【徹底分析】ガブリエル・ジェズスがアーセナルの前線にもたらすもの
アーセナルが新しいストライカーを必要としていたのは火を見るよりも明らかだった。
オーバメヤンが移籍して以降、アーセナルの前線を率いていたのはラカゼットとエンケティアの二人で、前者は責任感のあるプレイを見せ、その役目を全うしたのは褒められるべきだが、彼は攻撃陣の他の選手を攻撃に引き込むことは得意としていた一方で、前で相手のCBと駆け引きし、彼らをピン止めするようなプレイは出来ず、またコンスタントにゴール前に走り込むことも出来ていなかった。
その後、ラカゼットからポジションを奪ったエンケティアはより機動力とスピードのあるストライカーの重要性を示し、プレスに奔走しながらもカウンターの起点になることもこなし、シーズン終盤に5得点を挙げた。
この活躍を受けて、移籍が濃厚となっていたエンケティアはアーセナルと契約延長となり、残留することになったが、ラカゼットは契約満了と共にクラブを去った。交代枠の増加もあり、エンケティアが今後順調に成長を続ければ十分にアーセナルでチャンスは与えられるだろうが、彼一人ではストライカーが足りていないのは明らかだ。
冬から継続して、エイブラハム、スカマッカ、カルバート=ルイン、オシムヘン、イサク、ヴラホヴィッチといった多くのストライカーたちのアーセナル移籍が噂されてきた。
これらの選手の傾向を見ると、どちらかというと監督は前線でフォーカルポイントとなれるような選手を探しているように見えなくもない。だが、昨今のインフレーションが激しいストライカー市場において、プレミアリーグでの実績が豊富なFWとしては移籍金が比較的安価ともいえるガブリエル・ジェズスを獲得できる可能性があるということが明らかになった瞬間、クラブは彼の獲得に動くことを決めた。
ジェズスはパルメイラスからシティへと移籍し、マンチェスターで5年間を過ごした。その期間中にプレミアリーグを4度、EFL杯を3度、FA杯を1度優勝している。
彼は起用でユーティリティ性のある選手で、これはアルテタとグアルディオラの両者が好む特性でもある。
だが、マンチェスターシティ時代のジェズスは中央での起用がメインだった。彼はプレミアリーグで99試合に先発しているが、そのうちの78試合で中央のストライカーとして起用されており、これらの試合でジェズスは40ゴール14アシストを挙げている。
これは素晴らしい数字だが、ジェズスがストライカーとしてチームにもたらすのは得点だけではない。彼は技術面の安定性を保ったままライン間で+1の選手となってチームに数的優位を作りだすことを得意としている。かれはこの位置から素早く正確なパスを出すことで攻撃のテンポを乱すことなく保つことが出来る。
もちろんボールを持った時に活かされるジェズスの能力の高さはパスに限ったものではない。彼は安易にボールを失うことがほとんどないし、プレスを受けながらもチームのパスの逃げ先になり、そこから相手選手をかわしたり、ファウルを獲得したりといったプレイも見せる。
だが、ジェズスの最良のクオリティはやはりその質の高いランだろう。マンチェスター・シティの前線を任されていた選手なので当然と言えば当然だが、彼の重要な仕事の一つは相手の最終ラインをボックスに向かって後ろに押し下げ、相手を縦に引き延ばすことだった。
これをジェズスは当たり前のように行うことが出来る。
マークしている相手選手と非常に近い位置から絶妙に少しずつ相手から離れ、クロスやパス、セカンドボールが到達する最後の瞬間ギリギリのところでフリーになるような動きはジェズスのトレードマークと言っていいだろう。
ボックス内でこそジェズスの真価は発揮される。彼はシャープな走り込みから頻繁にCBの間に入ってクロスを受けることが出来る一方で、周囲の状況にも常に目を光らせているため、後ろに下がってスペースでパスを受けるべきタイミングも逃さない。
これに加えて、ジェズスは即座にボールをコントロールし、最低限のタッチ数でシュートまでもっていく能力も素晴らしい。彼はタイトなスペースからでも相手のDFから自身との距離を稼ぎ、シュートまでもっていくことが出来る。
ジェズスの得点の多くは、ボックス内での素晴らしいポジショニングから、マーカーを引き離すことで生まれたものだ。
アルテタのアーセナルは攻撃時にクロスやカットバックを行うことも多いが、ジェズスのような選手が居れば、ボックス内での素晴らしいポジショニングでこのようなボールをうまく活かしてくれることだろう。
ジェズスはキャリアを通して実得点がxGを下回っている選手ということが知られており、チャンスを決め切れないこともあるかもしれないのが唯一の懸念点ではあるが、一方で、これは彼が常に多くのチャンスに顔を出し続けているということの証明でもある。
彼が対戦相手にとって脅威となれるFWであることは間違いない。
ガブリエルジェズスの獲得はアーセナルのこの夏の目玉となるだろう。45m£という移籍金で、多くの強豪クラブとの競争を制して、CL出場権のないアーセナルがジェズスの獲得に成功したのは特筆に値する。まだまだアーセナルというクラブの存在感は健在であるということだろう。
彼がサカを休ませる必要がある際に右サイドを十分にこなせるだけの素質の持ち主であるというのもアーセナルにとっては非常に魅力的だが、恐らくジェズスはアーセナルのメインストライカーとして中央でのプレイを任されることになるだろう。
アーセナルのプレイスタイル、そしてマンチェスター・シティとの共通点などを考えると、彼が北ロンドンで大きな成功を収める可能性は高いはずだ。
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ディスカッション
コメント一覧
ジェズスの移籍が完了したことが発表がしれましたね。
ストライカーとして、早く動けるからジェズスが前にいれば、サカ、ウーデゴール、マルティネッリ、スミスローからいいバスが入りますね。
スミスローは、ポジションをLCMFにして欲しいと個人的に思ってます。
右にウーデゴール、左にスミスローを配置して欲しいですね。
SBはリサマルを獲得して、左にリサマル、右に冨安を配置した試合がみたいです。
今シーズンは楽しみです!!
唯一の懸念というか、
もう一つある懸念点「クロスに対するターゲットにならない」
という問題についてどうなんでしょうね。
高身長FWは取るのか取らないのか?
それとも取れないのか?
取らないでしょうね
コーナーキックのターゲットはCK側に近い位置でフリックして、ガブリエル、ホワイトが合わせる昨シーズンにもあったベットで点を取るかたちのみでしょう。
通常の攻撃時にクロスを上げて、フリックなしで競るのは無謀以外の何物でもないでしょうね。
そんな感じですかね。
無謀とは?
昨季あった高いDF陣にゴール前を固められて攻め手なく
意味不明なクロス連発で時間を浪費ってのがなければ
いいんですけどね。
サカやマルティネッリも
ドリでいつも崩せるわけじゃないし
分かりきったパターンでいつも点が取れるわけじゃないので。