輝くガブリエル・マガリャンイス

分析Tim Stillman,海外記事

ガブリエル・マガリャンイス、マルティン・ウーデゴール、ヌノ・タヴァレス、ファビオ・ビエイラ、パブロ・マリ、オレクサンドル・ジンチェンコ。ミケル・アルテタは非常に多くの左利きの選手を獲得している。

アルテタ監督就任以降アーセナルに加わった14人のうち6人が左利きだ。さらに、この時点で既にサカやティアニーもチームに在籍しており、利き足のバランスを監督が重視しているのは間違いないだろう。

今季出場時間が多い順に選手を12人並べると、利き足は右と左がちょうど6人ずつとなっている。

その中でもアルテタが素早く獲得に動いたのが左利きのCBで、当初アーセナルにはムスタフィ、ルイス、ホールディング、チェンバース、ソクラティスと右利きのCBしかいなかった。

マリの獲得にどれだけアルテタが関わっているかは不透明だが、その後の夏にアーセナルは27m£を支払ってガブリエルを獲得した。

左利きのCBを起用することのメリットはいくつかあるが、まず第一に、ピッチを広く使うことができるようになるという点だ。より外側から、縦のタッチラインに沿うようなパスや、右への斜めのパスを出すことができる。

加えて、利き足が外側なので、左利きのCBの方がタッチライン際に相手FWを追い込むようなプレイがやりやすいはずだ。

アルテタが最初に獲得した選手の一人が左利きのCBだったというのは象徴的だが、2020年の夏にアーセナルにやってきて以降、ガブリエルはアーセナルの不動のスタメンとなっている。

もちろん、それは単に利き足だけが理由ではないはずだ。

彼はアーセナルのバックラインの氷と炎のバランスを保つのにぴったりの人材で、昨シーズンはベン・ホワイトと、今季はサリバとコンビを組んでいるが、ベン・ホワイトが右サイドバックへと活躍の場を移しても、ガブリエルはずっとCBとしてプレイを続けている。

現在パブロ・マリがローンに出ていることもあってガブリエル以外に左利きのCBが居ないことも大きな要因だろう(訳注: 先日キヴィオルの獲得が発表された)。

だが、ガブリエルは左足でボールを繋げるというだけではなく、守備時にもチームにとって非常に重要な役割を果たしている。

現在のアーセナルの攻撃時の2-3-5/3-2-5のシステムにおいて、もっとも負荷がかかっているのがガブリエルだと言っても過言ではないだろう。

オレクサンドル・ジンチェンコの加入によりアーセナルが試合をコントロールできる時間は増えたが、それは彼がメンバー表では左サイドバックの位置にいても、実際には左サイドバックの位置ではほとんどプレイしないからだ(ジンチェンコは今季アーセナルの選手中最多のミドルサードでのタッチ数を記録している)。

彼は実質的に中盤でトーマス・パーティの相方として機能することも多く、中央で彼が数的不利に陥らないようにしている。ジンチェンコはこの役割を驚異的な精度で果たしているが、それはガブリエルの存在無くして成り立たないものだ。

時折アーセナルは左サイドが全くいない、という状況になっており、ガブリエルは非常に広い範囲をカバーすることが求められている。彼は時折まるでCBとサイドバック両方をこなしているかのようだ。

ガブリエルはアスリート力が高いため守備範囲は広いが、このような役割を器用にこなすためには、単にスピードだけではなく、タイミングとカバーすべきスペースを即座に判断する能力も必要となる。

状況に応じて、必ずしてもギリギリのタックルを行う必要はなく、相手を遅らせるだけで良い時もあるが、ガブリエルはこれが上手く、相手のアタッカーをタッチライン際に追いやって増援が到着するまでの時間を稼ぐことが出来る。

彼はアーセナルファンから粗い部分のある選手だとみられることもあるが、そもそもガブリエルの置かれた状況が非常に難しいものだということは理解すべきだろう。

剣をジャグリングする大道芸人の方が会計士よりも事故が多いのは当然だろう(といっても、今季ガブリエルは相手のシュートに繋がるミスは1度しかない。サリバはこれを4回記録しているが、単に経験の違いだろう。)

また、トニー・アダムズの隣にはマーティン・キーオンがいたし、コシェルニーはメルテザッカーにはない機動力を提供する代わりに何度か退場したりPKを献上したりもしていた。

良いCBのコンビというのは、異なるタイプの選手が揃っているものだ。

今季相手に攻め込まれる試合は少ないアーセナルだが、エランド・ロードでは守り切る必要があり、このような荒々しい試合でガブリエルは心地よさそうに輝いていた。

ホワイトやサリバも冷静沈着な素晴らしいDFではあるが、ガブリエルのような激しいDFも必要なのだ。

もちろんガブリエルは単なる闘士ではなく、ボール配給も上手い。以前アルテタは『ボールを繋ぐ際にCBを活用しなければ、それは8対10で戦うようなものだ。難しい試合になってしまう』とコメントしたことがあるが、ガブリエルは90分当たりのファイナルサードへのパス数が4.76本と、これはサリバの2.92本を大きく上回っている。

もちろんサリバの数字も良いものだが、これはガブリエルのパスによるボール前進がいかに効果的かを示している。アーセナルの左サイドバックが中に入ることが多く、ガブリエルはそこまでスペースのないサイドでボールを受けることが多く、サイドバックのサポートがない状態にいることもあることを考えるとなおさらだ。

ガブリエルが今のアーセナルにとって必要不可欠な存在であることは間違いない。

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Posted by gern3137