アルテタが越えなくてはならないハードル 前編
最近私はアルテタのアーセナルの攻撃について、そしていかに彼がアーセナルを第二段階に進めなくてはならないかについてはよく書いている。
(こちらなど)
現在アルテタがアーセナルの攻撃をいかに改善できるかは議論の中心になっているが、これについての不満はもう十分に書いたように感じるので、逆に一歩引いた目線から、これを成し遂げるためにはアルテタはどのようなハードルを超えなければならないかを見ていきたいと思う。
最も大きなアルテタにとっての障壁は、近年のアーセナルの歴史的にアンバランスな選手補強だ。特に攻撃陣においてそれが顕著で、まず2017年にベンゲルは過去に獲得できる可能性があったにもかかわらず何度か見送っていたラカゼットについに50m£を支払って獲得することを決めた。
恐らく彼はアーセン・ベンゲルにとって理想の獲得というわけではなかったはずだ。それは、そのたったの6か月後に彼が更なる大金を費やしてオーバメヤン獲得を決めたことからも明らかだ。
この二人は素晴らしい友人関係にあるかもしれないが、この数年間でアーセナルはこの二人を完全に納得いくような形で同時起用することは出来ていない。オーバメヤンが左WG/インサイドFWの位置に押し出されることが多い。
そして、2019年にはクラブは72m£もの大金を費やしてニコラ・ペペを獲得したが、彼は当時の監督であるウナイ・エメリがのちに語ったところでは、特に彼が望んでいた選手ではなかったという。
そして、アルテタ監督就任後のペペの使い方を見るに、アルテタも同じビジョンを共有しているのだろう。
そして、ラカゼットは残り契約が2年を切っているが契約延長を打診されている気配はない。これもアルテタがラカゼットをどう評価しているかを示している。
つまり、アーセナルは180m£分の同時起用できない攻撃陣のタレントを抱えているのだ。
彼らはお互いに補完し合えるような相性の良い選手たちとは言えず、アルテタはこの3人のうちの1人しか本当の意味では信頼していない。ラカゼットやペペに関するアルテタのコメントと、オーバメヤンに対するコメントを比較してみればそれは明らかだ。
だが、アーセナルにとっての問題は、クラブはこのような選手獲得を失敗だったと見切りをつけるような立ち位置にはない、ということだ。
マンチェスター・ユナイテッドはフレッジやポグバ、マティッチといった選手に大金を費やしたが、その後さらにブルーノ・フェルナンデスやファン・デ・ベークといったスターたちをチームに加えることが出来た(コロナ禍に見舞われ、しかも彼らはサンチェスを退団させるために追加で支払わなければならなかったにもかかわらずだ。)
マンチェスター・シティやチェルシーも、もし高額の選手獲得が失敗に終わったとしても、彼らをローンに出すか、割安価格で再び売りさばき、もう一人60m£の選手を買ってくればいい。
だが、アーセナルにそこまでの金銭的な余裕はない。選手補強と契約管理の失敗によりさらに状況は悪化している(アーセナルで最も高給を得ている選手がメンバー登録すら外れているのは今更言うまでもないだろう。)
アーセナルはこの夏トーマス・パーティとガブリエルという二人を獲得し、チームの背骨を強化するのに成功したが、これにより、もう一人のアルテタのトップターゲットであったフセム・アワール獲得を行う余裕はなくなった。
攻撃陣の強化のため補強できたのは、フリートランスファーのウィリアンだけだ。したがって、そのうちの2/3ほどは彼の理想ではない攻撃陣を何とかやりくりしてアルテタは攻撃を構築しなくてはならない。
アーセナルにペペとラカゼットを格安価格で売りさばいてアルテタの理想のターゲットの獲得に動く余裕はないからだ。
(後編に続きます)
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