閉じる扉と開く扉
私個人としては、今話題になっているオーバメヤンに下された処罰に関して特に語ることはない。32歳の大人であれば基本的な時間を守ることが出来て然るべきだし、正しい日付のフライトの予約の仕方も知っていて当然だろう。
もちろん、サッカー界のスターたちはしばしばそういった基本的な常識を身に着けていないことがあるのも事実だが。
それに対する罰として、キャプテンはく奪が正当な決断なのかを考えるにおいては、明らかになっていない判断材料が多すぎるので何とも言えない。
まず第一に、我々は練習場での内部情報をもっていないため、実際の状況の全全体像がつかめていない。ファンにとってそれは鍵穴から家の中をのぞこうとするようなものだ。
第二に、私は自分のキャリアにおいて人を管理しなければいけないポジションに就いたことがあるものの、それを非常に苦手としていた。特に人をインスパイアすることにかけては。
それは私の気質と会っておらず、孤独なサッカーライターとして一人で仕事をする方がずっと性に合っている。したがって、人を管理するにおいて何が正しいやり方、私の意見は全く参考にならないだろう。例えて言うならそれはフェイスブック広告でワクチン接種の情報を収集しようとするようなものだ。
それよりもむしろ、私は今回の元キャプテンと監督の衝突がチームにとって意味するものは何かにより興味を持っている。
オーバメヤンは素晴らしい選手で、公の場に出ることになった対立を彼が乗り越え、気持ちを切り替えてチームへの貢献を続けてくれることを願っている。
だが、もしどうしても難しいのであれば、その場合にチームがどうなるかを考えなくてはならないだろう。私の姿勢はエジルの件の時も同じだった。選手個人よりも、それがチームに与える影響の方に興味があるのだ。
私は何度もアルテタ体制下のアーセナルの攻撃について書いてきたが、先日も書いた通り、今のチームで唯一攻撃陣だけはアルテタが(エドゥもだ)そろえた選手たちで構成されていない。
アルテタとエドゥはウィリアンの獲得により大批判を受け、オーバメヤンの契約延長も疑問の余地はある決断だったが、これらの決定と既にチームに在籍していたラカゼットとペペも合わせて、どちらかというとアルテタが本当に望む選手を獲得できる状況になるまで攻撃陣は既に揃っている選手を何とか生かさなければならないという状況だった。
スミスロウとサカというユース卒の二人が台頭してくれたおかげで、アーセナルのファイナルサードへの侵入は改善され、ウーデゴールはローン期間中に輝き、アルテタとエドゥを完全移籍での獲得に値する選手だと納得させた。
スミスロウとウーデゴールの二人がより多くのゴールを中盤からもたらし始めている。
この背景には、アーセナルはペナルティスポットやペナルティエリアの端へのカットバックで終わる攻撃が多く、最前線の選手たちがより前で相手DFを引き付けていることのが理由の一つとしてある。
これはラカゼットが好むエリアでもあり、それはサウサンプトン戦のゴールを見ればわかるだろう。一方で、オーバメヤンはよりファー側やゴールエリアへのボールを好むため、アーセナルがこのようなボールを供給できないのが彼の得点が減っていることは部分的に説明がつく。
もしオーバメヤンのメンバー外がチームの前線の若返りを促進するのであれば、プラスに働く面もあるかもしれない。
キャプテンとは関係なく、特に罰を受けるようなことをしたわけではないはずだが、ペペも最近は干されていると言っても良い状況で、彼ら二人が(理由は異なるかもしれないが)チームを外れれば、その穴を埋めるのはガブリエル・マルティネッリになるだろう。
マルティネッリが出場機会を得る上で最大のライバルがペペとオーバメヤンの二人で、ビルドアップへの貢献が大きくない得点力重視型のアタッカーを3人前線に起用するのは難しかったが、この2人が居ない状態でマルティネッリがチームで適応してチャンスを掴んでいる。
ウエストハム戦後にアルテタはマルティネッリの成長を『彼はプレイをいくつあのギアに分けてできるようになっている。未だに常に時速160kmですべてを行ってしまう時もあるが、彼が時折見せるエネルギーとクオリティはトップレベルだ』と称賛した。
もちろん、単に選手の成長というだけではなく、そのような緩急をつけたプレイを見せるのは途中出場で短い時間しか与えられず、何とかアピールしなくてはいけない、という状況よりも先発出場した際の方が簡単だというのもあるだろう。
とはいえ、今でもマルティネッリは何が何でも自分でシュートを打つ、あるいは危険なエリアにクロスを上げようとするタイプの選手に見える。
ペペとオーバメヤンが居ないのであれば、このようなタイプの選手をチームに起用するのは筋が通っているし、恐らくマルティネッリが居た方がラカゼットからより多くを引き出せるだろう。
彼はボールに寄って行って味方と連携することを好むが、それによりボックス内のスペースに誰もいなくなってしまうことがある。マルティネッリが居れば、それはそこまで大きな問題ではなくなるだろう。水曜日の夜に示された通り。
もう一人ボックスに走り込む選手が欲しい所だが、今季はスミスロウがそれをできている。
オーバメヤンとペペの扉が閉ざされてしまったことで、逆にマルティネッリにとってはチャンスとなり、我々は1~2年後のアーセナルの将来の攻撃の姿を目撃しつつあるのかもしれない。
恐らく次にアーセナルが獲得してくるストライカーはどちらかというとオーバメヤンよりもラカゼットよりの選手になるのだろう。
当然ながら一試合で新時代の到来を宣言するのは早いし、オーバメヤンが居てくれた方が好ましい。この1年半程度は得点数は少し落ちているとはいえ、それでも彼のもたらす得点とボックス内での存在感を手放すのは惜しい。
しかし、今季マルティネッリの進化が加速するのであれば、今回の件にもポジティブな点はあるということだ。1月にはAFCONも控えており、マルティネッリが今のまま勢いを保つ良いチャンスを得ることだろう。
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ディスカッション
コメント一覧
今シーズンのオーバは昨年までとは違う、決して得意でない
前線で受け手になるプレー、プレスに奔走してきました
これはチームの構造上必要なプレー
しっかり準備してきたはずでアルテタもオーバの姿勢を称賛してきた
もちろん十分でないぶんラカと並べて起点を増やしたりした
おそらくこれは現状オーバにしかつとまらないのでは
でもCovidに関することはなぁなぁという訳にいかない
開幕での経験現在のプレミア調子崩せばシーズンを棒にふりかねないすべてが水泡に帰す
決断を下すというのは、もう片方の選択肢を捨てきるということ、それだけの厳しさを見せた訳で
同時に真意は伝えたはずです
あとはオーバの態度次第になるでしょう