エメリアーセナルの適正順位に関する考察

分析

どういう文脈だったかは忘れたが、昔読んだ本の中に『どうして空は青いの?』『では空が緑色だったら君は満足するのかい?』というやり取りがあったのが印象に残っている。

もう流石にエメリ率いるアーセナルがいかに攻守両面で機能不全に陥っているかについての記事は食傷気味だと思うので、今日は少し違った切り口から今のアーセナルの不調を分析してみようと思う。

つまり、アーセナルは本来どれくらいの成績を収められているべきなのか?という問いだ。恐らく今のアーセナルが期待を下回っていることは満場一致であるに違いないが、それでも、フェアに監督を評価するのであれば、そもそもどれくらいの期待が公正で、それをどれほど下回っているかの評価がなされるべきだろう。

アーセナルのリソースをもってすれば、本来どれくらいの順位でプレミアリーグを戦えているべきなのか、人件費、補強、監督給与、準備期間の4つの側面から考察していく。

人件費: 国内5位

恐らくこの中で最もシンプルかつダイレクトにチームの成績に影響を与えるのがこの人件費、特に選手の給与だろう。またもうろ覚えで申し訳ないが、さけしさんもブログでそのように言っていたのでこれに関しては間違いないと思う。

もちろんある程度の例外はあれど、基本的にはサッカーは良い選手をそろえたチームが勝つスポーツなのである。そして、こちらもほぼ例外なく選手のクオリティが高ければ高いほど、その選手の給与も上がる。したがって、クラブの人件費を見ればおのずと適正順位が見えてくる、というわけだ。

今季のプレミアリーグの選手給与総額ランキングは、一位が圧巻のマンチェスター・ユナイテッド(そんな彼らはアーセナルより下の順位にいるわけなのだが苦笑)、そして、それにリバプールとシティ、チェルシーが続く、と国内では他の追随を許さない無尽蔵キャッシュ製造マシーンであるユナイテッドを除けばと順当な順位になっている。

アーセナルの給与は僅差ながらトッテナムを上回っているし、チェルシーとほぼ同水準だ。レスターに至っては国内9位、アーセナルの半額以下である。ヨーロッパで見てもアーセナルは世界10位の高給を支払っており、アーセナルより上位にいるのは国内組+バイエルン、レアル、バルサ、PSG、ユベントスのみだ。

これらを鑑みると、アーセナルは国内では少なくとも4位争いを繰り広げ、かつCLでもベスト8に進出可能なぐらいのチームは十分に備わっているはずだ、と見ることが出来る。

(Source: Guardian)

監督給与: 国内6位タイ

こちらは年齢や実績などにも影響されるので、正確な監督の力量を測る指標として有用なのかは定かではないが、やはり高い給与を支払っている監督であれば良い成績を期待したいのは当然の心理だと思うので、参考までに掲載しておこうと思う。

こちらはシティのグアルディオラがぶっちぎっており、エメリ(6M)とクロップ(7.5M)とランパード(5M)3人合計しても足りなく来の20Mというとんでもない額を受け取っているのだが、こう考えるとコストパフォーマンス的にはクロップは素晴らしい活躍だといえそうだ。スールシャールも同じぐらいの額(7.5M)を得ている。笑

ランパードはやはりまだまだ実績がないため低めの額となっているのだろうが、モウリーニョは確実にエメリよりもらっているだろうし、確かにこうしてみると、ペジェグリーニが7M、ハーゼンヒュットルがエメリと同じ6Mなので、監督に支払っている給与的には恐らく国内6位くらいになるはずなので、そこまで今の成績が期待を裏切っているとはいえなさそうだ。

(Source: Express)

補強と準備期間

最近こそあまり聞かれなくなったものの、以前までのエメリ残留派の意見としては、新監督には時間が必要だ、というものが主要だった。

これは、1)チームに戦術を仕込むのに時間が必要、という点と、2)前任者の集めたチームのカラーを変え、エメリの好む選手を集めるのに時間が必要、という二つの意味だろう。

確かにそれには一理あるものの、相対的に見れば、エメリにはもう十分に与えられた、と言い切ってよいと思う。

現在のプレミアリーグの在任期間ランキングでエメリは既に10位であり、プレミアリーグの監督の半数よりも長い準備期間が与えられている。ロジャーズがレスターの監督に就任したのは2月でありエメリよりも後だし、ランパードに至っては7月とまだ4か月しか経っていないにもかかわらず既にチェルシーで目に見えるインパクトを残している。

そして、忘れてはいけないのが、この夏のアーセナルはイングランドのチームで最も移籍金を多く費やしたチームだということだ。ラムジー、コシェルニー、イウォビ、ムヒタリアンといった放出があったこともあるだろうが、これはその分チームの人員の入れ替えが進んでいるという証拠でもある。

一年前の夏もトレイラやソクラティスをはじめとして多くの選手を獲得しているし、アーセナルがこの夏費やした移籍金はヨーロッパじゅうを見渡しても6位という非常に高額なものだ。

現在のスカッドを見てみても、ベンゲル監督時代から引き継いでいるといえる選手はオーバメヤンとラカゼット、エジル、ベジェリンとジャカくらいだろう。そして、エジルを別とすれば、残りの4人はエメリの希望とも合致しているように思え、新しいウイングを加えた今のチームはエメリのチームと言って支障はないはずだ。

こうしてみると、他のチーム他の監督と比べて時間も人員もそろっているにもかかわらず、パフォーマンスが低調すぎるという点は否めない。だからこそ、解任を求める声が強まっているのだろう。

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Posted by gern3137