アーセナルの夏の移籍市場と来季の布陣を考える

移籍

まだシーズンが終了したわけではありませんが、先週末の試合以降堰を切ったかのようにアーセナル関連の様々な移籍の噂が出て始めています。まだまだ実際に放出獲得に向けてどれが実現に近づいているのかなど断言するのかには早すぎますが、報道の流れを見る限り

・ジャカの退団
・デクラン・ライス獲得オファー

この二つはかなりの確率で起きると見ても良さそうです。

また同時に多くのメディアがローン組のペペ、タヴァレス、ロコンガ、メイトランド=ナイルズらに加えてホールディング、ティアニー、バログン、スミスロウ、ネルソン(契約延長オファー中だが合意には至っておらず)にも退団の可能性が報じています。一方で、獲得に関して目立っているのはライス以外だとウイングの獲得候補としてレバークーゼンのムサ・ディアビ、またカンセロを狙っているという噂でしょうか。

それぞれの選手の分析などはまた別の機会に回すとして、今回はもう少し俯瞰的な目線で、来季アーセナルがCLとプレミアリーグを同時に戦うには、どれくらいの補強が必要なのか考えていきたいと思います。

メンバーを固定して今季はプレイしたアーセナル

アーセナルの今季の特徴としてメンバーの入れ替わりが非常に少なく、先発をほぼ固定してシーズンを乗り切った、という点が挙げられます。

これはカップ戦と欧州コンペティションで比較的早期敗退となったことも影響しているかと思いますが、スタメンの固定度はプレミアリーグトップレベルでした。

なんとアーセナルでフル出場で10試合換算、900分以上プレミアリーグに出場したのは12人のみで、ほぼメンバーは固定の11人+ジェズス離脱期間中のエンケティア、というメンツとなっています。

冬加入で780分のトロサールは実質的にはプレイ機会は多いといってもいいでしょうし、冨安も怪我がなければ恐らく1000分の出場時間は超えてきたと思いますが、どちらにせよ、今季のアーセナルはプレミアリーグのほとんどを定番の11人(ラムズデール、ホワイト、サリバ、ガブリエル、ジンチェンコ、パーティ、ジャカ、ウーデゴール、サカ、マルティネッリ、ジェズス)に加えてトロサール+冨安の2人、13人で戦ってきたということになります(実際の出場時間的にはエンケティアもここに加わりますが、もしジェズスの怪我がなければ彼がどれくらいの出場機会を得ていたかは微妙な所です)

層の厚さとは?

メンバーの固定は連携の醸成など、プラスに働いた部分もあるのは間違いないものの、怪我や調子の浮き沈みを考えると、流石に一方で13人でプレミアリーグとCLの週2試合を回していくことは非常に難しいことは明白です。

ではここで、どれくらいの層の厚さが目標となるのかを考えてみます。

プレミアリーグとCLを両方ハイレベルで戦う、という観点から見て即座にベンチマークとして頭に浮かぶのはマンチェスター・シティですが、実は彼らはそこまでスカッド人数が多い訳ではありません。

上と同じ出場分数の基準で見るとプレミアリーグで900分以上出場したシティの選手数は16人のみで、分数関係なく10試合以上に出場した選手も19人となっており、シティのスカッドはファーストチームに限ればかなりスリムな部類に入ります。

ここから先はある程度怪我が起きる選手のポジションが被らないかなどにも左右されるので16人実力に遜色ない選手が揃い、彼らを変幻自在に起用出来ればスカッドの厚さとして十分なのか、断言はできませんが、アルテタもユーティリティ性の高い選手を好む傾向にはあり、多くの選手を各ポジションごとに揃えるというよりも、ある程度少数精鋭型で一人の選手を複数のポジションで起用しながら複数コンペティションを戦うというのを考えているのではないかと感じられます。

