今季のアーセナルの若手の行方
いつもお世話になっているTim Stillman氏のコラムで、毎年注目選手を紹介するものがあるのですが、今年はそのユース卒選手バージョンがありましたので紹介します!
ジョー・ウィロック
Embed from Getty Images若手選手がファーストチームで台頭するためにはタイミングが重要だ。ウィロックにとっては、ラムジーの退団は格好の好機だと言える。序列で彼よりも上に居たラムジーがチームを去っただけではなく、アーセナルがラムジーをフリーで失ったことで、アーセナルは彼の代役に大金を費やすことが出来ないはずだ。
そこまで派手さはなかったが、17/18シーズンのヨーロッパリーグで彼は安定して活躍した。攻撃力にも磨きがかかり、U-23の試合でも定期的に得点とアシストを重ねるようになった。これはFA杯のブラックプール戦でも発揮されていた。
特に、狭いエリアでのタッチの正確さは向上し、さらにフィジカル面でも安心してみていられるようになった。彼は比較的低い位置でプレイ出来る攻撃的なMFで、アーセナルがラムジーの代役としてまさに必要とする選手だ。セバージョスをアーセナルは獲得したものの、特に、昨年のようにエジルがアウェイで欠場するようであれば、十分に出場機会はあるだろう。
ウィロックはファーストチームに欠けているクオリティを備えており、これこそがユースチームがトップチームで活躍するのに最も重要な点だ。
シーズン序盤はヨーロッパリーグのグループステージが主戦場となりが、個人的には彼はプレミアリーグでプレイ出来るだけの能力を備えていると思う。この1,2年で決定力にも磨きがかかっているし、これは若手のMFとしては比較的レアだ。アーセナルにはより多くの中盤から走り込み、得点を決められる選手が必要だ。
リース・ネルソン
Embed from Getty Images得点源という意味では、ネルソンにも同じように期待できる。エメリのチームにはサイドからのゴールが欠けており、ネルソンはペナルティボックス内でより多くのものをもたらしてくれるだろう。
ムヒタリアンとイウォビはボールを前に運べるウイングで、ペナルティエリアまでボールを運ぶことに長けているが、最後の場面で敵DFと勝負するのはそこまで得意ではない。確かにペペは加入したが、それでもネルソンの前には長い列が出来ているとは言えない。
デニス・スアレスの獲得はアーセナルに既にいるタイプの選手という点で非常に奇妙だった。一方で、ネルソンのような選手こそまさにアーセナルが必要としているたいぷなのだ。
現状アーセナルではボックス内で仕事が出来るのはラカゼットとオーバメヤンだけで、さらに言えば、ラカゼットでさえもどちらかと言えば独力ではなくチームメイトと連携するのを好む選手だ。ネルソンは逆サイドで攻撃が展開されている際に自分のサイドのバックポスト付近でボールを待ち受けることを好むが、これも今のアーセナルではあまり見られない。
今年のアーセナルでサイドでプレイできる選手はペペ、ムヒタリアン、イウォビだけで、ウィロックと同じようにカップ戦からのスタートとなるかもしれないが、彼にも十分チャンスはあるだろう。
ネルソンはまだ粗削りのダイヤモンドで、判断力に少し難があるが 、チャンスさえ与えられれば、ネルソンはイウォビやムヒタリアンにプレッシャーをかけることが出来るに違いない。
エンケティア
Embed from Getty Images層の薄さがネルソンとウィロックにとって有利に働きそうな一方で、エンケティアは昨年非常に奇妙なシーズンを送った。ウェルベックの怪我さえなければ確実にレンタル移籍していただろうが、エメリはエンケティアを保険として手元に留める決断をした(もちろんそれは理解できることだが)。だが、ラカゼットとオーバメヤンはシーズン通して健康そのもので、エンケティアが必要とされる場面は全く訪れなかった。
恐らく、彼の自信は少し揺らいでいたことだろう。アーセナルが点を欲しているときにベンチから投入されることすらほとんどなく、エメリがオプションとしてというよりは、単なる緊急時のためにエンケティアをキープしていたことは明らかだった。
彼にその数少ない機会が与えられた際には良い印象を残そうと必死になりすぎるあまり空回りしている感があった。
FA杯のブラックプール戦では素晴らしいゴールを挙げたが、他にも多くのチャンスを逃した。この時彼は、トップレベルで必要な決定力を備えているとは言いづらい状況に陥っていた。
確かにまだ彼のシュート技術は完ぺきとは言えず、ペペがストライカーとしてもプレイできるのであれば、エンケティアをレンタルに出すことも考慮してもいいかもしれない。そして、第4ストライカーにはジョン=ジュールズを起用するのだ。恐らくエンケティアは定期的にプレイする機会が必要だ。
エンケティアがラカゼットとオーバメヤンを抑えてポジションを獲得できる可能性があるとは考えづらいが、冬まではヨーロッパリーグとカップ戦で彼を試し、その後レンタルが必要かどうか考えるというのが最良の案かもしれない。もちろん、それまでにケガなどでファーストチームの状況が変わっている可能性もある。
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