アーセナルの第二次プロジェクト・ユース 後編
前編はこちら:
流石に10代の選手と比べると、20代の選手の方が将来的に達成できることの波は少ないはずだが、それでも、アーセナルにとって特にラムズデール、ウーデゴール、ホワイトの3人がどれだけ活躍できるかは非常に重要になってくる。
彼ら3人こそ、ファーストチームの軸となるべくして高額で獲得されてきた選手で、ウーデゴールとホワイトは既にチームの背骨と言っていい選手だし、ラムズデールも近いうちにそうなるかもしれない。
この3人は将来的に素晴らしい選手に成長するだけではなく、現時点で良い選手でなくてはならない。
チーム事情を考えると、冨安も即戦力となることを求められるだろう。ロコンガは今すぐというほどではないより中期的な"賭け"で、タヴァレスに関しては、あくまでティアニーの控えとして連れてこられた選手なので、現時点で結果を残す必要性は薄い。
タヴァレスがティアニーをベンチに追いやってスタメンするというケースは考えづらく、結果的に素晴らしい選手だったが出場機会を求めて移籍する、あるいは思うようなパフォーマンスが見せられない、という結果になる可能性も高そうだ。
普通に考えれば、タヴァレスがティアニーからポジションを奪取できない状態で契約延長に応じるとは考えづらい(とはいえ、チェンバースはアーセナルにもう7年在籍しているわけなので、何とも言えないが)
選手の才能を見抜く力という観点で言うと、アルテタとエドゥの実績はあまりよくない。このコンビは完全にセドリックとウィリアンの特性を見誤った(パブロ・マリもかもしれない)し、オーバメヤンと巨額の契約延長を行いながら、明確に彼を活かせるプランを用意できていないようだ。
ネルソンやナイルズ、エンケティアといった選手に関しては最終判断を下すのをためらった結果、最も適した売り時を逃したのではないかという懸念がある。
この夏、クラブは明確な方針を見せ、これに伴ってアーセナルの才能発掘の精度も上がっていると願いたいものだ。
例えば、昨季ウィロックをローンに出した上でこの夏の売却に成功したというのは、小さな一歩だが、正しい方向性への一歩だといえるだろう。アーセナルは現状の選手放出が全くうまくいっていない状況を変える必要がある。
エドゥは同じインタビューで若手とベテランをうまく融合させることの重要性に関しても述べており『我々のイレブンのうち5人は経験豊富な選手で、レノ、ジャカ、パーティ、ラカゼット、オーバメヤンが居る』とコメントしたが、問題は、この5人のうち4人をアーセナルはオファー次第で夏に売却していたかもしれないという点だ。
昨季のアーセナルに関して、ベテラン選手のリーダーシップの欠如への批判は多く聞かれ、むしろチームを引っ張っていたのはサカやスミスロウといった若手だった。
私が思う問題は二つあり、まず第一に29-33歳といった年齢の選手は将来性のあるプロジェクトに対してモチベーションを感じるのが難しいはずだ。若手のキャリアを将来的に輝かせるための踏み台になるのはエキサイティングなプロジェクトだとは言えない。
しかし、恐らくより重要なのは単純にクオリティの問題だろう。昨季ベテラン選手はリーダーシップを欠いていたわけではなく、単にクオリティを欠いていたのだ。
2020年の杯決勝でオーバメヤンが得点を挙げアーセナルを優勝に導いた際に、オーバメヤンのリーダーシップに文句を言うものは誰もいなかったはずだ。
リーダーシップという点では2020/21シーズンになってオーバメヤンが何か変わったというわけではない。単純に多くの要因が重なって思ったようなプレイが見せられなかっただけだ。
エドゥはインタビューでホールディングやチェンバース、セドリックといった選手たちの名を挙げなかったが、これは彼らがリーダーシップを欠いているというわけではなく、チームの立場的に上の5人よりも劣るというだけだろう。
結局のところ、若さ、経験、リーダーシップ、それらは確かに重要なのだが、チームにおいて重要なのは才能と能力だのだ。それがなければ始まらない。
スミスロウとサカはリーダーとなる素質を備えているから去年中心となったというよりも、単にぞれぞれがアーセナル最高の選手のうちの1人だったというだけだ。
この2人は良いパフォーマンスを見せるにあたって、特に29歳のベテラン選手からのこぶを必要としていなかった。彼らが良い選手なので良いプレイを行っただけだ。
彼らをワンランク上のレベルに引き上げたのはその能力だ。
若手だからと言ってリース・ネルソンに無条件にチームでの居場所は与えられなかったし、経験があるからと言っていつだってセドリックがメンバーに選ばれたわけではない。
結局は選手たちの能力がアルテタとエドゥのプロジェクトの成否を決めることになるだろう。彼らがこの夏新加入の選手たちの才能を正しく測ってくれたのであることを願おう。
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