いずれにしても、アーセナルのスカッドの質は以前と比べてかなり上がっており、ジェズス、サカ、マルティネッリ、ウーデゴールといったアタッカー陣が既にリーグ屈指のレベルにあることは間違いないですし、サリバとガブリエルのコンビもリーグトップレベルの安定感を見せていました。

したがって、この夏のアーセナルの目標は単に人数を増やすのではなく、余剰戦力となっている選手を上手く入れ替えながら、今の先発11人と同レベルの選手を増やすことだと思われます。

具体的なアーセナルの補強ポイント

では仮に、アーセナルもマンチェスター・シティと同じく16-17人のリーグトップレベルの選手を抱えることがこの夏の目標としてみましょう。上で述べた通り現状アーセナルでこのような水準にあり、プレミアリーグとCLの舞台でアルテタが自身をもって送り出せるワールドクラスの選手と言えるのは恐らく13人だと思うので、単純計算で言うと50m£程度の大型補強3人分を目指す、ということになります。

ただし、ジャカなど主力の退団の可能性も報じられているので、もう少し多くの選手が必要でしょうか。全選手がシーズン通して怪我無しというわけにはいかないと思うので、一旦目指すべき水準を16-17人の選手でフィールドプレイヤーの全ポジションスタメンと遜色ないレベルの控えがいる状態、だと仮定して現在のアーセナルの状態を図にしてみました。

トロサールと冨安というユーティリティ性抜群の二人がいるおかげで前線と最終ラインはかなりカバーできており、左CBはキヴィオルもわりと目途が立ちそうなのでなんとかなりそう、といったところでしょうか。

ただ、多くの選手が複数のポジションを兼ねているため絶対的な人数がかなり少なく、例えば今季終盤証明されたように、2人が同時離脱、となってしまうと本当は右CBの控えはホワイトなのだがホワイトは冨安がいないとCBには回せない、のような形となってしまうため、特に右サイドバック又は右CB辺りはもう一人くらい補強の余地はありそう(あるいはティアニーが移籍するのであれば左サイドバックでも、その場合は冨安が右サイドに専念できるため少し余裕が生まれる)です。

また、マルティネッリとトロサールもプレイできるとは言え右サイドが本職のアタッカーももう一人欲しい所でしょうか。もちろんここはビエイラやネルソン(+契約延長)の成長でカバーできる可能性もあります。

ただ、ジャカが退団に向かっている様子であることを考慮すると、どう考えても人数が中盤で、デクラン・ライスとカイセドの両獲りが現実的かどうかはともかく、確かにこのポジションに2人くらいは必要そうです。ライスを獲るということはパーティの一列前起用も視野に入っている+アンカーの二人の年齢も影響しているでしょうか。

こちらもたとえばヴィエイラの成長やスミスロウのコンバートなどで対応できる可能性もありますが、現在スミスロウは大きく序列とコンディションを落としており、来季開始からいきなり計算できるかというと難しそうなので、一列前の中盤の選手の獲得に動く可能性も大いにありそうです。

予算や売却の進み具合などにもよるので、どれくらいのバランスで分配するかは難しい所ですが、夏のアーセナルの課題としては

・右サイドでプレイできるアタッカー(中盤、あるいはトップが出来ればなお良い)
・ハイレベルな中盤(ジャカが退団するなら2人)
・右サイドバック、左サイドバックないしは右CBから2人くらい・ただしこのポジションはトップレベルというほどでなくとも、1000分くらい計算できれば良い

といった感じでしょうか。

やはり、高額の移籍金を費やしてでも計算できる選手を獲得すべきなのは中盤で、ライス獲得に動いているのはそれに則ってのことだと言えそうです。また、ライスは緊急的にはCBもこなせそうなのも良いですね。

ただ、どう考えても今のジャカ・ウーデゴールのポジションの選手が足りないので、このあたりはビエイラやスミスロウなどの起用を考えているのか、それともまだ噂に出ていない秘密のビッグネームのターゲットが居るのか、個人的には注目ポイントです。

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Posted by gern3137