ガブリエル・マルティネッリを語りたい

語ってみた

ごくまれにだが、一目見るだけで、何となく直感的にだがこいつは本物だ、と思わせるような選手がいるものだ。今アーセナルで怒涛の活躍を見せているガブリエル・マルティネッリも間違いなくその一人で、まだ18歳、そしてアーセナル在籍歴数か月程度ながら、既に大器の片鱗を見せつけている。

この若さでここまでのインパクトを残しているのは10代の頃のジャック・ウィルシャー以来ではないだろうか。もちろん (最終的にバイエルンで大活躍したとはいえ) グナブリー、イウォビ、そして現在チームに在籍中で当初のインパクトからすれば少し停滞してしまっている感のあるネルソンやエンケティアのような例もあるので、一年目のインパクトが将来の保証とならないのはアーセナルファンは重々承知だろうが、それでも期待せずにはいられない、新星マルティネッリについて今日は語りたいと思う。

ストライカーの嗅覚と多彩な得点パターン

やはり、なんといっても最も目立つのはその得点力だろう。ユース育ちの選手はトップレベルに上がった途端に一点挙げるのですら一苦労、という選手も多い中、マルティネッリはまったくそのような様子を見せない。

ユースレベルでは得点を量産していたエンケティア、サカらがカップ戦でも良いプレイを見せながら得点はあまり多くないのと対照的だ。

マルティネッリは、オーバメヤンや日本代表の岡崎慎司を彷彿とさせるこぼれ球が転がってくるところを見つけ出す転生の嗅覚を備えており、中への折り返しにドンピシャで合わせられるところに走り込むのも上手い。

また、特筆すべきはその得点パターンの多彩さで、ミドルレンジからのシュートも打てば、泥臭いゴールもあるかと思えば、ラカゼットのようなエリア内での細かいタッチでのゴールも見せる。そして、180cmとそこまで長身ではないながらも、素晴らしいオフザボールの動きからのヘディングゴールも決めている。

最適ポジションがサイドなのか中央なのかはこれからゆっくり決めていけばいいだろうが、どちらでプレイするにせよ、この得点力は18歳ながら、既にアーセナルのチームにおいて欠かせないものとなっている。

献身性

また、マルティネッリを語る上で欠かせないのがその守備面での献身性だろう。先日のプレミアリーグ先発デビューで披露した通り、攻守にわたって運動量は圧倒的で、後半終了間際にも裏への走り込みと自陣への素早いプレスバックを繰り返していた姿はファンを痺れさせた。スタッツでは、この試合でハイスプリント数20という両チーム合わせて断トツの記録だったらしい。(2位はウエストハムの選手で11)

オーバメヤン、ペペ、エジルとサイドで起用された場合に守備の不安が残る面子が揃っているアーセナルに置いてスタメンに抜擢されたのも頷ける。

もちろん献身的な守備が売りのFWというのはそれなりにおり、最近のアーセナルの選手で言えばウェルベックあたりが良い例だが、彼の場合は運動量と得点力がトレードオフだった。一方で、左サイドにオーバメヤンを置けば得点力は期待できるが、その分左サイドバックにかかる負荷は大きくなる。

こちらはarseblogでスタッツを担当するScottさんによる、マルティネッリのチャートだが、90分当たりの得点期待値や、得点期待値あたりの得点数、アシスト期待値が高いのはもちろん、同時にI+T+BP(インターセプト+タックル+パスブロック)の数値も非常に高いことがわかる。

得点を量産出来てかつ守備への貢献度も高い、というのは最近のトレンドとなりつつあるモダン型ブラジル人FWの系譜を継いでいるといえる。流石にひいき目が過ぎるかもしれないが、この調子を維持できれば、ブラジルA代表に召集される日も近いのではないだろうか。

継続性とメンタリティ

そして、何よりマルティネッリが他の若手と比べて抜きんでている点はその一貫性だろう。ゲンドゥージやサカ、ウィロックが証明している通り、好不調の波が激しいのは10代の選手にはおなじみの光景だが、マルティネッリに関しては今のところ全くそれがない。

一定以上の時間出場した試合では結果を残し続けているのはもちろん、途中出場ですらある程度のインパクトを常に残している。

その成果が今季の14試合出場で8ゴール2アシストという素晴らしい成績につながっており、87分あたり1点を記録している。数字に残る活躍が出来ているのも単なる"ポテンシャルを感じさせる若手"にとどまる選手ではないという証明だろう。既にラカゼットを大きく引き離してオーバメヤンに次ぐチーム内2位の得点王という結果を出しているのだから。

これは想像の域を出ないのだが、恐らくマルティネッリがアーセナル一年目で結果を残せた背景には、ブラジル4部で育ってきた、というのが大きいのではないだろうか。

全て完璧な設備や環境が整えられ、"温室育ち"と揶揄されることもある近年の英国クラブのユースに比べて、ブラジル4部が遥かに過酷な環境であることは間違いない。

特に、技術面ではユースチームの方が上かもしれないが、勝負の駆け引きや体の強さという面では、若手相手の試合ではなく、体の強さとダーティな面も持ち合わせた、野心にあふれ、本気で勝利を目指すブラジルのセミプロ選手たちと常に渡り合ってきた分修羅場をくぐり抜けてきているのだろう。

また、恐らくあまり整備されていないでこぼこのピッチでプレイを続けたことも、技術面を鍛えるのに一役買ったに違いない。

ユース育ち組がトップリーグへの適応に苦戦する中、ブラジルからイングランドと国境を越えているにもかかわらず、マルティネッリが一番楽々と適応して見せたように見えるのは、育成を考えるうえで示唆に富んでいるような気がする。

ウエストハム戦の同点ゴールを挙げた際にも、自身プレミアリーグ初ゴールながら、ほとんどセレブレーションせず、チームの勝利のためにボールを拾うとセンターサークルに駆け戻った姿からもわかる通り、若くしてこのようなメンタリティを備えているというのは非常に大きな武器になるだろう。

まだまだ発展途上の選手であり、来季、その次と順調に成長を続けられるという保証はもちろんないのだが、今後どこまで上り詰められるのか、ファンとしては期待せざるを得ない。

次世代のスーパースター、ガブリエル・マルティネッリの今後を楽しみに見守っていきたいと思う。

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Posted by gern3137