アーセナルの新コーチ陣紹介
先日アーセナルのコーチングスタッフに3人の新コーチが加わることが発表されました。ゲオルグソン、クエスタ、モリーナの3人ですが、特筆すべきはなんといってもその年齢でしょう。
既にスタイフェンベルフとスティーブ・ラウンドというコーチとして第一線で幾多の名将の下活躍を続けてきた二人を擁しているアルテタですが、今回は昨年までのスタッフに若い才能が加わることとなりました。
この3人のうち最年長のゲオルグソンですら、アルテタと同年代の38歳で、最年少のクエスタに至っては、選手たちの多くよりも若い25歳です。詳細な記録は分かりませんが、これはアーセナルのコーチ史上最年少と言ってもいいなのではないでしょうか。
今回は彼らがどういった経緯でアーセナルに白羽の矢を立てられることになったのか、全力で調べてみました。
全体像
まず全体像としてはこんな感じです。ルカッセンさんについてはこちらも見てみてください
アンドリース・ゲオルグソン
出身: スウェーデン
年齢: 38歳
前職: ブレントフォード
特徴: セットプレーのスペシャリスト
アーセナルがセットプレーを苦手としているというのはずいぶん前から指摘されていましたが、それは当然アルテタも認識していたようで、最近のアーセナルは長身の選手の補強が続いていたのに加え、イングランドで最も革新的なクラブと評判のブレントフォードでセットプレー担当と選手育成主任を兼任していたゲオルグソンをコーチングチームに加えました。
とはいえ、ブレントフォードに加わったのはつい1年前のことなので、1年での超スピード出世と言えそうです。もともとは母国スウェーデン中からタレントが集まるマルメFCのアカデミーなどで働いていました。現役時代はCBだったそうです。
マルメではユーススカウト長なども務めていたセットプレイの改善だけではなく、育成やスカウティングに関するインプットも期待したいところです。
EU法の改正で18歳未満の若手の引き抜きを国外から行うことが不可能になるということを考えると、スウェーデンという小さな国で限られた母数の中からタレントを選りすぐる、というプロセスを日常的にマルメで行っていた彼の経験は非常に有用なものとなることでしょう。
カルロス・クエスタ
年齢: 25歳
出身: スペイン
前職: アトレティコ・マドリード ユースアカデミー
役職: 個人指導コーチ
なんと1995年生まれ、25歳の新コーチがアーセナルに誕生です。
マジョルカ島生まれで、スペインの地域代表としてマルコ・アセンシオとはチームメイトとしてプレイしたこともありましたが、早々に選手としてのキャリアは諦め、18歳になったのを機にマドリードへサッカー留学を決意、指導者としての道を目指し始めます。
とんでもない行動力の持ち主で、ツイッター上でメッセージを送りまくり最終的にアトレティコのスタッフとして採用してもらい、ユースアカデミーのコーチに昇格すると、休暇中にはヨーロッパ中のクラブを回り見学をさせてもらったそうです。
そのうちの一つに、アルテタ在籍時代のマンチェスター・シティも含まれており、非常に感銘を受けたのだとか。
彼についてはより詳しくこちらに書きましたので、もしよければどうぞ。
もちろん経験という意味では年が上の方が良いのかもしれませんが、ツイッターアカウント上での彼のプロフィールによると、アーセナルでの役職は個人指導コーチらしいので、最もそのような指導を活かせるであろう若手は彼と同世代ということを考えると、より年齢の近いコーチというのは逆に親しみやすくポジティブな影響が期待できる、のようのなこともあったりするかもしれません。
ミゲル・モリーナ
年齢: 27歳
出身: スペイン
前職: アルメニアサッカー協会
役職: 戦術分析コーチ
より年少のカルロス・クエスタのせいで若干インパクトは薄れてしまっていますが、27歳でもとんでもなく若い年齢です。
もともとマドリードのラージョ・バジェカーノの下部組織でプレイしていましたが、その後クエスタと同じくアトレティコ・マドリードのアンダー世代のコーチとしてのキャリアを歩み始めます。
その後、現在はバレンシアでコンディショニングコーチを務めるハビエル・ミナーノのアシストタンととなり、彼について韓国サッカー協会とアルメニアサッカー協会で働いた後、今回アーセナルに引き抜かれることとなりました。
大学で教えた経験もあり、スポーツ関係の論文も何本か執筆していたりとアカデミック色の強いバックグラウンドの持ち主のようです。
役職は戦術分析コーチとなっていますが、戦術的ピリオダイゼーションの造詣も深く、"ゲームモデルの発達に基づく個人パフォーマンスの最適化に関して: 分析と方法論の応用"というテーマで論文を書いたり、ハイパフォーマンスセンターという所のコースを受講していたりもするので、パフォーマンス/育成系の知識も豊富そうですね。
ユングベリとサル・ビッボはクラブを去ってしまいましたが、アーセナルの残りのコーチ陣の紹介はこちらをどうぞ!
ちなみに、リバプールへと去ったフィジオのクリス・モーガンの後任にはPSGでフィジオを務めていたブルーノ・マッツィオッティという人が来るようです。ブラジル人でエドゥとも一緒に働いた経験があり、ネイマールやチアゴ・シウヴァから高い評価を受けていたのだとか。
ディスカッション
コメント一覧
インテリジェンスなら若いほうがエネルギーと野心ありますよね
クラブ全体の膨大な仕事量で鳴らしたベンゲルでしたが、現在は違う種類のハードワークが必要なんじゃないでしょうか
昔は60分間の体力計測、試合でも60~70分頃の交代で管理、3日ごとの試合間はリカバリーのみ
相手の研究はするが、あくまでも自分たちが試合を動かしていく
おそらくアルテタはより緻密に相手を分析、手法も明解にあって毎試合やれることはハードワークする
その辺ペップを踏襲していて、その意味ではもしかしたら長期政権は難しいのかもしれない
勝点の為に現実的に戦うが基本姿勢は攻撃的な選手選考で、時にはリミッターを外す
その潔さが昨季のスパで結果モウのセットプレーに萎えさせられたんだと思います
セットプレーのディフェンスも防ぎよう無いものと、おそらく毎試合しっかり研究準備すれば防げるものがあって
オフェンスでも相手の弱点だったりパターンやアイデアを提示したり
セットプレーだけでもコーチが必要なくらい突き詰めてるということでしょうか