右サイドバックとして素晴らしいパフォーマンスを見せるベン・ホワイト
チームの選手を本来のポジションとは異なる位置で起用しなくてはならなくなる、という事態は通常好ましいものではない。
例えば怪我した選手の控えにそのポジションが本職でない選手を起用せざるを得なくなるのであれば、チームの選手層が薄いということを示していることが多い。
だが、今季序盤に冨安健洋が不在だった際にベン・ホワイトを右サイドバックで起用した(そして、その後彼は冨安復帰後もそのポジションをキープしている)のはアーセナルにとって良い選択だった。
右サイドバックとして輝くベン・ホワイト
今季のアーセナルにとってホワイトはキープレイヤーの一人といっても良い。アーセナルのシステムはサイドバックにかなり特殊な役割を要求する。彼らは一般的なサイドバックというよりも、サイドバック、CB、MFの全てをこなすような役割を求められるのだ。
その意味では、冨安とセドリックはタイプが全く違うが、冨安からホワイトへの変更は遥かにシームレスだ。
以下の今季のホワイトのパフォーマンスレーダーチャートは少し、チームへのインパクトを過小評価しているかもしれないが、特徴はよく示している。
ホワイトの今季のスタッツを、プレミアリーグの他のサイドバックと比べると以下の通りだ。
この2つの図はベン・ホワイトが今季どのようなパフォーマンスを見せているかを非常によく示している。彼はこれまでサイドバックでプレイした経験はあまりなかったが、プレミアリーグでトップレベルの活躍を見せている。
ホワイトのパフォーマンスの詳細
パス
流石に逆サイドのオレクサンドル・ジンチェンコほどではないが、ホワイトのパス面は今季ソリッドで、アルテタが求める右サイドバックの役割への適応に苦戦しているようには全く見えない。
アーセナルの今季のパス回しの重要なハブとしてホワイトは機能しており、彼のパス数はチーム3位だ。またファイナルサードへのパス数もチーム2位で、ボール前進の重要な一部も担っている。
総合的に見てホワイトのパスは効率的だが本数も多い。プレイするポジションの関係上、ボールに触るエリアがハーフライン付近、あるいはそれより後ろであることが多く、かつオーバーラップも多くないため、相手にとって危険なゾーンでパスを出すことは多くない。
どちらかというと、細かくボールを前に進めるパス本数の多さで貢献する、という役割だ。
相変わらずホワイトは良いDFである
今季アーセナルは守備が堅いが、それにおいてもホワイトは重要な役割を果たしている。昨季を通して彼はCBとして十分にソリッドだったが、今季サイドバックへとポジションを映してもその守備力は健在だ。今季すでにリーグでも最もタフなウイング相手にプレイしたが、大きな不安はなかった。
アーセナルではホワイトは果敢に前からボール奪取を試みるプレス網の一員ではないため、プレスに関するスタッツはそこまで目立たないが、これはホワイト自身の能力やプレイというよりも、戦術的な役割の問題だろう。
彼はアーセナルがプレスに行く際に、サリバと共に相手がハーフスペースめがけて縦にパスを入れようとした際の対処を担当している。彼らは二人ともスピードがあり、後ろ向きにボールを追いかけながら走ることも安定してできるDFだ。
ホワイトの今後の改善点
ここまではホワイトを大絶賛してきたし、今季の彼のパフォーマンスはそれに値するものだ。
だが、最後に逆に彼の今後の改善できるポイントについても触れよう。
それは、彼のファイナルサードでの貢献だ。
ホワイトはミドルサードでのチームへの貢献は素晴らしく、特にそこから一発のパスでボールを前進させることが出来るが、逆に自身がファイナルサードでボールを受けた時は、もう少し効果的なプレイを見せることが出来るはずだ。
今季ここまでクロスは11本中1本しか成功していないし、チャンス創出は1、アシスト期待値は0.8、敵陣25ヤード以内というさらに深い位置へのパスも少ない。
もちろん、そもそも今季ホワイトが記録している90分当たり平均77のボールタッチの内、ファイナルサードでのものは19なので、そこまで前でプレイする機会が多くない、ということはあるだろう。
今後も継続してより前でのプレイが続いていけば、この数字は改善される可能性はある。
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ディスカッション
コメント一覧
ホワイト、ティアニー。イングリッシュフットボールの伝統。ホワイトは現実的であり、ベッカムがアーセナルに来た、という幻想的な気分にはまだなれないが、十分素晴しい。
富安はあからさまに両足使い、と誇示し始めた。ハイレベルなポジション争いは、チームを負けにくくする。
この3人のややアバウトなラストパスに反応できる選手…ンケティアにもチャンス。