英語のカタカナ表記に関して・発音ガイド及び研究発表

その他

(*今日の記事はほとんどアーセナルやサッカーと関係ない内容となっております)

schumpeterさんがフットボリスタに寄稿したこちらの記事、そして選手名カタカナ評議会が話題を呼んでいる。

常日頃から、創立者のsake氏、schumpeter氏の二人を中心とした選手名カタカナ表記審議会の活動に関しては、非常に興味深く拝見していた。今回委員募集中とのことで、もし英語/英国担当があるのであればぜひ、参加させて頂きたいです、と僭越ながら立候補させてもらったものの、やはり何の実績もなく、どこの馬の骨ともわからぬサッカーファンが委員となるわけにもいくまい、ということで今回はこっそり進めていた英語(アメリカには行ったことがないので主にイギリス英語)のカタカナ表記と発音に関するガイド、兼研究発表として英語の発音やカタカナ表記に関して、知っている限りのことをまとめてみた。

記事としての方向性というか、結論のようなものがあるわけではなく、少々雑多な内容となっているがご容赦頂きたい。

イギリスの難読地名とクラブ名をどう読むか問題・常に例外はある

まず、英語において最も注意すべき点は、地名人名か、通常の単語化に限らず、つづりと発音が一致しないことが多いことだ。日本語のように『さ』と書かれていたら"さ"と読む、のようなルールは基本的には英語には当てはまらない。

もちろん、発音に際してある程度のルールはあるが、非常に例外も多く、ものによってはどちらがルールでどちらが例外なのかよくわからん、といった割合のケースすらある。

普通の英単語に輪をかけてややこしいのがイギリスの地名(それより頻度は低いが人名も)だ。これらは平気な顔で全く発音されないアルファベットをたくさん並べた上で『いや、まあでも昔からうちではこうやって呼ぶことになっていますんで・・』という顔でつづりからは想像もつかないような発音で呼ばれていることがある。

その主要なものは以下の通りだ。

-hamのhは読まない

これは比較的よく日本でも知られているものだと思うが、Nottinghamのように地名などの最後が-hamとなった場合、基本的にこのhは発音されない。Nottingham Forestがノッティングハム・フォレストとはならず、Birmigham Cityはバーミングハム・シティとはならないという理屈だ。

もちろんこれはhの前がgである場合に限らず、Tottenhamはトッテンハムではないし、ハリーポッターの映画撮影で有名なDurhamの街もダラムと読む。

したがってFulhamはフルハムではなく、フラムが正しい表記だと言える。フルアム、という不可思議な表記もたまに見かけるし、理屈の上では矛盾はないとは言えるが、Samをスアムとは呼ばないし、Cameraをクアメラとは呼ばないので、やはりフラム、が一番良いように思える。

また、地名に限らず人名でも、最近チェルシーの監督就任が話題になったGraham PotterのGrahamも同じで、このhは発音されない(ではなぜAbrahamのhは消えないのかって?それはイギリス人に聞いて欲しい)。ただ、Grahamの場合はhの直前が母音であるという地名バージョンとは少し違うイレギュラーなケースで、単にhが消えるだけではなくGra(グレイ)-am(アム)と間に一音無音の子音が挟まっているかのような発音となる。カタカナ表記で一番しっくりくるのはグレアム、だろうか。グレヤム、でも同じくらい原音には近い気はする。

-cester: スター(ceは読まない。ただしサイレンセスターを除く)

サッカーファンになじみ深いLeicester City、あるいはロンドンに旅行したことがある方であれば、地下鉄の路線図でLeicester Squareという駅名に遭遇したことがあるかもしれないが、もしイギリスの地名について何も知らないアメリカ人にこれを何と読むか?と問えば『リーセスター?レイセスター?』のような答えが返ってくるに違いない。

