今季後半戦に期待したいアーセナルの3人の選手 前編
イングランドのサッカー界において、今年のように本来のシーズンオフではない期間に長期間にわたってリーグが中断することは歴史上未だかつてない出来事だ。
ただし、つい最近クラブはCOVIDによるリーグ中断を経験したばかりであり、W杯に出場していない選手に関しては、各クラブは恐らくどのようにコンディションを調整すればよいかはわかっているだろう。
一方で、違う国、違う気候、違うチームでW杯に出場した選手たちをどのようにクラブに再び溶け込ませればよいのかに関してはクラブ側も不透明な部分が多いに違いない。
代表とクラブのサッカーにおけるスタイル面の違い、フィットネス面、30度近くあるカタールの気候から0度近い真冬のイングランドの気候へと変化することの影響。W杯の結果に応じて、心理的な影響も考量する必要がある。2014年にメルテザッカーはW杯優勝後に、再びクラブレベルでフォーカスするのがいかに難しかったかについて語っていたが、もしこれがシーズン途中で起きた場合にはどうなるのだろうか>
あるいは、ネガティブな結果となった場合の選手たちのメンタルへの影響は?例えば決勝で敗れた選手をアーセナルが12月に迎え入れることになった場合、彼らはその後すぐ試合に出場できる状態にあるのだろうか?
まだまだ分からないことが多すぎるが、アルテタもコーチングスタッフも、今季の後半戦は先発する11人だけでなく、スカッド全体のパフォーマンスがより重要となるとわかっているだろう。
今季ここまでのプレミアリーグでアーセナルは最も先発の変更が少ないチームとなっており、それも好成績には一役買っているはずだが、今季後半それを続けるのは難しいに違いない。
例えばアーセナル所属の選手でW杯決勝に進出する選手が居れば、その8日後のウエストハム戦に間に合う可能性は低そうに思われる。
今後もアーセナルが順位戦の上位に位置し、ヨーロッパリーグで上位進出を狙うのであれば、ここからは、これまではローテーション要員とされていた選手がもうワンランク上の活躍を見せることが必要不可欠になるだろう。
エミール・スミスロウ
単純に試合結果だけを見れば、スミスロウが長期にわたって今季前半不在であったことは、チームにそこまで大きな影響を与えなかったという見方も出来る。
だが一方で、この期間中、アーセナルは少々ブカヨ・サカとガブリエル・マルティネッリの二人に頼りすぎる傾向にあったのも事実だ。
夏にアーセナルがラフィーニャ獲得に動いていたことを考えると、スミスロウをメンバーに含めた上で、アルテタはそれでももう一人サイドの選手の獲得を望んでいたはずだ。
また、今のアーセナルには絶対的なスタメンとは言えないものの、ローテーション要員というには出場機会が多く、非常にハイレベルな選手を何人か抱えているが、冨安やティアニーと同じく、スミスロウもその一人だろう。
昨季スミスロウは2桁得点を挙げたし、マルティネッリと代わる代わる、頻繁に左サイドで出場していた。21-22シーズンに関して言えば唯一十分な層の厚さがあると感じられるポジションでもあった。
スミスロウが復帰してくれば、単にサカとマルティネッリの負担を和らげてくれるだけでなく、彼らに代わってスタメンの座を得ようとポジション争いに挑戦することだろう。
今季アーセナルは絶好調だが、エディー・エンケティアは昨季終盤から今季序盤にかけての勢いを失ってしまったように見えるし、ファビオ・ビエイラもまだまだプレミアリーグに適応中と、ベンチから流れを変えられるオプションが豊富とはいえない。
今季のアーセナルはプレミアリーグでビハインドに陥ったことがまだ2回しかないが、これをずっと続けるというわけにもいかないだろう。
昨季抜群の得点力を見せたスミスロウは、この点でもスカッドにとって非常に重要なオプションとなるはずだ。
(後編に続く)
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