アルテタの帰還 前編
チェルシーでのランパード然り、サン・パウロでのセニ然り、アルテタとアーセナルは遅かれ早かれ再会する運命にあったようだ。まるでルームメイトが麻薬に手を出しているのを見た大学生のように、お互いの好奇心が強すぎ、アーセナルもアルテタも、一度試してみなくては、と思っていたようだ。
実際、アルテタはアーセナルでの監督以外の噂はほとんど出ていない。エヴァートンでプレイしていたというだけで僅かにエヴァートン監督就任が噂されたくらいだ。この18か月でアーセナルの監督候補として2度も面接されたにもかかわらず、アーセナル以外に彼をマンチェスターから引き抜こうというクラブは現れなかった。
私は以前、アルテタの監督としての力量が未知数であることがいかにアーセナルにとって魅力的になりうるかについて書いた。アーセナルが呼べそうな監督の中で、本当にインスピレーションをもたらしてくれそうだ、という監督は見当たらず、そのような人材は(もし存在しているとすれば)まだ未発掘の人物の中にいるだろう、という見立てだ。
恐らく、なぜ我々がアルテタを魅力的に感じるかというと、監督の経験がなく、我々の目にその欠点がいまだに触れていないからだろう。
現代のサッカーファンにとって、知識というのは呪いになりうる。我々はほとんどすべての人物についてほとんどすべてのことを知っている。新しい選手が自クラブでデビューするまでに、Youtube動画や解説記事を通して彼らの強み、そして何より弱みを知る機会は多く、『未知』の感覚はすぐに消えてしまう。
これは監督にも言えることで、だからこそ今回全員一致でファンが望む監督、というのがいなかったのだろう。
アンチェロッティ?我々は既に彼をミラン、PSG、マドリード、チェルシー、バイエルンで目にしている。彼のスタイルは知っているし、彼が本来の実力を発揮できていないワールドクラスのタレントを扱う専門家だと知っている。彼はリラックスできる環境を好み、選手たちとフレンドリーな絆を築こうとする。
アッレグリ?我々はすでに彼が底まで英語に堪能ではなく、したがってイギリスでは素晴らしいコミュニケーターだと言い難いことを知っている。ユベントスでは成功をおさめたが、ACミランを去ったシーズンにはクラブは11位だった。(これが私自身のアッレグリへの評価というわけではない)
エメリがアーセナルの初戦を指揮するまでには、我々は彼がセビージャ、バレンシア、PSGで4-2-3-1を用いてきたことなどを既に知っていた。
既に知っているものに関しては、いわゆる"ハネムーン期間"は短縮されてしまう。監督や選手の弱みを既に分かっているファンはそれがどうしても目に付くようになる。
もちろん、アルテタへの期待もアーセナルファンは持っている。多くのファンは彼がペップと似たようなサッカーを展開するだろうと期待していると思う。
(明日の後編に続きます)
Source: https://arseblog.com/2019/12/come-back-to-what-you-know/
ディスカッション
コメント一覧
アルテタは体がバラバラになるまで走り戦った。わずか数分出るためだけに体がパンパンになるほど鍛え、そしてゴールネットをゆらした。それだけで十分。なぜなら20年間でひとりもいなかったから。彼しかいない。私はどれだけ負けても、アルテタを支持します。