キア・ジューラブシャンの影響とアーセナルのアイデンティティの危機

フロントGuardian,海外記事

Talksportでキア・ジューラブシャンが自身の考えを語るのは珍しいことではない。

だが、2週間ほど前に彼がルイスの将来について語った際には、アーセナルファンの多くの注目を集めた。彼は『近いうちに、ルイスとの契約延長におけるアーセナル側の多くの課題は解決されるだろう』とコメントしたのだ。

ジューラブシャンがアーセナル上層部と非常に近しい関係にあるのは周知の事実で、もちろんコメントをするのも自由だが、以前からアーセナルフロントとの代理人の距離が近すぎるという懸念を表明している層にとっては、このコメントは更なる懸念のもととなった。

ジューラブシャンの意図に関わらず、一介の代理人がアーセナルの内部事情をここまで知り、このようなコメントを出せるというのは由々しき事態かもしれない。

そして、そのご何が起こったかがアーセナルのアイデンティティの危機を象徴している。

懸念されているのは、アーセナルが選手獲得の権限を、テクニカルディレクターのエドゥの長年の友人でもあるジューラブシャンを含めたスーパーエージェントの手に委ねすぎている、という点だ。

もちろん、彼らの手を借りてチームを作り上げること事態が問題だというわけではない。

だが今季継続して結果を出していたとは言えないにもかかわらず、かなりの高給を得ていたダビド・ルイスと1年の契約延長をクラブが行ったことに、多くのアーセナルファンが眉をひそめた。

恐らくそれ以上に不可解だったのは28歳のセドリック・ソアレスに4年という長期契約が与えられたことだろう。

これらの二人は、ジューラブシャンが代表を務めるスポーツインベストUKが代理人を務めている。

こういった代理人と取引を行うのは、もちろん違法でもないし、クラブにとって悪いことであるわけでもないが、アーセン・ベンゲルの時代にはあり得なかったことだ。

ベンゲルは年を取ったベテラン選手に高額の投資を行うことはなく、いわゆるスーパーエージェントとの取引も避けてきた。

だが、近年のアーセナルの選手獲得の多くにはキア・ジューラブシャンが関わっていることが見て取れる。

FAがつい最近発表した資料によると、イウォビのエヴァートン移籍の際にも、アーセナル側の代理人としてジューラブシャンが関わっていた。

この取引には選手の代理人だけではなくスポーツインベストUKも仲介者として手数料が支払われている。特に海外の選手の移籍には代理人が二人以上関わるのも珍しくはないし、特に違法性はない。

だが、我々が取材したこの業界をよく知る代理人は、アーセナルとエヴァートンがイングランドのお互いをよく知るチームで、18か月前にはウォルコットの移籍の取引を行っていることを考えると、わざわざ間にジューラブシャンを挟むというのはずいぶん回りくどいやり方のように感じる、とコメントした。

同じ日にチェルシーからルイスが到着し、冬にはセドリックが続いた。ジューラブシャンが代理人を務めるウィリアンの獲得も噂されている。アーセナル側は興味を持っているものの、まだ結論は下していないようだ。

アーセナルの上層部内でも、現フロントが、自らの意見に偏りすぎ、それとは異なる意見を持つ人材を軽んじているという懸念が高まりつつある。そして、それは特に移籍や選手獲得において顕著だ。

ベンゲル時代の選手獲得のやり方から、よりモダンなアプローチをアーセナルが必要としていたのは明らかで、だからこそ、リクルート長のミスリンタートが2019年にクラブを去ったのは驚きだった。

それ以来、アーセナルは一貫性のある選手発掘を諦め、エドゥとサンジェイの知り合いの代理人に選手獲得の権力を預けすぎているとしてk氏あれている。

これらに反対する何人かのスタッフは窓際へと追いやられて干され、彼らは、せっかく若手発掘に秀でていたアーセナルのスカウトチームを失いつつあると怒っているそうだ。

我々が取材したアーセナルのもとスタッフによると、今のアーセナルのアプローチは、ベンゲル時代に築かれたハイパフォーマンスの文化と価値観とは逆を行っているという。

また、代理人やスカウトの業界でも、アーセナルは面倒な相手だという評判になっているらしい

代理人たちへの連絡をあまり返すことをせず、とある選手の代理人は、携帯の画面にアーセナルの番号が表示されるたびにため息をついている、と語った。

また違う代理人は、今のアーセナルフロントはコミュニケーションスキルが低すぎると非常に批判的だった。

もちろん代理人には代理人なりの利益関係があるので、これらの言葉は割り引いて聞く必要があるかもしれない。だが、このようなアーセナルフロントの態度が実際の選手獲得に影響を与えるようになれば事態は深刻だ。

構造的に今のアーセナルの上層部が大きな問題を抱えていることは間違いないが、それ以上に問題なのは、また異なる我々の取材した人物が指摘している通り、『適正な人材の欠如』だ。

アーセナルは金銭的に厳しい状況にあるが、それでもアルテタはチームの刷新に手を付けなければならない。こういった際に理想的なのは、安い価格の逸材を発掘してくる(再売却の際に価格が吊り上がるような選手が望ましい)ことだ。

アーセナルはレアル・マドリードやバルセロナではなく、ドルトムントやザルツブルクのように移籍市場でふるまう必要がある。

同じくTalksportでのインタビューでジューラブシャンはサンジェイとエドゥを指して『ついにアーセナルにはサッカーをきちんと理解している人材が集まった。だが問題は、彼らが望む予算を用意できるかどうかだ。』

では、もし予算が用意できなければ、彼らはうまく仕事をこなせないのだろうか?

問題は、ネイマールの移籍などにもかかわったサンジェイと、ブラジル代表でマネージャー職にあったエドゥが、金銭面でタイトな状態のアーセナルをうまく導けるかだ。

だが、今回我々が取材した限りでは、彼らのやり方ではアーセナルは上手くいかず、何かを変えないと、3,4年で注意クラブに転落してしまうだろうとの意見も聞こえてきた。

もちろん、このような絶望的なシナリオを回避するのに十分な逸材は揃っている。マルティネッリとサリバの獲得は、まだアーセナルには、将来を支える若手を獲得するのに必要な人材と組織が残っていることを示している。サウサンプトン戦ではウィロックとエンケティアというユース卒の選手が試合を決めたし、まだまだユースアカデミーも力を備えていることが示された。

だがアーセナルは、現在の状況からトップレベルに返り咲くことを狙うのであれば、かつての若手発掘と育成のやり方を思い出す必要があるように思える。

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Posted by gern3137