だが実際には、当然これはレスター、と読む。

変わった発音というか、単純にce部分は完全にスキップされてしまうのだ。どこかのタイミングで『アレ?じゃあこれつづりからもceとってしまえばいいのでは?』となりそうなものだが、そうはならないのが流石イギリス、という感じがする

地名ではないが、実際にアメリカ人は発音と、その発音から直感的にイメージされるスペルが乖離していることに業を煮やし(というのはただの想像だが)、かなりの数のイギリスの単語のつづりをより発音がイメージしやすい物に簡略化している。programme-program, centre-center, colour-color, archaeology-archeology, ~ise-~ize, dialogue-dialogなどなど)

日本のウスターソース、というのは実はイギリスのウスターシャー発祥のウスターシャーソース/ウスターソースが元となっているらしいのだが、このウスターという地名もWorcester(shire)とつづる。アメリカの料理番組でアメリカ人がこの調味料をウォーセスターシャーソース、のように言っているのを見るとイギリス人は爆笑する、という噂だ。

(また、オマケのように登場したが、shireも通常の英単語であれば、fireやwireのように、シャイアとならなければおかしいはずだが、何故か当然のようにシャーと読む。Yorkshire, Lancashireなどだ。)

この-cesterに関しては、100歩譲ってcesterのceは発音しない、というのはそううった伝統でありルールである、として納得できるとしても、Liecester・Worcester共に『どうせイレギュラーなんだからついでついで!』と言わんばかりに関係ない前半部分の発音までイレギュラーになっているのも個人的には納得いかないポイントではある。

ceをとってLeister・Worsterだったとしても普通"レ"スターとは読まないし、Worをウ(Wu)と読む英単語などないではないか!Feint, Wordはフェント、ウッドとは読まない。

そして100歩譲ったceを読まないという伝統ですら、英国にはcirencesterという地名があるのだが、何故かここだけはサイレンスターではなく、サイレンセスター、という読むことになっており例外がある。

ちなみに、なんとこのCirencesterは上のWorcestershire内に位置している町なので、ウスターシャーのサイレンセスター、という二つ並ぶと『整合性?なにそれ美味しいの?』という感じとなっている。

-wich/wick: wは読まない、そしてchはdge(仮)

こちらも比較的有名なものだと思うが、-wichや-wickのような地名の場合、wは発音されず、またwichの最後のchはチではなくジとなる。最も有名なのはグリニッジ天文台のGreenwichだろうか。

他にもWorwickはウォーリック、Keswick・ケズィックで、アーセナルのかつての本拠地Woolwich・ウリッジなどもある。

サッカークラブ関連で言うと、このルールに従って、ではNorwichはノリッジが正しい、と言いたいところなのだが、これもまたちょっとややこしい所で、元々は恐らくNorwichはノリッジと発音されていたと思うのだけれど、Norwich Cityのことを(wをすっ飛ばすというルールは揺らがない)ノリッ"チ" シティと発音する人も最近はちょこちょこいる。

これは僕のただの想像でしかないのだが、これには、その他の英国地名の発音しないつづりシリーズの音と比べて、chとdgeの発音は非常によく似ていることが影響しているのではないかと思う。

チとジの音は発音時の口の形自体はほぼ同じで違いは有声音か無声音(濁る音と濁らない音、発音するときに喉に手を置いて、喉が震えるようであればそれは有声音)かだけだ。恐らく早口でしゃべっていたら違いはほぼないし、聞いていてもあまり違和感はない。

さらに、サッカーの文脈で言うと、Norwich Cityという時に、CityのCが無声音なので、どうしてもそっちに引っ張られてノリッ"チ"の方が言いやすい。

例えばLeicesterをリーセスター、Keswickをケズウィックと発音している人が居たら、傍目から見てその間違いが明らかなので、恐らくすぐに誰かから『ふふふ、君、それはね、、、実はこうやって発音するんだよ』と訂正が入るだろうが、Norwichをノリッチと言っていてもノリッジとの判別は結構難しいため、そのまま流されてしまうことも多く、そちらも定着してきた、ということなのではないだろうか。

