アーセナルはウナイ・エメリにどれだけ時間を与えるべきなのか 中編
この記事は前編の続きとなっています。今日は逆にエメリ監督のネガティブな点です、えらく長くなってしまったので3部構成になりました!明日まだ続きます笑
結果を残せていない
まあこれに関しては議論の余地はないでしょう。いくら"惜しく"ても意味がないのがプロスポーツの世界で、アーセナルをタイトルが争えるようなチームにするうえで、まず一歩目となるのがCL出場権を取り戻すことなのは明らかです。
そして、昨季エメリ監督はプレミアリーグ、ヨーロッパリーグ通じて、その目標を達成できませんでした。監督の功績は基本的にはこの目標を達成できるかどうかを基準に測られるべきだという点に関して、あまり議論の余地はないように思えます。
ただ、これに関していえば、アーセン・ベンゲル監督から引き継いだ直後の年にチームを完璧に立て直すのを期待するのは酷だという意見にも当然ながら一理あります。
そして、今季はヨーロッパリーグのGL突破はすでに確定的と言ってもいい状況ですし、プレミアリーグも5位、しかもまだ9試合しか終わっておらず、3/4位まで勝ち点2差なので、純粋に数字だけを見れば、今季の成績が満足いかないものだということは出来ないでしょう。
統計的には、アーセナルが今季CL出場権を取り戻す見込みはまだ十分にあるように見えるからです。ですが、にも拘らず、エメリ監督に見切りをつける声は多く上がっています。恐らく、その理由は純粋な結果というよりも、チームの試合内容によるものでしょう。
内容が伴っておらず、チームが前に進んでいる気配が見えない
まず最初に前提としてですが、美しいサッカー、攻撃サッカーをしていない、という点は主観的なものですし、個人的にはもしアーセナルがシメオネのアトレティコのようなサッカーをしてプレミアリーグのタイトル争いを出来るのであれば 見てみたい、と思うので、"内容"という言葉で焦点を当てたいのはチームの"スタイル"ではなく、勝利の可能性が高いサッカーが出来ているか、そして、その可能性が昨季と比べて上がってきているのか、あるいは今後上がる見込みが感じられるか、という点ですね。
まず現在のチームで機能していない点をまとめておさらいしていきたいと思います。
守備
まず守備ですが、全く改善されていません。上にある通り失点数も微増ですし、クリーンシート数は大きく減っています。ベンゲル監督時代は失点数の割にクリーンシート数が多いのは、多分大量失点での敗北がいくつかあったからでしょう。(これはまあどちらが好ましいのかは意見が分かれるところではありますが。笑)
エメリ監督がネガティブな評価を下されることが多いのは、恐らくこれが最も大きな原因ではないかと思います。ベンゲル監督の後継者が同じように流れるようなアタッキングフットボールを展開してくれる可能性は低くても、少なくとも守備はましになるだろう、と期待をしていた人は多かったはずです。
また、昨季と比べて今季は良くなってきているのであればもう少し様子を、という気持ちにもなりますが、相変わらず被シュート数は尋常ではなく多く、アーセナル史上最悪ペースですし、試合を観ていても、常に失点5秒前、という感じなのは全く改善されていないように感じます。
中盤
こちらも守備と同じく非常に疑問な部分で、まず多くの方が指摘されている通り、ジャカに不自然なほど固執する傾向、そしてトレイラを守備的MF評価しない点は不可解です。被シュート数の多さという点ではむしろ直接的な影響がより大きいのはこの中盤の機能不全かもしれません。
色々なペアやスリーセンター、4-4-2のダイヤモンドなども試していますが、未だに最適な形は見えてきていませんし、常にジャカが孤立気味で、中盤をコントロール出来ない試合があまりに多すぎるように感じます。これに関しても、昨季から明らかだった課題ですが、ジャカの起用を控える気配もなければ、他の場所をいじって補完しようという意図は見えません。というか、もしかするとあるのかもしれませんが、ここまでのところその成果は全く出ていないように思います。
また、トレイラの前目での起用に明確な意図が感じられるならまだしも、単に走り回らされているだけ、といった印象で、特にトレイラのプレスを軸にチームを構築する、なんてことでもないようです。就任会見でプレスを重視すると大見得を切っていた割には、練習でプレスに関することはほとんどしない、などといった報道もありましたし、あまり組織だったプレスを導入しているような様子も見られませんし、前線からの守備も機能しているとは言えません。
攻撃
中盤と守備が機能不全なのはベンゲル監督時代も共通であり、もとからあった課題をエメリ監督が解決できないでいる、というだけですが、攻撃に関しては明らかにエメリ監督就任前と比べて、改善されているどころか悪化しています。
得点数も減っていますし、特に重症なのはシュート数の減少で、攻撃の形を作れる回数が減っていることを示唆しています。かつてはアーセナルは下位相手に20本以上シュートを打っておきながらカウンターでやられて負ける、のような光景がちょこちょこみられましたが、最近ではアーセナルは下位相手であろうと、シュートを20本打てるような試合すらほとんどありません。
そのわりに得点数がそこまで劇的に落ち込んでいないのはひとえにラカゼット、オーバメヤンのおかげでしょう。もちろん苦しい時に個人技でチームを救うのがエースの仕事、というのは事実ではありますが、エースが救ってくれなければ敗北、というチーム作りでは不十分でしょう。
むしろ、せっかく素晴らしいストライカーを備えているのだから、いかにして彼らをフィニッシャーとして生かせるか、というのが監督の腕の見せ所のはずですが、ここまでのところ、アーセナルがやりたい攻撃の形というのは見えてきていませんし、オーバメヤンやラカゼットのゴールも超絶個人技!といった形のゴールが目立ちます。
(明日の後編に続きます。)
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