アーセナルのオーバメヤンとティアニーを例に見る、理想のスプリンターの体勢
サッカー選手、あるいはフィールドで走り回るスポーツの選手すべてにとって重要なのは加速力で、特に最初の5-10mが重要だ。
これを備えたサッカー選手は非常に多くのオプションを得る。もし相手DFが近寄りすぎればかわすことができるし、それを恐れて迂闊に近づくことが出来なくなるからだ。
したがって、加速力を備えた選手は直接的あるいは間接的にスペースを手に入れるわけだ。
このため、近年特にサッカー選手たちはスポーツ科学を駆使してコンディションに力を入れ、トレーニングを行うようになっているし、ショートスプリントに秀でるために必要な要素も解明されてきている。
これに関して、アーセナルの素晴らしいメディカルチームが非常に興味深い情報を公開していたので、この動画と私のスプリントのメカニズムの知識に基づいて解説していきたいと思う。
まず、第一にチームトップのスプリンターであるオーバメヤンとティアニーの走り方には共通する点があるのは興味深い。二人の走る姿を見てみよう。
4つの鍵となるポイントは、いわゆる"ドライブ"フェイズというものだ。
①まず、ティアニーとオーバメヤン二人の胴体に注目してほしい。二人とも明らかに前傾姿勢で、これは重心を低くしてバランスを良くし、かつ空気抵抗を抑える効果がある。
②そして、次に注目したいのは彼らの一歩目の足だ。二人とも膝を前に出し、腰を引き上げていることがわかる。これによりトルクが生まれ、エリートスプリンターの前進に必要な推進力が生まれるのだ。
③第3に、後ろ脚がまっすぐ伸びており、腰と背中、ひざ、足首までほぼ一直線になっている。これは多くの短距離走のコーチが教えるメカニズムで、パワフルな前への推進力を生み出すのに役立つ。
④そして、最後に彼らの腕だ。二人とも、勢いよく腕で体を引っ張っているだけではなく、ちょうど逆の足と逆側に位置しており、バランスをとっている。
ヌノ・タヴァレスのスプリントの映像がなかったのは非常に残念だ。彼のショートスプリントも素晴らしく、彼のテスト結果は公開されていないが、彼がチーム最速の選手の一人であっても驚きではない。
次に、オーバメヤンとティアニーのスプリントと他の選手たちと比較してみよう、まずサンビ・ロコンガだ。
まず、ティアニーとオーバメヤンよりも上体が起きており、腰とひざの位置が低く、かつ下半身がまっすぐではなく、中に向かって入るような形になっている。
この違いは、ウーデゴールの画像を見るとさらに良くわかる。
マルティンの左ひざはほとんど地上から45度の角度になっているし、体全体が右に向いている。
何故これが重要かというと、体が直線状になっている方が力を効率的にかけることができ、前方に推進力が生じるからだ。
サンビやウーデゴールのように完璧にまっすぐに近い体勢ではないと、いくつかのベクトルに力が分散してしまい、スピードにインパクトを与えてしまう。
ただし、これはあくまで理論上の話であり、これが全てというわけではない。人それぞれパターンや合った体勢があり、理想的な姿勢ではなくとも素晴らしい加速力を備えている選手も多くいる。
とはいえ、このような分析は選手たちの簡単に修正可能な改善点を見つけ出すのに役立つ可能性がある。例えば、ウーデゴールはもう少し、目の前の腰くらいの高さの場所を膝で蹴るような踏み出しを意識すると、加速に役立つかもしれない。
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面白い記事。ありがとうございます