なので、現時点ではNorwichのカタカナ表記はノリッジでもノリッチでもどちらでも良いのではないか、という気はする。ただ、グリニッジ天文台の知名度が高いことを考えると、こちらに合わせてノリッジ、とするのがしっくりくるかもしれない。

ちなみに、-cesterの時と同じく、このwich/ickにも『どうせイレギュラーなんだからどさくさに紛れてイレギュラー増量で!』案件があり、イングランド北部にお城と庭園が有名なAlnwickという町があるのだが、これはなんとアニック(=Anick)と読む。wが省略されているのはルール通りだが、何故エルまでもが消えてしまうのかはわからない。

そして、ここまで興味をもって読んで下さった方なら何となく想像はついていると思うが、このルールにも例外が存在する。英3部にIpswich Townというクラブがあるが、これまでのルールに則れば、Ipswichはイプシッジと読まなければ筋が通らない。が、このイングランド東部の町の読み方は何のひねりもなく、スペル通りのイプスウィッチとなっている。

-borough, brough, burgh

これは通常の英単語でもfightのように登場するため、そこまで疑問に感じない人も多いと思うが、roughはラフであるのに、boughtはブロート(しかも、これに関してはまた下でもう少し詳しく触れるが、このオーという発音は本来auのようにaを含むつづりで用いられるもので、本来ou単品であれば、オウならともかく、オーとなることはないはず)だし、Middlesbroughがミドルズブラなのは冷静に考えると非常に奇妙な話だ。

これは今回紹介する地名シリーズの中では恐らくもっとも『まあ、つづりとかはいいんでうちではこういう発音でやらせてもらってますんで』感が強いもので、このborough, brough, burghたちは基本的に各つづり間に発音の差はなく、全部まとめてブロ/ボロ/ブラ/バラのように発音される(b(ə)rə)。EdinburghのburghもMIddlesbroughのbroughも英三部Peterboroughのboroughの発音もほぼ同じだ。

ミドルズブラのニックネームがboroであることからも、もうつづりと発音の対応なんてなんてどうでもいいや!という感じが若干透けて見える気がする(そもそも、厳密にいうのであれば、Middlesbroughのbの後ろに母音はないし、Edinburghのrの後ろに母音はないため、このバラ的なbとr両方に母音が含まれる言い方はおかしいではないか!)。

その他

これらは特に例外がなく、もう完全に慣例となっているためそこまで誤解はないと思うが、mouthはマウスだが、Bournmoth, Plymouthのように地名の後ろについた場合はマスと読む。

英3部4部まで見渡して、将来的にプレミアリーグのチームとFA杯などでぶつかったりする可能性がありそうなクラブで言うと、Wycombe WanderersやMorecambeF Cのmbeはcombeやtombなどと似てbeや読まずどちらもコム/クムのように読むので、ウィコム・ワンダラーズとモークムFCのような感じとなる。

というか本筋とは外れるがcombeはアメリカではクームと読み、イギリスではコウムと読むのだが、tombがトゥームであることを考えるとイギリスの発音はもうむちゃくちゃである・・・と思ったが冷静に考えるとbombはボムなのでどちらにしろイギリスアメリカ関係なくむちゃくちゃであった。

ちなみにWycombeやMorecambeのcombeとcambeの発音はkəmなので、combeともtombともbombとも違う。

また、 Milton K"ey"nes(MKドンズと表記されることが多いので、あまりこのスペリングを目にする機会はないかもしれないが)はミルトン・"キー"ンズだが、L"ey"ton Orientは何故かレイトン・オリエントで、そして経済学者のKeynesは"ケイ"ンズだ。

