ペペの話 前編
先週のオリンピアコス戦での敗北で、ペペのパフォーマンスは非常に評価が難しいものだった。今季のアーセナルで、彼は最も危険だが同時に最もフラストレーションのたまる選手であることは間違いないだろう。
見ていると時折舌打ちしそうになるが、かといって、試合を決める一瞬のプレイを見せる可能性があるので監督に彼を交代させてほしい、とは思わない、などといった多くの点で彼は私にセオ・ウォルコットを思い起こさせる。
もちろんこれは、結果を残せるウイングにはつきものではある。彼らのような選手を見ているとフラストレーションがたまるのは、ハイリスクハイリターンの難しいプレイを試みることが多いからだ。
今季も終盤が近づいてきているが、ペペは賛否が分かれる一季目を送ったといえそうだ。もちろん、例えばアーセナルが彼に支払った移籍金が72Mではなく36Mだったとしたらまた異なる評価にはなるだろうが。
ペペのドリブル技術とキック精度がエリートレベルだ。だが、状況判断にはまだ多く改善の余地がある。また、時々彼は信じられないほどゆっくりとしたパスをチームメイトに出し、これが攻撃の勢いをそぐことにつながっている。
しかし、ペペが一貫した活躍ができないのは全てが彼自身のせいというわけでもない。少なくとも部分的には、彼はアーセナルの『とりあえず買って後から考えよう』アプローチの犠牲者なのだ。
そもそも、アーセナルの攻撃陣全体の構築がプランニングを欠いている。一人しかストライカーの居場所がないシステムなのに、50Mクラスのストライカー2人を立て続けに獲得したというのがそれを象徴している。
そして、同じことがペペの獲得にも見て取れる。
ペペは、カウンターを主体とするリールで自由を与えられたことで素晴らしい輝きを見せた。だが、アーセナルは全くその逆だ。
カウンターの機会が少ないだけではなく、アルテタはウイングに幅を取る働きを求めており、中に入ったFWのようにプレイする役割はほかの選手たちに任せている。したがって、ペペにはフランス時代ほどの自由が与えられない。
ペペにとっての問題は、アーセナルにはすでにピエール=エメリク・オーバメヤンという圧倒的な存在がいるということだ。
彼は逆側のサイドでプレイしており、もしどちらかが一人をゴールに近い位置でプレイさせ、もう一人に外に張らせなければならないとすれば、チョークまみれになる(訳注: ライン際、サイドでプレイするの意)のはオーバメヤンのスパイクにはならないだろう。
結果として、ペペは横幅を確保する役割を担うことになり、これは、多くの点で、ペペに完ぺきに合っている役割とは言えない。
ペペの一番の強みは中へのカットインだが、これが相手の守備陣に効果的に混乱をもたらすためには、右サイドバックのオーバらーぷが必要だからだ。
今のアルテタのシステムでは、右サイドバックは中央でカウンターに備えて中に入るため、オーバーラップがあまり見られない。ペペがボールを左足に持ち替えて中に入る際に、おとりになってくれる選手が外にいた方が、フェイントがより効果的になるはずだ。
オーバーラップがなければ、相手DFは外側へのパスは気にしなくていいため、ただペペを追い続ければよい。
エジルが右サイドでペペのサポートのためにプレイする多いのだが、これの問題は、エジルがペペと同じくらいの純粋な左利きだということだ。
これによりプレイの幅は大きく制限されてしまい、アーセナルの右サイドの攻撃は非常にゆっくりとしたものになってしまう。
ポーツマス戦ではネルソンが右ウイングとしてプレイした。才能という点ではネルソンはペペのレベルにないだろうが、タッチライン際でプレイするという役目には遥かに適任だろう。
ネルソンは右利きなので右からのクロスを入れるのがより容易だ。もちろん、ペペはそれでも最善を尽くしており、最近のプレミアリーグでは左足からのクロスでオーバメヤンへの得点を演出しているが。
(明日の後編に続きます)
Source: https://arseblog.com/2020/03/pepe-talk-2/
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