ゲンドゥージとセバージョス 明暗の分かれた二人
France Footballが、マッテオ・ゲンドゥージがアーセナルで置かれたシチュエーションについて、詳細に報じていた。箇条書きにすると、このようになる。
- ゲンドゥージが給与をネタにした挑発を行ったことにアーセナルが激怒
- クラブはゲンドゥージにもっと自律するようにと告げ、謝罪を要求
- ゲンドゥージは謝罪を拒否
- ゲンドゥージはレノの怪我に対して単にチームのために立ちあがっただけだ、と主張
- クラブはこの説明を信じず
- 状況を見かねたダビド・ルイスが介入、間に入り、ゲンドゥージを説得しようとする
- ゲンドゥージはルイスも無視
- クラブはゲンドゥージからの謝罪を待ち、謝罪がない限りメンバー外とすることを決定
- 今のところ謝罪はナシ
発端はほんの些細なことなのに、大きな物事に発展してしまったようだ。どんぐりから樫の木が育つかのように。
恐らくこれは、アーセナルが過去に態度面での問題を抱えている選手に関して、一定の規律を植え付けようという状況なのだろう。
ゲンドゥージの進路を正し、自分に夢中になってしまう前にきちんとした道を歩ませようとするために。
以前にも書いた通り、私はピッチ上での挑発などというものはありふれたもので、アマチュアからプロまで、どんなレベルでも存在するもので、それ自体は特に問題だとは思わない。
給与をタネに挑発するというのは、いかにも21歳の若者が面白がりそうなことだ。
だが、ゲンドゥージはただ監督に向かって『わかりました、もうしません』と一言いえば済むことだったにもかかわらず、それを拒んだため騒動に発展してしまった。
レノのために立ち上がったのだ、というのは勇ましいが、相手選手の給与の低さをからかう、ことでそれが示せるとは思えないし、ゲンドゥージがもし本当にそれが怪我をさせられたチームメイトへの共感を示す良い方法だと思っているとしたら、それは非常に奇妙な考えだと言わざるを得ない。
また、同じ記事でドバイでのキャンプ中にソクラティスとゲンドゥージが衝突し、アルテタがソクラティスを支持したため、大声での口論に発展したという事件にも触れられている。
とはいえ、この件の後では、ゲンドゥージは一度ニューカッスル戦でメンバーを外れたものの、オリンピアコスでは90分出場しており、少なくとも、チームに復帰するために必要なことを行うだけのつもりだったわけだ。
だが今回は、ゲンドゥージはピッチ上での愚かな行いを叱られたことに対して、頑なに謝罪を拒んでいるようだ。
それはスマートな事とは全く言えない。ファンの目に映るのは、チームのニーズよりも自分のプライドを優先する選手の姿だ。
アルテタ体制で、公の場で姿勢に疑問を呈された選手は何人かいたが、彼らはその後更なるハードワークを行い、そしてそれが認められた。
その一番よい例がダニ・セバージョスだろう。
- 1/24 セバージョスがローンを切り上げてスペインに帰る可能性があるという報道が流れる
- アルテタが『彼はフィットネスのレベルを上げ、チームのために自分のポジションをかけて戦う用意があると示さねばならない。その後でならピッチ上でのプレイを見て彼を選ぶかどうか考慮しよう。』とコメント
- 2/16 セバージョスがサプライズでニューカッスル戦でスタメンに復帰(皮肉にも、ゲンドゥージがメンバーを外れたことで訪れたチャンスだ)
- アルテタが『セバージョスは怪我をしていて、トレーニングを始めた時はフィットネスに難があった。だが、それ以来完全に彼は姿勢を改め、動物のようにハードにトレーニングに臨んでいる。彼は今日のベストプレーヤーだったと思うよ。』と試合後にコメント
そして今に至るわけだが、アルテタはクラブ上層部にセバージョスの獲得に関してプレッシャーすらかけ始めた。
『私は彼に非常に満足している。クラブは彼の将来に関してレアルマドリードと交渉するべきだと思うね』と発言していた。
ダニの株が上がるにつれて、完全移籍での獲得を目指す際の彼の移籍金に影響があるかもしれないと心配する人々もいる。もちろんそれは事実かもしれない。
だが、それとは別に、特筆すべきは以下の点だ。
セバージョスはレアルマドリードの選手であり、現時点で彼の将来がアーセナルにあるかどうかは選手自身もわからない。
それにも関わらず、彼はアルテタのプランに100%コミットし、それをトレーニング場やピッチ上でのパフォーマンスで示している。
ある種のリップサービスかもしれないが、彼はSNS上でアーセナルのことをMy clubと言及している。
これをゲンドゥージと比較してみるとその違いが際立ってしまう。ゲンドゥージは頑固に謝るのを拒否しているため、実質にチームに加われず、ストライキを行っているようなものだ。
シーズンは残り4試合、そして最大で2試合のFA杯しか残っておらず、アルテタは完全に信じられる選手にしか頼るつもりはないに違いない。チームのためにハードワークが出来る選手だ。
まず第一にチームではなく自分自身であるような選手に無駄に費やす時間はないとアルテタは感じていることだろう。
もちろん、サッカーに絶対はないので100%はわからないが、今のところ、現在の状況はゲンドゥージの移籍による解決以外は考えにくいように思える。
売却か、レンタルか、あるいは交換移籍か、アーセナルはこれら全てのオプションに前向きであるようだ。レンタルですら受け入れるつもりであるというのが、ゲンドゥージのクラブでの評価を反映している容易思える。
彼は才能のある選手だが、このような行動を大目に見てでもクラブに留めたいと思わせるほどの評価は受けていないということだ。
恐らくセバージョスは日曜日のノースロンドンダービーで先発するだろうし、彼が良いパフォーマンスを見せてくれることを願おう。
ゲンドゥージは家でTVでこの試合を観戦するのだろう(そもそも観戦すらしないかもしれないが)。今季の初めの時点で彼らのチームでの立ち位置を考えると、今の状況は大きなサプライズではある。
とはいえ、これもまた、サッカーを魅力的なスポーツにする要素の一つといったところだろう。
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ディスカッション
コメント一覧
あれをもみ消すようにゲンドゥジの話。ジョンソン氏を首相に導いたスピンドクターが、今度はサッカーに仕事を求めたのでしょうか。今こそ正義を。アレを無視し、若い選手を火あぶりにする、そんなことあっていいわけがない。相手はやり放題。こっちはダメ。いつか殺される。あの議員の様に。BBCは民主主義の勝利と言った。偽善である。どんな方法でもいい。今こそ立ち上がる時。
ゲンドゥージがPSGでもロリアンでもチームから孤立していたという話、
セバージョスがジダンに干される原因がゲーム中の素行の悪さだったという話、
全てがここにつながるのだなあ。
アルテタはそろそろコミュニケーションとったほうがいい
それともこれだけの情報がリークされるのは、既にクラブが正当性主張するフェーズなのか
コシェルニーのとき同様拳をおさめる余地がない
上層部は首突っ込んでクラブの品格語る筋合いあるんかと
デニウソンのように才能あってもシャイでは競争の世界では厳しい
才能を手掛かりに負けん気をもって壁を乗り越えていく
人間的にも昨日より少し成長できればそれでいい
それが育成ってものでは?