Chambersの読み方は?アクセントとシュワ音と長母音とs

ただひたすらイギリスの地名の発音の理不尽さについて滔滔と語る、というパートが異様に長くなってしまって恐縮だが、乗り掛かった舟なので、別にイレギュラーというわけではない、日本ではあまり知られていない英語の発音の基本的なルールについてもせっかくなので少し書いておこうと思う。

単なる偶然だが、それらのほぼすべてがカラム・チェンバースの苗字に詰まっている。

アクセントと母音の発音

英語の母音の発音(eaのような連結しているものを除く)の読み方には基本的には短母音と長母音の二種類があり、長母音の方は基本的にアルファベットの名前と大体対応している。

短・長
a: ア・エイ
o: オ・オウ
i: イ・アイ
e: エ・イー
u: ア(cutのu、アほど開いていない音)/ウ・ウー/ユー

といった具合だ。また、例外がやたらあるのでわかりづらいが、基本的には英語のアクセントというのは単語や名前であれば、真ん中付近あるいは最後から2つ目の音節(1つの母音と子音を合わせたまとまりの事)に来ることが多く、リズムがとれるように強弱強弱弱強弱のような形で連続しないのが通例となっている。

例えば、Maitland-Nilesは『メイ』トランド=『ナイ』ルズという感じでアクセントが置かれる。

そして、注目したいのはアクセントが置かれた母音は長母音として読まれるケースが結構あるという点だ。

例えばIwobiはイウォビというよりもイウォウビ、という発音だし、Mason Mountがメイソンなのと同じ理屈だ。

それと同じで、実はancientの発音がエインシェントであるように、ChamberlainやChambersのChamの部分は実はチェインと発音されている。Cambridgeも同じで、ケインブリッジだ。

ちなみに、またしても脱線してしまうが母音でいうと、個人的にはカタカナ表記では、英語的には結構明確に異なる母音である、オーとオウの区別があまり行われていないのは少しに気になるポイントだ。

aw(e)やalなどa系の伸ばす母音は基本的にオーのような音(lordなどのorと同じ発音)で、owやou、o単品などの場合は伸ばすというよりもuっぽい音が後ろにくっつくオゥのような発音となる(ただしowとouはアウとなるパターンの方が多い)。

したがって、Smith-Roweはロウだし(row(列/漕ぐ)で既にロウと読みますよね?最後のeは何ですか?という質問はなしだ)、Luke Shawはルーク・ショー、Ryan Shawcrossはライアン・ショークロスと表記するのが自然であるように思われ、このオウとオーを混同してしまうと少し変な感じがする。

ちなみに、イギリス英語ではsure, more, poorなどもこのオーとほぼ同じ発音で呼ばれるので少し注意が必要だ。プアーとは言わず、ポー、という感じだ。poorやmore, floorあたりがそうなるのはわかるが、sureがショーになってしまうのは少し不思議だ。

sの発音は前の音が無声音か有声音かで機械的に決まる(edも実は同じ)

また、例外と基本ルールの配分がおかしなことになりがちな英語において、恐らく数少ない例外が存在しない発音が単語末のsだ。複数形や三人称単数など、かなり頻繁に登場するが、この発音がスとなるかズとなるかは、その直前の音が有声音か無声音かで決まる。

有声音というのは発声する際に喉を震わせる必要がある音で
母音+g,d,j,b,v,など濁った音、平たく言えば日本語で濁点がつくような子音だ。ただし、mとnも有声音に含まれる。

一方無声音は摩擦音や破裂音など、喉を震わせずに使わず発音できる子音で
k, t, p, sh, fなどだ。

そして、これは単純に言いやすさの問題だと思うのだが、単語末のsは(僕が知る限り)100%その直前の音に引っ張られる。前が無声音であれば同じく無声音(つまりス)に、有声音であれば有声音(ズ)という具合だ。

