ワトフォード戦を例に見る冨安健洋がアーセナルにもたらしたもの 前編
シーズン開幕の時点でアーセナルが右サイドバックを必要としていたことに疑いの余地はなかった。ただし、人数は足りていたため、右サイドバックならだれでも良かったというわけではない。アルテタが望む能力を備え、スタイルに合う選手が必要だった。
マックス・アーロンズやエメルソン・ロイヤルといった選手の移籍も噂されたが、彼らは現状のアーセナルのシステムに合う素質をそなえていなかった。
しかし移籍最終日に突然冨安健洋の名前が現れ、その日のうちに18m£程度の移籍金でアーセナルへと加入していた。
当初冨安に関しては英国ではあまり多くが知られておらず、アルテタの選択に戸惑う声も上がり、ファンの意見は割れた。
『またパニックバイか』などといった声も聴かれたが、今季ここまでの所冨安は高いパフォーマンスのレベルを保ち、彼の批判者たちが間違っていたと証明している。その最新のものが今回のワトフォード戦だ。
冨安のボール保持時の役割
より詳細に見ていくと、冨安の獲得はまったくもって理にかなっていた。彼がイタリアで遂行していた役割はアルテタが右サイドバックに求める、ファーストフェイズからセカンドフェイズへのボール前進とほぼ同じだからだ。
ヴィラ戦やレスター戦ではアルテタは2-4-4の形でビルドアップを行い、パーティとロコンガが良い距離を保てるような仕組みだった。冨安とタヴァレスがサイドに広がることで相手を横方向に引き延ばし、中央にスペースを作った。
だがワトフォード戦では、かなり流動的にローテーションを行ったものの、冨安は右CBの位置に落ちてビルドアップを行うことが多かった。
ただし、冨安はどこのポジションでもその役割は変わらず、そこからファイナルサードへのアクセスが見込めそうなエリアにボールを運ぶことだった。
冨安のサッカーIQの高さ
彼の高い技術と高い対人守備能力を備えたDFだが、過小評価されがちなのは冨安のスペースを見つけ出す力と試合を読む力だ。
以下はジョシュ・キング含むワトフォードの中盤の5人がアーセナルの縦へのパスを防ごうとしている場面だが、相手の4-5-1のブロックはそこまで整備されているとはいえず、冨安のポジショニングにより、より大きなスペースが生まれ、ベン・ホワイトは良い縦へのパスを危険なエリアに向けて入れることが出来た。
ラカゼットがボールを受けようと右のハーフスペースに位置しているが、そのタイミングで冨安は右サイドを上がっていき、デニスの注意を引き付けている。これによりホワイトはラカゼットへのパスを通すことができたのだ。
同じように、以下の場面では、冨安はハーフスペースの代わりに大外からのボール前進を手助けするようなポジショニングをとっている。
これは中に入るタイプのサイドバックのプレイで、今度は外側にいたラカゼットのもとにボールを届けた。
この2つのケースでは両方ともボールは最終的にファイナルサードへ到達したが、これは冨安がきちんとビルドアップを助けるために必要な位置を認識し、そのようなポジションをとったことから生まれたものだ。
後半はこちら!
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