攻のような縦ベクトルの強いやり方なら結果も残せるはず。
逆に典型的なポゼッションのLWGという、左からの1vs1では精彩を欠いています。これは研究される側になってからのドリブルでの引き出しと勢いの限界というか、対面1人は絶対抜ける特別なLWGかどうかの岐路に立っているということだと思います。
彼のように特に速い選手はRWGで縦突破に特化した方が活躍しやすいでしょう。