Mingsはミングズだし、Phillipsはフィリップスで、Stonesはストーンズ、Prowseは直前がアウと母音なので、プラウズ、だ。

したがって、実はTigersがタイガー"ズ"であるのと同じく、Chambersのsもスではなくズだ。

このルールを知っていれば、複数形になった時や三単現のsの発音はかなり容易に判別できる(今でもセンター試験、というか共通テストの英語の序盤、一つだけ異なる発音を選びなさい、のような問題はあるのだろうか?あるのなら、これで数点稼げるかもしれない)

また、実はこのルールは過去形のedに関しても全く同様だ。動詞の最後が無声音であればedも同じく、blocked(ブロックト)のように無声のtの音となり、logged(ログド)のように有声であればdの音になる。

加えて、sもtも同じく、s-sのようにスス/ズズ/シュス/ジュズ/チュスやt-tのようにトゥトゥ/ドゥドゥという似た音が2連続で続くと発音できないので間にeを挟んでしまえ!ということでclassesやbrushes、guided、plantedのように発音にもイが入り、そしてその後に続くsやdは当然母音の後なのでズやドゥといった有声音となる。

シュワ音(ə)

これに関しては、これを基に日本でのカタカナ表記を改めるべきである!と言うつもりは別にないのだが、日本で表記した場合の英単語や地名・人名と実際の英語の発音が大きく乖離してしまう場合の大きな要因の一つが英語のシュワ音と呼ばれる音の存在だ。説明する前に今回の記事でも何度か既に登場させてしまったが、辞書などを引くと、発音記号としてはひっくり返したeのような感じ(ə)で表記されている。

これは僕は『やる気のない音』と呼んでいるのだが、明確にこういう風に発音する音である!という定義は恐らくなく、アとウとオを足して6で割ったような、何とも言えない弱い母音だ。弱すぎて完全に省略されてしまうこともしばしばある。

先ほどアクセントの話をしたが、基本的に英語話者は、アクセントが乗っていない部分はわざわざ発音を丁寧に説明する必要がある場合や、強調したい場合などを除いて、気合を入れて発音しない。その場合に出番となるのがこのシュワ音で、アクセントが乗っていない場合は母音の多くがこのəに置き換わってしまうのだ。

なので、日本語的・カタカナ的にアクセントの載っていない母音までしっかり発音してしまうと、逆に現地の発音と全然異なる、ということになる(ただし、むちゃくちゃしっかり発音しても別に通じない、ということはないと思う。ただ、逆のパターンでこのシュワ音を認識していないとネイティブスピーカーが何を言ってるかわからん、という事態は結構起こる)。

例えば、かなり長めのenvironmentalという単語があるが、この単語で強調する部分はvi、ついでmeといったところだ。その他の部分は大分ボヤっとした発音になり、ronのoやtalのa、場合によっては頭のeもあまりしっかりと発音されない。

賭けてもいいが、この単語はインヴァイロンメンタル、としっかり発音するよりも、ヴァイの部分だけしっかり発音し、なんならシュワ音のパートはスキップ気味にンヴァイルンメントゥみたいに言った方がナチュラルに聞こえる。

cameraのアクセントはcaにありmeraのeとaはシュワ音に近しい音になるが、eに関しては、シュワ音どころか早く話していたらほぼ発音されないはずだ。Camrくらいの気持ちで発音してもいいくらいだと思う。

他にもRecogniseのcoのoはシュワ音になり、消え、そしてこの音が消えるとRekとgnaizのkとgが連続することになって潰れた結果レクナイズのような発音になることがある(もし機会があったら試してみて欲しい、レコグナイズではなくてレクナイズ、といってもネイティブ相手なら絶対通じるはずだ)。

と、やたら前置きが長くなってしまったが、これは人名や地名にも同じことが言える。

Arsenalは原音に忠実であろうとすれば、うしろのeとaが消え気味でどちらかというアースヌゥのような感じだし、ジャイアントキリングに定評のあるBradfordはブラッドフォードというよりもブラッドフドのような表記が遥かに近い。Effortがエフォートではなくエフットのような発音なのと同じ理屈だ。

