グラニト・ジャカの空に

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グラニト・ジャカを称えよう。

何年かにもわたって、彼のプレイを見てフラストレーションを溜めたことも何度かあったことは認めなくてはなるまいが、彼は今非常にハイレベルなパフォーマンスを見せており、称賛に値する。

そして、ジャカの好調は今季突然始まったことではない。昨季からその兆しはもう見えていた。

ジャカの名前がファンから温かく歌われるのは彼のアーセナルでのキャリアが始まって以来、今年が初めてだし、一見2019年のクリスタル・パレス戦でファンとジャカとの関係性は修復不可能であるようにも見えた。

だが、もちろん、この時の行為は弁護できないが、公平に言うのであれば、これはジャカ自身に向けられたもの、そしてジャカがファンに対して抱いたフラストレーションというよりも、より全体的なチームの低調さの表れだったようにも感じられた。

とはいえ、その原因が何であったにせよ、もしこの年に誰かが私に『いずれジャカは再びキャプテンマークを巻いて試合に出場し、アーセナルファンがジャカのチャントを歌うようになります』と告げていたとしたら『あなたのタイムマシンは故障しているようですね』と返したことだろう。

だが実際に先日の試合でそれは起きたし、今のアーセナルにファンが抱くポジティブな感情を象徴するような出来事だった。

もちろん、ジャカの名誉挽回の道のりは平たんなものではなかった。その過程で我々は何枚かのレッドカードも目にした。

確かに、それらのうちの何枚かはファウルの主がジャカでなければレッドカードになっていなかったのではないか、と感じられるようなものもあったが、とはいえジャカ自身がITWGXインデックス(訳: If That Was Granit Xhakaの略、ジャカに対して厳しい判定が下されることが多いことを主に英語圏のアーセナルファンが指して使う言葉で、今のタックルはジャカだったらレッドカードだったな、のように用いる)のことはよく承知しており、普通の選手よりさらに注意をしないと退場になりやすいということは知っているはずだ。

昨夏はローマ移籍目前にまで迫ったこともあった。

だが、ファンの評価やジャカの意図とは関係なく、常に一貫した姿勢を見せたのがミケル・アルテタだった。

アルテタ体制のアーセナルになって以降、何人かの選手はかなり険悪な雰囲気でクラブを去ったが、ジャカに関してはアルテタは常にクラブに残って欲しい、という姿勢を崩さなかったのだ。

ジャカの復活と名誉挽回にアルテタが果たした役割は評価されるべきだろう。

もしかすると、アルテタはジャカに現役時代の自身を少し重ねているのかもしれない

才能はあるがハードワークをいとわない、超がつくほどのプロフェッショナル。パスが上手く、チームのリズムを作れる選手で、時折ボックス外からのスーパーゴールも決められる。ただし、ワールドクラスのスーパースター、とまではいかない。もちろんこれは批判ではなく、シンプルな現実というものだ。

だが、これを加味して考えると、アルテタがジャカを新しい位置で起用しているのはさらに興味深い。彼が期待を遥かに上回るプレイを見せているのは間違いないだろう。

マッチオブザデイでイアン・ライトがジャカがこの役割をいかにうまくこなしているかに関して、素晴らしい解説を行っていた。

以前より機動力が増しているようにすら見えるし、ピッチ上を走り回り、これまでのプレイエリアとはかなり異なる場所にも顔を出している。

特に、私が一番心配していたのはジャカがボールを持つとスローテンポでプレイする傾向にあることだったが、それも今は非常に素早いプレイを見せるようになっている。もちろんこれは、ジャカには元々可能だったプレイなのだろう。私が心配していたのも、ジャカの技術面というよりも、単純にこれまではよりタッチ数が多くなりがちなエリアでのプレイに非常に慣れている、というのが理由だった。

特に、ブレントフォード戦序盤のマルティネッリのチャンスはこの役割のジャカがいかに効果的であるかを示していた。彼は自陣から前線に駆け上がると、ジャカとマルティネッリの軽やかな足さばきからチャンスを演出した。マルティネッリが姿勢を崩してしまったのは残念だった。

その後のジェズスへのアシストも素晴らしかったし、今の所対戦相手が、ジャカがファイナルサードで決定的な働きをするということに慣れていない分、警戒が薄い、というのもあるだろう。今後それがどう変わっていくかは興味深い所だ。

2016年にアーセナルがジャカを獲得した際に、アーセン・ベンゲルはジャカに向いているポジションについて以下のように語っていた。

私は個人的には彼はボックストゥボックス型の方がMFが向いていると思う。彼はスタミナがあり、パワーもあるし、ロングパスも上手い。深い位置に降りてボール配給を行うのも得意だ。彼は前線へのランでインパクトを残せると思うよ。

長い間、これは少々的外れな意見に見えたし、そもそもアーセン自身が最終的にはジャカをどちらかというと守備的なMFと見始めていた(他にもいろいろな役割をジャカは任されたが)。

だが、どうやらアーセン・ベンゲルの当初の直感は実は大正解だったようだ。

なんにせよ、特にアーセナルのファーストチョイスのMFに怪我が相次いでいる今のような状況では、ジャカがこのパフォーマンスを見せ続けてくれることを願おう。

現在のリーグでの好調が、アーセナルが本当の意味で一歩前に進んだことを示している、と断言することはまだ出来ないが、それでもアーセナルの評判はかなり変わってきているように思える。

もちろんまだまだシーズンの先は長いが、今の英サッカー界の実況解説がアーセナルが15歳の選手をデビューさせたことに文句を言っているのには理由がある。彼らはどんなにあらさがしをしても、アーセナルにおいてネガティブなことを言うポイントがそれくらいしか見つからないのだ(もちろん、本来15歳の選手がアーセナルでデビューすることは全くネガティブなことではない)。

この好調をぜひともずっと続けようではないか。

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Posted by gern3137