【徹底解説】レアンドロ・トロサールがアーセナルにもたらすもの
ここ数年間のスカウティングの実績に関して言えば、プレミアリーグでブライトンを上回るクラブはほとんどない。5年前にプレミアリーグに昇格を果たして以降ブライトンはククレジャやビスマ、カイセド、マックアリスターと言った選手たちを獲得してきた。
同じように、レアンドロ・トロサールもブライトンが2019年にポッターが獲得を望んだ選手であり、彼のその後の活躍を考えると、15m£という移籍金が安い買い物だったのは間違いない。
トロサールはブライトン移籍後ほぼ常に主力としてプレイし、様々なポジションでチームに貢献し、2022年にはクラブの最優秀選手にも選ばれた。ブライトンでは最終的に121試合で25ゴール14アシストという数字を残している。
トロサールに関して、まず一番に目立つのはその技術の安定感だ。彼は瞬発力だけで相手DFを突破できるほどのスピードは備えていないが、その代わりに低い重心と丁寧なタッチ、自由自在にボールを動かすスキルを駆使して相手のプレスを回避する。
スタイル的にはより長距離を走ることも得意なマルティネッリやサカとは異なるが、低く構えた守備陣を攻略するに際しては、ミケル・アルテタにとってまたタイプの異なるオプションとなってくれるだろう。
彼は平均よりも高いボール前進とチャンス創出力の数字も記録しており、得点も出来る万能なタイプだ。今季だけで既にシティとチェルシー相手にゴールを決め、アンフィールドでのハットトリックも記憶に新しい。
どちらかというと、安定して得点を重ねるというよりも、勢いに乗っている時に固めて点を取るというタイプのようだが、ビッグゲームで得点を挙げられる能力はアーセナルにとって非常に魅力的だ。
彼はボールを蹴る技術が高く、少ないバックリフトから両足で強いパワーを持ったボールを蹴ることが出来る。チームメイトの動きに気を払い打つつ、機会があればボールを供給しつつも、相手のゴールキーパーがポジショニングをリセットできないような早いタイミングで放つシュートを得意としている。
トロサールはキャリアを通して右足と左足でほとんど同じ数のシュートを放ってきており、シュートの洗濯も上手い。今季の34本のシュートの内、16本がボックス内からのものだ。
加えて彼はウイングバックとしてのプレイ経験もあり、左サイドが多いが右でもプレイしているし、中央でストライカーとしてプレイした経験もある。これは、ムドリクがキャリアのほとんどを通して左ウイングとしてしかプレイしてきていないのとは対照的だ。
トロサールは前線であればどこでもプレイすることが出来るはずだし、今のアーセナルの選手たちの負担を和らげてくれるだろう。
ここに怪我からスミスロウも帰ってきているし、ジェズスをより時間をかけてチームに合流させることが出来るようになるはずだ。
守備に関して言うと、トロサールはハードワーカーではあるものの、アルテタの元プレイするにはもう少しデュエルの強度を高める必要がありそうだ。
これが指示によるものなのかは定かではないが、今季彼は以前までのシーズンと比べて守備面のスタッツを大きく落としている。時折あまりボールを奪うつもりがなさそうなタックルに行く場面も見られる。
一方でボール回収数に関してはプレミアリーグ4位の数字を記録しているため、ボールがこぼれてきそうなスペースを見つけることは得意だ。
また、もう一つのトロサールの改善点としては、ボールを持った時に時々やりすぎてしまうことがある点だろうか。彼はドリブルで相手をかわした後で、そのままドリブルで再びトラブルに突っ込んでいってしまうことがある。加えて、ブライトンファンは時々11月~3月はトロサールは消えている、とジョークを飛ばすが、好不調の波を少なくすることも課題の一つだ。
ムドリクとジョアン・フェリックス獲得が報じられた際にアーセナルのストーリーは明確に見えた。19年ぶりのタイトル獲得を手助けしてくれる、タレント溢れる若手たち。
トロサールにはそこまでのインパクトはないかもしれないが、既にプレミアリーグでの実力は証明されているし、今のアーセナルが必要としているクオリティを多く備えている。
ちょうど一年前、オーバメヤンを放出したアーセナルはトップ4入りに向けて誰も前線の補強を行わず、サカとマルティネッリ、そしてラカゼットに代わったエンケティアに頼るという決断を下した。
結果としてこのギャンブルは失敗に終わったし、今回もそれを繰り返すわけにはいかない。
今のアーセナルの前線の若手たちが特別な才能を持っているのは間違いないが、手助けを必要としている。彼らを6月まで毎週2試合に出場させ続け、彼らのハムストリングをはちきれさせてしまうわけにはいかないのだ。
トロサールはアーセナルに高い技術、経験、そしてハイレベルな会うトップとをもたらす。彼自身のキャリアにとって、これがビッグクラブで輝く最後のチャンスになる可能性もある。
トロサールのような、トップリーグでのノウハウを持ちつつも、今のアーセナルの選手たちの負担を和らげてくれるような選手はアーセナルにとって有用な存在になるはずだ。
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ディスカッション
コメント一覧
選択が洗濯になってます
トロサールについて様々な意見。私が迂回していたのは、三苫選手の事を考えて。…先ず監督がとんずら。次に、三苫選手にとって素晴らしい監督。
新監督の立場は理解できる。何処かでそうしないと、一年後に良い選手は残らない。
トロサール自身この冬の移籍は予定通りで、クラブもその積もりだった筈。トラブルで値崩れしそうになったが、アーセナルは良心的だった。オプション的には言うまでも。キャラ的にも必要な人材と私は見ています。
三苫選手に対しては、監督や仲間と共により良いチームを作り上げて頂きたいと切に願います。