【データビジュアルで見る】ジョー・ウィロック

スタッツ・戦術Jon Ollington,海外記事

夏のトーマス・パーティの獲得、スミスロウの台頭そして冬のウーデゴールの獲得によりジョー・ウィロックのアーセナルの立場は下がることとなった。

彼の成長のためにアーセナルはニューカッスルへとウィロック半年間のローンに出すことを決めた。

ロンドンはウォルタム・フォレスト生まれのウィロックはアーセナルのアカデミー卒の選手で、なんと4歳の時にクラブに加わっている。

ファーストチームデビューは18歳の時リーグカップの試合で果たし、途中出場が多いものの既にアーセナルで78試合出場している。

U-23時代にはフレディ・ユングベリのもとウィロックは何度も素晴らしいパフォーマンスを見せ、トップチーム昇格後にもヨーロッパリーグで特に輝き、直近の5試合で3ゴール3アシストという活躍を見せた。

結果的にローン先のニューカッスルでは7試合連続得点というイアン・ライトやティエリ・アンリと並ぶ歴代4位の素晴らしい記録を打ち立てることになったわけだが、やはりアーセナルは彼に合ったシステムを用いておらず、定期的な出場機会を与えられなかったこともあり、アーセナルではプレミアリーグに関して言えばそのような輝きは見せられなかった。

(この図はジョー・ウィロックを欧州5大リーグの基準で評価したものだ。)

問題は、ウィロックのスキルセットはパス交換をスムーズにするという点への貢献が少なく、既にアンバランスなチームにはめ込むのは難しい、という点だ。

彼はプレイメイカーではないし、ダブルボランチの一角としてプレイするにはポジショニングの規律面が足りない。

だが一方で、相手ゴールを脅かすことが少ない今のアーセナルにとって、彼がもたらす得点力はまさにチームが欠いているものだ。

何とウィロックはニューカッスルでの短い期間中に、アーセナルの中盤全員の得点数を足したよりも多くのゴールを決めている。


(上の図左はウィロックのオープンプレイの全てのアクションのヒートマップ、右はパスを受けた一のヒートマップとなっている)

しかし、ウィロックを違うシステムに移してまた同じ結果を期待できる、というほどサッカーは単純ではない。

スティーブ・ブルースはニューカッスルで5-3-2を用い、ウィロックは3人のMFのうち右側でプレイする。平均ボール保持率が38%で、バスを止めてカウンターを活用するチームでプレイしていることもあり、ウィロックのボールタッチの多くは自陣内のものだ。

だがこのような状況で、ウィロックはボールを長い距離運ぶことが出来、得点機に顔を出すことが出来るので、非常に良く活きる。

ニューカッスルのボール保持時には、ストライカーのように機能し、ウィロックが最前線にいるというのはよくあるパターンだ。

ウィロックがパスを受けた位置のうち13%は右のハーフスペースだが、9%は相手のボックス内なのだ。

アルテタのアーセナルはボール保持に重きを置くが低いブロックの相手に苦戦することが多かったが、これが改善されたのは先発11人のうちプレイメイカーを2人起用したことが大きい。

恐らくウィロックをチームに戻すのであれば、この2人のポジションで起用するという事になるのだろうが、これは簡単ではないだろう。

ローン期間中にウィロックは14試合に出場し(11試合に先発)、90分当たり1.56本のシュートしか打っていないにも関わらず8ゴールを挙げた。

全シュートのうち71%が枠内シュートで、平均距離は11.9mだ。さらに細かく見ると、ヘディングが6本(2得点)、右足が11本(3得点)、左足が5本(3得点)となっている。

ウィロックはxGをはるかに上回ったゴールを決めているため、このニューカッスルでの期間と同じだけの得点率が今後もずっと続くというのは現実的ではないだろう。

ウィロックの数字をアーセナルの選手と比較すると、例えばパーティはシュート数はほぼ同じくらいだが、平均距離は(驚きではないと思うが)29mとかなり遠いし、枠内シュート率も15%しかない。

ウィロックと同じようなシュートの傾向があるのはオーバメヤンで、サンプルとなる試合数こそオーバメヤンの方が多いものの、オープンプレイからのシュート一本当たりのxGは0.16(ウィロックは0.2)、平均距離も12mとほぼ同じ数字となっている。

多くの点でウィロックはFWのようなプロフィールを持つ選手だと言えるだろう。

見た目はそこまで高く見えないものの、実はウィロックは身長も185cnある。どこかのタイミングでアルテタは『もし我々がボックス内に選手を送り込めれば、得点は決まる。簡単な算数だよ。』とコメントしていたと思うが、アーセナルは誰も居ないところに向けてクロスを放り込むことも多々あった。

ニューカッスルでウィロックは空中戦でも十分に脅威となれることを示しているし、正しいタイミングで走り込み、クロスに合わせることができる。

(上の図はウィロックがニューカッスルで記録したプログレッシブパスのマップだ)

だがそのコストはどのようなものになるだろう?ウィロックは総合的に見て、CL出場を果たすようなクラブに相応しい能力を備えているだろうか?

彼のパス能力はかなり限られており、ボール前進に関する貢献は少なく、タイトな守備陣を切り崩すようなパスの精確性もそこまで高くない。

(上の図は、ウィロックのニューカッスル時代の守備アクションのマップだ)

また、ウィロックのタックル数とインターセプト数はかなり高い水準にあり、守備のやる気があるのは間違いないが、時折集中を切らすことがあり、もしダブルボランチとしてプレイするつもりがあるのであれば、ここは早急に改善する必要がある。

最近フレディ・ユングベリは『もしジョー・ウィロックをボックストゥボックス型MFとして使えば、彼はボックスに送れて飛び込み得点を決めてくれることだろう。オーバメヤンのようなスピードもある』

この数か月のウィロックを見るに、このコメントは的を得ていると言わざるを得ない。

だが、ここまでのところ、ウィロックが適しているのは3人CMFを起用するシステムで、アルテタの4-2-3-1ではなさそうだ。

もしアルテタが今後も今季のチームの成績を大きく変えたダブルクリエイター体制を継続したいと考えているのであれば、ウィロックはトップ下としてはプレイできないし、守備面とボール前進力を考えると、恐らくダブルボランチの一角としてもプレイできない。

したがって、問題となるのは、ウィロックの得点力と相手にカオスを引き起こす能力はウィロックの弱点を補って余りあるものなので、フォーメーションの変更すらも考える価値があるものなのだろうか、それとも、好調のうちにウィロックを売却してしまうべきなのだろうか、という問いだ。

ニューカッスルではウィロックは途中出場から3得点を記録しており、スーパーサブとして残すという考えももちろん魅力的だが、ウィロックの移籍金をスタメンの選手の強化資金に充てられることを考えると、ベンチの選手を増やすために売却をためらうのは良い考えだろうか?

クラブがどのような決断を下すとしても、それがエドゥとアルテタにとって難しいものになることは間違いない。

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Posted by gern3137