が、まあこの辺りはもうむちゃくちゃ前から定着しているオックスフォードのような地名もあるし、オックスフド・ユナイテッドなのに大学はオックスフォード大学なのはおかしいではないか!みたいなことになってくるのでなかなかシュワ音も考慮したカナカナ表記を徹底していくのは難しいように思われる。もし行おうとすれば抜本的なというか、とんでもなく沢山の表記の変更を行う必要があるはずだ。

最後に冒頭の話に戻ると、Chambersもアクセントの位置は頭のChamであるため、bersの部分はシュワ音っぽくなる。そして、既に述べた通りaはエイだし、sはズだ。

したがって、原音に出来る限り忠実にChambersを表記しようとすると、チェインバズないしはチェインブズ、になってしまう、というわけだ。

まとめ: ユース時代/台頭した頃がカギ

審議会の創立者であるsake氏の記事で、過去の面白いカタカナ表記の歴史がつづられていたが、時は移り2022年、世は紙媒体よりもデジタルメディアが幅を利かせる時代となっている。

そのため、大手メディアでもそうだと思うが、僕がやってるような個人ブログであっても、Google先生の検索でいかに引っかかるかがとんでもなく重要となってくるため、いかに原音とは全く異なり、ロジックも何もあったものではないカタカナ表記の選手名があったとしても、もうWikipediaやYahooニュースなどの大手サイトでそれが正しい選手名だと認識されてしまえば、それに追従せざるを得ない。

孤高なる原音忠実至高主義を貫こうとすると、検索でページが表示されなくなってしまう可能性があるからだ(Google先生もさすがにある程度の表記ゆれは許容してくれるが)

したがって、現在では、余程のことがない限り、選手名がどれくらい原音に近いカタカナ表記になるかはもうトップレベルで台頭した最初の1年あたりに決まってしまう、気がする。

例えば、リース・ネルソンは台頭当初レイス・ネルソン、などの表記もあったが、最終的には原音に近いリースに収束していったケースだと記憶している。逆に言うと、この段階でもしレイスという呼び方が定着してしまったら、もうそれを覆すのは困難で、そのままレイス・ネルソンと今でも呼ばれ続けていただろう。

まあそれはそれで別にいいし、個人的にはカタカナ表記において、そこまでむちゃくちゃ原音に忠実にあることにこだわる必要はないと思っているのだけれど、ただ、エムバぺ-ムバッペ問題、ウーデゴーア-ウーデゴール問題のように、途中でころころ変わったり、逆にずっと並行して複数の表記があるとかなりややこしいので、やはりここは、それこそ選手名カタカナ表記審議会のように、誰かしらが日本人がそれなりに納得のいく表記をサクッと考えて、皆それでいく、という形になると色々と楽なのではないか、という気はする。

最後に、今回の記事を書くにあたって調べていたら見つけた『どういうことやねんそれは!』と突っ込みたくなってしまイギリスの難読地名の紹介をもって、この記事の結びとしたい。

Hunstanton: ハンストン
Leominster: レムスター
Kirkcudbright: カークーブリー
Mousehole: マウゼル
Fowey: フォイ
Cholmondeley: チャムリー

最後のチャムリーに至っては、発音っぽくつづればCho(u)mlyでも事足りるはずで、最早発音されている部分と省略されている部分の割合が同じくらいだ。

というわけで、ある程度なじみがある分それなりに知られている発音も多い一方で、やはり最終的には耳で聞かねばわからない、というのが英語の特徴なのであった。

そういう意味では、小豆と書いてあずきと読む、のような日本の漢字の読み方と少し通づるものがあるかもしれない。

(*当然ですが、これは僕の知識/リサーチの範囲内で書いたものであり、誤りがある可能性も十分にあります。修正点などありましたら、ぜひコメントなどで教えてください!)

関連記事(広告含む)

Posted by gern3137