アーセナル22/23シーズン中間採点 監督+GK編

選手採点

プレミアリーグは14節消化時点でW杯の中断期間に突入!ということでまだ折り返し地点にはたどり着いていないのですが、移籍市場も開いていないためアーセナル関連の動きが特になく、かつかなり長期の中断ということできりも良いので、今季それぞれのアーセナルの各選手(+監督)の活躍を振り返ってみます。

監督

ミケル・アルテタ: 10

試合後の選手採点も含めて、こういった採点系の記事ではそう簡単には10点は付けず、(選手であればハットトリック、カップ戦決勝での決勝点など)いざという時のためにとっておく、というのが定石ではあるのだが、今季ここまでのアルテタの手腕に関しては流石に満点を付けざるを得ない。

現代のサッカー界では忍耐強く辛抱するフロント、というのはレアになりつつあるが、アルテタに関して言えば、2年連続8位、連敗時には一瞬降格圏入りがよぎったりとそれなりに長期的に低迷した期間もあったにもかかわらず、アルテタを信じてマネージャーの座に据えすらしたアーセナルオーナーの賭けは大成功を収めたと言っていいだろう。

夏にはジェズスやジンチェンコと言ったアルテタがシティ時代によく知る選手たちの補強もあり、今季のアーセナルのメンバーはサカやジャカと言った数人の選手を除けばほぼ全員がアルテタ監督就任以降に獲得された選手たちで構成されており、ようやくアルテタが目指すサッカーを実現できる陣容となっている。

展開するサッカーの内容的にも非常に守備に重きを置いていたようにも見えたアルテタ体制初期とは大きく異なるものとなっており(堅固な守備をキープ出来ている、という点は変わっていないが)、ふたを開けてみれば今季は結果としても開幕からの14試合でなんと12勝1分1敗、勝ち点37を獲得というのはアーセナルのプレミアリーグでの歴史上最も良い滑り出しとなった。

もちろんまだ今後がどうなるかはわからないし、強敵マンチェスター・シティが控えているが、今季ここまでだけに限ってみれば、リーグ優勝間違いなし、と言っても良いペースだ。監督未経験の状態からプレッシャーもかかるアーセナルの監督にいきなり就任し、少し時間はかかったもののここまでの結果を残して見せたのは見事というほかない。

この好調を今季のアーセナルがどこまでキープできるかには注目だが、最低限CL出場権を獲得できれば及第点とは言えるのではないだろうか(現在首位である以上、それ以上を選手や監督はもちろん狙ってはいるだろうが)。

単純に圧倒的に勝ち点を稼げているだけではなく、試合の内容的にもアーセナルが順当に相手を圧倒した、と感じられる試合が多く感じられるのも非常に今のアルテタアーセナルにおいてポジティブな点だ。

GK

ラムズデール: 7

チーム全体の守備の調子が非常に良いことと相まって、ニューカッスルのニック・ポープと並びリーグトップタイのクリーンシート数7を記録している。アーセナルの方がニューカッスルより1試合消化試合数が少ないので、クリーンシート率でみるとリーグ単独トップとなっているし、シュート後の期待値と比較したセーブ率も+0.02(≒平均的なGKと比較して90分当たり0.02点多く止めている)と、とびぬけて良い訳ではないが安定した数字だ。

以前から変わらず中距離のパス精度は高いし、今季リーグ2位の平均ゴールキックの飛距離を叩き出している。

興味深いのはエデルソンに次いでリーグ2位の90分当たりのセービング数の少なさとなっている点で、これは今のアーセナルの好調を反映していると言っていいだろう。

一般的にはGKはセービングの機会が多い方がセーブ率は高くなる傾向にあるが、恐らくラムズデールもこれまでのアーセナルや他クラブ在籍時にはどちらかというと90分を通して忙しい、という展開の方が慣れているはずだ。

今季このままアーセナルがボールを保持する時間が長い試合が多くなるようであれば、ラムズデールは守備の機会は少ない中でも集中力を切らさず時折訪れるピンチに反応する、というこれまでとはまた違ったタイプの対応力が求められるかもしれない。

マット・ターナー: 6

ターナーの今季に関して言えば、良くも悪くも前評判通り、期待を上回りも下回りもしないソリッドなナンバー2といったところだろうか。

まだ4試合で出場したのみで、その全てがヨーロッパリーグのグループステージということで、そのうち3度でクリーンシートを記録しているとはいえ本格的な評価が下されるのはもう少し先になりそうだが、セービングは得意、足元は不安、という移籍前の触れ込み通りの選手であるようには見える。

これまでのアーセナルはかなり第二GKに恵まれており、基本的にプレミア経験も豊富な選手を常に揃えられてきていただけに、若干の不安もなくはないが、足元は抜群に上手いがシュートを止められない、というGKと、足元はまだ改善の余地はあるが、シュートは止める、というGKの二択であれば、多くのファンは後者の方を選ぶだろう。

プレミアリーグは今季初挑戦とはいえ、現在アメリカ代表の正GKとしてW杯で活躍するGKでもあるし、まだまだ試合数が少ないので何とも言えないが、飛び出しや空中戦の対応も悪くなさそうだ。

また、ターナーはサッカーを始めたのがなんと14歳の時(それまでは野球とバスケしかプレイ経験がなく、人手が足りない時にたまに呼ばれてサッカーをする、程度だったらしい)で、22歳で大卒でプロ入りというプレミアリーグでプレイする選手としてはかなり異例のキャリアの持ち主なので、現在28歳ではあるが、まだGKとしての伸び代はかなり残していると言ってもいいのではないだろうか。

恐らく、後ろからボールを繋ぐよう指示を受け、それを想定した練習を行うのはアーセナルでが初めてではないかと思われるので、ビルドアップに関しては今後の成長にも期待したい。

カール・ハイン

ユースでしのぎを削っていたアーサー・オコンクォがクルー・アレクサンドラにローンに出たため、今季正式に第3GKに任命されることとなった。出場はEFL杯の一試合のみ、しかもこれは世界中で放送なし、という試合だったため、評価は難しい。

ユース時代は若かりし頃のシュチェスニーのような、粗削りながら身体能力と反応は素晴らしいGK、という評価ではあった。

今季もU-21が主戦場になっているものの、逆にファーストチームでのベンチ入りとの兼ね合いでユースでの出場機会が限られる、という事態も発生してきているようなので、オコンクォが英4部とはいえローン先でスタメンを奪取し、今季すでに17試合に出場していることを考えると、プレイ機会が減少しているハインが将来的にマット・メイシーのように、永遠の第三GK、のようなキャリアを歩んでしまわないか少し心配だ。

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Posted by gern3137