欧州屈指の若手CBに成長しつつあるウィリアム・サリバ

分析海外記事

ウィリアム・サリバとアーセナルの関係性はファンの間でたびたび話題になるトピックの一つだ。アルテタの選手の扱い方は自信に満ちた確固たる態度と称賛されることもあれば、若手らしいナイーブな姿勢だとネガティブにとらえられることもあるが、どちらかというとアルテタの決断はクラブにとってポジティブなものが多いように思う。

そして、それはウィリアム・サリバに関しても同様だ。来季サリバはアーセナルに欧州5大リーグの同世代のCBとしては最も経験豊富な選手としてアーセナルに帰ってくることになる。2021年に彼は43試合に出場し、若手の成長にとって何よりも重要なのは出場機会だ。

来季アーセナルには24歳以下の経験豊富なCBが三人揃うことになり、恐らく序列4位となるのがロブ・ホールディングだが、彼のような選手を第4CBとして抱えられるクラブはなかなかいない。

サリバに話を戻すが、彼はフランスで多くの試合に出場しているだけではなく、スタッツ面でヨーロッパ最高のDFたちと肩を並べている。彼は将来的なワールドクラスのCBとして頭角を現しつつあるのだ。

さらに、彼はミケル・アルテタがCBに望むクオリティも備えており、彼はボールの扱いが上手くロールスロイスのようなスムーズさを備えている。

後ろからボールをつなぐことも出来るし、前に出て果敢な守備も見せられる。サリバは出来るだけ高い位置で相手からボールを奪おうとするディフェンスラインを率いることも出来ることだろう。

この1年間でサリバは90分当たり0.21回しかドリブル突破されておらず、これはパーセントランク96の好成績だ。アーセナルのCBと比較してみると、ベン・ホワイトは0.79回、ガブリエルでも0.35回となっている。

過去のアーセナルのCBはムスタフィやソクラティスといったカウンターを食らっているときに相手に飛び込んでいってしまう選手が在籍していたが、この点はサリバは全く異なる。彼は基本的にスライディングタックルに飛び込んでいかず、かつドリブルで突破されることも非常に少ないのだ。

アルテタのアーセナルにおいてもう一つ重要となるのは後ろから冷静にボールを繋ぎ、相手のプレスを突破できるかだが、スタッツ面、そして実際に彼のプレイを見てみても、この能力をサリバが備えていることは明らかだ。

サリバのパス成功率は93.4%で、こちらはパーセントランク97で、ホワイト(84.9%)とガブリエル(86.8%)、ホールディング(89.3%)を大きく上回っている。

もちろんパス成功率が高いからと言って相手のプレスをかいくぐり、良い位置にパスを通せるかは別問題だが、サリバはパスによるボール前進能力も非常に高い。

サリバの90分当たりのパスによるボールの前進距離は470mとまたしても欧州上位5%に入る水準で、パス成功率と同じようにアーセナルのCB達を大きく上回っている(ホワイトが278m、ガブリエルが306m、ホールディングが347m)。

これは凄まじいポテンシャルで、この470mという数字はマンチェスター・シティでモダンなピルロのようなプレイを見せているDFであるルーベン・ディアスとほぼ同じ数字だ。

しかも、サリバはまだ20歳なので、それにもかかわらず、経験豊富なヨーロッパじゅうのCB達の多くを上回っている。

そして、サリバはスタッツが優れているだけではなく、実際にプレイを目で見ても素晴らしい選手だと感じさせてくれる。

マルセイユでプレイする姿は完ぺきに自分の体をコントロール出来ている選手のものだ。踏み出す一歩一歩には自身が満ち、相手のDFラインを突破するパスを頻繁に出せている。

彼はコントロールミスが少なく、体の角度で相手からボールを守るのも上手い。さらに、ただパスを通すだけではなく、受け手の少し前でプレイしやすい位置に通すことまで出来ている。

スミスロウやサカ、ウーデゴールやマルティネッリといった選手たちにこのようなパスが届けば一瞬でゴールまで迫っていくれるだろう。チャンスの質を決めるのは思考のスピードだが、サリバはこの点でも申し分ない。

また、彼は守備時のスピードも速い。単にトップスピードがあるだけではなく、裏にボールが出たような場合に真っ先に反応するのもサリバだ。そして、きちんとタックルのタイミングを計ることも出来るし、反応速度も速い。

ウィリアム・サリバは良い選手だ。

いや、前言を撤回しよう。ウィリアム・サリバは良いどころではない。既にエリートクラスの選手で、今後アーセナルでレジェンドになれる可能性を秘めた選手だ。

もちろんそれは簡単なことではない。今季ベン・ホワイトとガブリエルは非常に良い連携を築いているからだ。

しかし来季アルテタが3人のハイレベルなCB達の中から先発を選べるというのは良いニュースだろう。健全な競争はメンタル面にもプラスに働き、かつ我々の守備において彼らは非常に大きな役割を果たすはずだ。

そして、サリバがマルセイユで声を出して他の選手たちを引っ張る姿勢を見せているのも非常に好感が持てる。

彼はチームを率いており、バックラインを統率することが出来る。ロッカールームでも存在感のある選手のようだ。これもまた、過小評価されがちだがCBの重要な素質の一つだ。自信、活力、コミュニケーション力。ジョン・テリーやトニー・アダムズ、リオ・ファーディナンドといった選手たちは皆これらを備えていた。

アルテタが選手に関して決断の多くは最近成果が出始めている。残りの数か月も彼が正しい決断を下し続けてくれることを願おう。そうすれば、ウィリアム・サリバはチャンピオンズリーグに出場するアーセナルを支える重要な戦力となるはずだ。

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Posted by gern3137