アーセナルはメイトランド=ナイルズの売却に関して、チームの現状と理想像の両方を考慮する必要がある
エインズリー・メイトランド=ナイルズにとって、先週の日曜日は素晴らしい日だった。23歳の誕生日を迎え、コミュニティシールドではトレードマークの冷静さと共にPKを沈め、マンオブザマッチに選ばれた。
そして、その夜にはイングランド代表に初招集されたのだ。今回サウスゲートは誰も左サイドバックを招集しておらず、ナイルズに出場機会が与えられる可能性は大いにある。
これらのおかげで、アーセナルファンは彼のウルブズへの売却を疑問視し始めた。そもそも私はナイルズがそこまでサイドバックでのプレイを嫌がっていたのかは確信がなく、単純に、よりプレイしたいのはウイングだ、と述べていたくらいだったように思う。
ウェンブリーでシティ、チェルシー、そして今回リバプール相手に素晴らしいパフォーマンスを見せた今となっては、私も含め、多くのファンがもしかすると、彼をクラブに留めた方がプラスなのではないかと考え始めている。
ナイルズは既に青二才ではなく、成熟したプレイをウイングバックとして見せられることを示している。だが、このナイルズのポジション面で融通が利くという特徴は、アーセナルにとっては恵みだが、選手本人にとっては呪いでもあった。
アルテタの新体制スタートと共に、時折中に入り第三のCMFとなる偽右サイドバックとして素晴らしい活躍を見せていたが、アルテタがナイルズの態度に疑問を抱き始めたのと同時にこの活躍の場はなくなってしまう。
それどころか冬にアーセナルはセドリック・ソアレスまで獲得し、これにより間違いなくナイルズのアーセナルでのキャリアは終わるかに見えた。
しかし、その前のセバージョスやペペの例と同じく、ナイルズはポジションをかけて戦い、最終的にチーム内での立場を再び勝ち取った。
特にフォーメーションが3-4-3に代わって以降、左のウイングバックとしてキープレーヤーとなった。守備時にはティアニーが外に出る代わりに中に入ってボランチのようにプレイすることもあった。
彼がサイドバックなのかMFなのか判断するのは難しいものの、ナイルズのユーティリティ性はいつもアーセナルにとって有用で、アルテタが出した答えは、一試合で彼にその両方を務めさせるというものだった。
この左WBとCMFのダブルロールは、ナイルズの特性があってこそ作り出されたものだろう。
また、もう一つのナイルズの大きな強みがプレミアリーグでも有数のウイングたちと一対一での勝負で全く引けを取らないことだ。彼は超人的な落ち着きがあり、トリッキーなウイングが一対一を仕掛けてきてもそれに翻弄されることが全くない。スタンディングタックルも非常にうまく、やはり今のアーセナルのシステムに完璧な人材だ。
セドリックの獲得が良いものであったという兆候は今のところ見られておらず、そうなれば、ナイルズの売却を考え直すべきだと考えるのも当然といえる。
もちろんセドリックが怪我をしてアーセナルにやってきたのはセドリック自身のせいではないし、アーセナルはセドリックのクオリティというよりも29歳にフリー移籍で膨れ上がった給与の4年契約を与えたフロントの判断に疑問を呈しているだけだ。
そして、彼の代理人キア・ジューラブシャンとクラブの後ろ暗い関係のおかげでファンは彼の獲得が代理人主導だったのではないかと疑問を抱いている。しかし当然ながらこれもまた、セドリック自身のせいではない。セドリックはどちらかというと巻き込まれているだけだ。
とはいえ、現時点では、セドリックを獲得し、ナイルズあるいはベジェリンを売却するというのは、より将来性がなくクオリティが劣る選手に場所をあけるためであるかのように見えてしまうのは仕方ない。
しかし、アーセナルが資金を必要としているのは事実であり、右サイドバックが3人いて、セドリックは獲得したばかりでもあるし、どちらにせよベジェリンやナイルズほどの移籍金はつかないだろう。
アーセナルフロントに公平を期すと、当然一月の時点でナイルズが移籍を志願し、そのためクラブは移籍市場でセドリックを獲得した、という可能性ももちろんある。
だがもしナイルズとマルティネス、ベジェリンというアーセナルのアカデミー育ちの選手たちが資金捻出のためにクラブを去ることになればファンはフラストレーションを溜めるに違いない。
ここ数年間のアーセナルの補強方針の不味さのせいで、クラブはこの移籍市場で資金捻出のためにクラブに本来とどめたい選手も売却せざるを得ない事態に陥っているからだ。
ただ、私が思うに、ナイルズの売却に関して最も興味深いのは、クラブはチームの現状と将来的な理想像を天秤に欠けないければいけないという点だ。
現在のアルテタアーセナルは、強豪相手には守備を固め、カウンターでスキを突くスタイルをとっている。これはかなりよく機能しているが、逆に今季は、主導権をアーセナルに渡し、自陣に引きこもるようなチーム相手にどれくらい価値を収められるかがカギとなるだろう。
そして、プレミアリーグにはアーセナルがカウンターで戦わなければならないチームよりも、そういったチームの方が多いのだ。
さて、ここで問題なのは、ナイルズはこのどちらにおいても完璧な選手なのか、という点だ。自陣に引きこもる相手に対して、ナイルズの偽サイドバックは有効に機能するだろうか?
それとも、中位下位のチーム相手にはサカを左サイドで起用する方が良いオプションとなるだろうか?
あるいは、そもそもウイングバックを起用しない4バックに移行する可能性もある。もちろんそうなれば、今度は左ではなく右でポジションを得られる可能性はある。
実際に、アルテタ体制の序盤は時折中盤に入る形の4バックの右サイドバックとしてナイルズはプレイしていた。
恐らく、私が推測するのであれば、アルテタはナイルズにクラブでの将来がないと考えており、セドリックを獲得したが、今は気が変わったということなのだろう。
だが、アルテタの念願である中盤の大型補強に乗り出すためには恐らくベジェリン化ナイルズどちらかの売却を行う必要がある。
4か月前なら、何の迷いもなく誰もがナイルズを選択していたはずだ。だが、アルテタの気持ちとチームを取り巻く状況は変わった。一方で、資金捻出の必要性は代わっていない。
どうやら、ヘクターとエインズリー二人をキープしたうえで中盤の補強を行う、というのはあまり現実的でなさそうだ。
もちろんアーセナルにとって、ナイルズを売却した結果、彼がトップレベルの選手に成長する、というニャブリの二の舞は避けたいはずだ。
だが一方で、アルテタはナイルズを全試合の20%くらいでしかファーストチョイスではない、と考えている可能性もある。理想を言えば留めたいが、犠牲にするのであればベジェリンよりもむしろナイルズだと考えるかもしれない。
いずれにせよ、アーセナルはこの夏ファン受けの良くない売却をいくつか行う必要があるのは間違いない。
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