ブカヨ・サカの大活躍
今季はアーセナルにとって苦しいシーズンとなったが、ブカヨ・サカの台頭は数少ないポジティブなとなっている。昨シーズンにプレミアリーグデビューを果たした10代の若者は、今シーズンはファーストチームの主力メンバーとして活躍している。
当初、ウナイ・エメリ左ウイングとして起用するために彼をチームに召集した。アレックス・イウォビとヘンリク・ムヒタリアンが不在となり、アレックス・ラカゼットがシーズン序盤に負傷したため、センターフォワードにピエール=エメリク・オーバメヤンが必要とされており、左サイドが手薄になったためだ。
サカは秋に左運具としてチャンスをつかみ、特に、ヨーロッパリーグでフランクフルトに3-0で勝利した時には、1ゴールと2ゴールを決めて注目を集めた。
だが、シーズンが進むにつれ、ティアニーがコラシナツが負傷し、ナチョ・モンレアルが売却されるなど、ガナーズは左サイドバック不足に悩まされるようになった。ナイルズは過去に左サイドバックでプレーしたことがあるが、サイドバックを頑なに嫌がる彼の姿勢はアーセナルでのキャリアを犠牲にしているように見える。
一方サカはアルテタのシステムで、左サイドバックとして大活躍している。ピッチを駆け上がり実質的な左サイドアタッカーとして、今シーズン、サカは8アシストを記録し、ニコラス・ペペのチャンスクリエイトに匹敵する数字を残している。
だがサイドバックでの印象的なパフォーマンスにもかかわらず、サカ自身もアルテタも、今回のコンバートは一時的なものだと主張している。
過去には、サイドバックというポジションは、学校の休み時間に最後に選ばれた選手がプレーするポジションであり、イメージの問題に悩まされてきた。だが、現代サッカーではサイドバックの重要性は増し、サカ自身が象徴しているように、どんどん攻撃的なポジションになっている。
サカはサイドバックとして、相手を一対一でドリブル突破する必要はないが、オーバーラップでボールを受け取り、エリア内にクロスを放り込むことを求められる。エメリの元ではコラシナツも同じように使われていたが、どちらかというと彼の役割はもう少し中に入り中へカットバックを行うことだった。
サカはより外の位置からピッチの横幅を保ち、オーバメヤンがより中央の位置に移動できるようにしている。
チーム内の立場という意味では、現在ではもうウイングの方がサイドバックよりも重要だとは言えない。ほとんどの選手がピッチの中央でプレーすることを好むのは、よりボールに触る機会が多く、中央でプレーすることや、ウイングの方がサイドバックよりもチームの中心だと考えるからだ。
ナイルズは、自分のことをサイドバックとは思っていないと何度も発言している。サカも同じことを言っているが、アルテタはこの二人の選手の扱いの違いを分けるのは態度だとほのめかしている。サカについて、アルテタは「アシスタントコーチの指導を聞くことに未だに非常に熱心で、改善することを望んでいる」と語った。
一方で、ナイルズについては、アルテタの口調は著しく異なっており「彼は誰よりも出場を望んでいることをトレーニングで毎日見せ、彼はこのクラブのためにプレーし、自分の居場所のために戦いたいと思っていることを示さなくてはならない」 とコメントしていた。
サカは左サイドバックでプレーしているからといって、自分がウイングよりも劣っていると考えることは必要ない。実際、サカがこのポジションでいかに効果的にプレイしているかからもわかるように、オーバーラップからのプレーはサカに合っている。
例えば、アシュリー・コールやヘクター・ベジェリンは、ウイングからサイドバックに転向して大成功を収めている。
ただ、唯一気になるのはアーセナルにとっての優先順位だ。現在チームにはティアニーとコラシナツというより経験豊富な左サイドバックが在籍しており、給与は高く、どちらもまだ選手としてのピークに達していないのだ。
資金を調達するために、コラシナツを売却するべきだという主張には一定の妥当性があるといえるだろう。アーセナルは限られた予算でチームを強化する必要があり、選手の売却は、その重要な手段の一つだ。
しかし、同時にアーセナルは左ウイングのオプションが豊富だともいえない。オーバメヤンが左でプレイすることが多いのは、ラカゼットと共存させるためというだけではなく、左サイドに得点やアシストが可能な一級選手がいないことも関係している。
とはいえ、いずれにしても、オーバメヤンのアーセナルのキャリアは、残念ながら、残り契約を考えれば終わりに近づいている可能性が高い。
したがって、アーセナルにとってより必要なのは質の高い左サイドバックよりも左ウイングだという見方もできる。
サカを左ウイングとして起用するなら、アルテタは今のシステムを左右反転させることができるだろう。
今は右サイドの幅を取る役目を右ウイングのペペが果たしているが、これは中に入ることを好むペペには適していない。サカが左サイドの左利きのウイングとしてプレイし、ペペはより中に入って右サイドバックがオーバーラップすればよい。こうすれば、サカは現在と同じ左大外でプレイでき、かつペペは右サイドだがより中で勝負できる。
もちろん、サカの役割には少し変化があるだろう。ウインガーは1対1で勝負することを任されているのに対し、サイドバックは前に走りこみながら、勢いがある状態でボールを受け取る。ロバートソンとアレクサンダー=アーノルドは、常に前に走りながらボールを受けられるので非常に有効にチャンスを作り出すことができる。
サカにとっては、ウイングとしての方が攻撃面でより要求が高い。彼は1対1で相手をかわせるようにならなければならない。しかし、ニューカッスル戦でのペペへのアシストは、彼が狭いスペースで相手選手を打ち負かす能力を持っていることを証明している。彼は視野も広いし、狭いスペースでもプレイできる。
アーセナルは現在サカとの契約延長交渉に乗り出しているはずだが、アルテタが彼の将来的なポジションをどことして考えているかは、重要な議題になるだろう。
上で述べた通り、サイドバックがチームの余りものである時代はもう終わったが、今のアーセナルにより必要なのは左サイドバックではなく左ウイングだといえそうだ。
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超が付くほどややこしい問題を内包してる。記事を書いた人は、ティアニーが心配なのだろう。ただ、彼は経験豊富ではない。ゾーンに対する考え方に責任感がなかった。。少し本題とズれるが,ファンダイクとメッシについての記事を見てもわかるように、自国の白人左バックについて全く言及してない。こういった思考法が結局スポーツをゆがめると思う。この記事自体差別意識はないと思うが、私たちアーセナルファンは20年待った。そろそろ別の視点でお願いします。ティアニーにしろサカにしろ練習で様々な局面に対処する。試合でのポジションは、その結果であり時には残酷なこともある。ギブスだって才能はあった。チェンバレン、ウエルベックも…。サカ本人は規格外。ただ黙って観て驚いていればいい。