ミゲル・アズィーズの移籍に見るプロサッカー選手のキャリアの難しさ

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移籍市場の最終日が終わったが、結果的にアーセナルは何人か若手や出場機会の得られていなかった選手を放出するだけに終わった。

ルナルソンはローンを打ち切り退団となり、報道によればコペンハーゲンへと移籍となるようだ。セイゴージュニアは今季末までスウォンジーへローンが決まった。

リノ・ソウザはアストン・ヴィラへと完全移籍となり、即座にプリマス・アーガイルへのローンとなったようだ。ユースのFWのケイオン・エドワーズは3部のレイトン・オリエントへ移籍となり、これはローンだが、いずれにせよ彼との契約はこの夏で切れてしまう。同じくレディングへとローンとなったCBのモンルイも今夏で契約切れだ。

今季後半に関して言えば、セイゴージュニアがチャーリー・パティーノと並んで最注目ということになるだろうが、とはいえ、彼らが来季アーセナルのファーストチームの席を手にすることになれば、大きなサプライズになるだろう。

最近のアーセナルは若手にチャンスを与えられていないのではないか、というのは話題に上がるが、現実的に考えて、今のアーセナルのユースチームとトップチームのレベルの差は非常に大きい。

誰もが注目しているのはイーサン・ヌワネリとマイルズ・ルイス=スケリーの二人だろうが、彼らもまだ非常に若く、まだまだ経験が必要だ。トップチーム昇格前に来季はローンに出る必要もあるかもしれない。

彼らより上の世代で現在19歳や20歳の選手でトップチームでチャンスを掴めそうな選手は見当たらない。

ルーエル・ウォルターズは今19歳で、現在アーセナルの守備陣の層が薄くなってしまっているのは彼にとっては少し不運かもしれない。もう少しチームに余裕があれば彼は恐らくローンに出ていたはずだが、ティンバーと冨安を欠く今のアーセナルはウォルターズを万が一のために手元に置いておく必要がある。

そして、この冬の移籍市場で恐らく最も衝撃的かつユース選手の育成の難しさを象徴するような出来事がミゲル・アズィーズのスペイン3部のアトレティコ・バレアレスへの移籍だった。

ほんのつい最近まで、彼は今のヌワネリやルイス=スケリー達のような評価を受けていた。彼がその数年後にセミプロのクラブでプレイしなくてはならなくなっている、というのはユースレベルからシニアレベルにレベルを引き上げ、結果を残すことがいかに難しいかを示しているように思える。

ユース年代で、アズィーズが才能あふれる選手だったことに疑いの余地はない。ミケル・アルテタのチームが上手くいっていなかった時期に、彼にチャンスを与えるべきではないかと主張する人がかなり多くいたのを覚えている。

だが今その彼はスペイン3部のクラブへと移籍となっており、それまでの間にローンで何度かチャンスがあったが、そこでも結果を残せなかった。彼は2021年には英3部のポーツマスにローンに出たが10試合の出場に終わり、その後途中でローンを打ち切ってスペイン2部のイビザでプレイしたが、そこでも当初は数試合先発したものの徐々に監督の信頼を失っていった。

そして、去年の冬は彼は英二部のウィガンにローンに出たが、2試合にしか出場しないまま、コーチや監督に対しての態度面の問題を理由にローン期間が終わる前に北ロンドンへと送り返された。

その後、アーセナルのユースチームでも彼は合計100分に満たない時間しかプレイすることはなく、そしてこの冬スペイン3部の最下位に沈むクラブでセミプロとしてプレイすることになった。今季の結果次第でチームは4部の地域リーグに沈んでしまう可能性もある。

もちろん、アズィーズのキャリアがなぜこのような道筋を辿ることになってしまったのかは誰にもわからない。

将来有望な若手が期待されたほどの結果を残せないのには多くの理由があるだろう。献身性、ストイック性、あるいはその他さまざまな要因などがあるかもしれないが、一つ言えるのは、ユース時代に高い評価を受けている、というのは全くシニアレベルでの活躍の保証にはならない、ということだ。

そもそもユースレベルとプロレベルの壁が高いだけではなく、プレミアリーグトップのレベルはさらに高い。

アーセナルが現在チームにユースアカデミー出身の選手を4人擁しているのは他の多くのクラブと比べればかなり良い水準だといえるし、ブカヨ・サカのような真にトップレベルのタレントをアカデミーから排出できるのは非常にまれなことだ。

今後も多く彼らのような選手が現れることを願いたいが、アーセナルのユースアカデミーの選手の大半がトップチームに昇格できないというのも事実だ。そもそもプロのサッカー選手にすらなれない選手も多くいる。

ファンが自クラブのアカデミーから次世代のスターが生まれてほしいと願うのは理解はできるが、それは少々ロマンチックすぎる願いで、トップレベルのサッカー界の実情とは乖離している。

この冬アーセナルを去った選手たちには幸運を祈りつつ、彼らが移籍先でキャリアの軌道を修正するチャンスをつかめることを願おう。

多くの場合、サッカー選手としてのキャリアを続けること自体が非常に困難なものだ。

ピラミッドの頂点に輝く選手たちには光が注ぎ、報酬が用意されているが、それを得られるのは実際にはほんの一部の選手たちだけだ。

もしも夢破れサッカーをあきらめる選手がいたとしても、アーセナルが提供した教育が彼らのその後の人生に良く備えてくれるようなものであったことを願いたい。

(以前インタビューでメルテザッカーはuseアカデミーはサッカーだけではなく、人間的な教育を行う場でなくてはならないといった旨のことを語っていました:)

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Posted by gern3137