アーセナルとプレミアリーグの審判団を巡る問題について
プレミアリーグのPGMOL(プロ審判団)のトップを務めるマイク・ライリーがエヴァートンのチェアマンであるケンライトと監督のフランク・ランパードに電話でシティ戦でPKを与えなかったことに関して謝罪をした、というニュースが飛び込んできた。
まず一つ明確にしておきたいのは、エヴァートンが怒るのは理解できるということだ。明らかにロドリのハンドだったし、ポール・ティアニーは視界が遮られていたとはいえ、VARとクリス・キャヴァナフは言い訳が出来ないはずだ。
これがハンドでPKだったのは火を見るよりも明らかで、この判定がなされなかったことにより、再びプレミアリーグの審判たちの能力に疑問を呈す議論が始まっている。
マイク・ライリーがエヴァートンに謝罪の電話をかけたと報じていたのはTimes紙だが、これは、以前までであれば絶対に審判による誤審を認めることのなかったライリーとPGMOLの大きなスタンスの変更だと言える。
もしこれがPGMOLがよりオープンになり、今後は透明性を確保していくということを示しているのであれば、ポジティブな兆候だと言えるだろう。
だが、個人的には彼らがそのような方向に進んでいくかどうかは自信が持てない。
むしろ、もとイングランド代表のヒーローであるフランク・ランパードが声を上げたため、ライリーが事態の鎮静化に乗り出さなくてはならなかった、といったところではないだろうか。彼らが自らのやり方を変えようと考えている様子は見えない。
数週間前にミケル・アルテタはPGMOLと判定について話をする必要があると語っていたが、今の所、そのような話し合いの場が持たれたという報道はない。もちろんこれは話し合いであり、謝罪要求ではないわけだが、今季アーセナルは仮にアルテタが謝罪を要求しても正当化されるようなケースがいくつかあった。
これや
これ
これもだ。
こんなこともあった。
他にも一貫性を欠いた判定は多くあり、これらがある程度アーセナルのシーズンに影響を与えている。
別に、アーセナルを陥れようという何らかの陰謀のようなものがあると言いたいわけではない(一番最初に振れた今回のケースはそもそもエヴァートンが不利になる判定だったわけだ)。単に、VAR導入以降もプレミアリーグの判定の基準は要求水準に達していないということを示しているだけだ。
大きな問題点は、判定に関して、そしてそれを運営する人々に関してアカウンタビリティが全く欠落しているということだ。
数週間前に、レフェリーのダイバーシティ化を進めるというプランが報じられた。現状のプレミアリーグの審判のほとんどが北西イングランド出身の中年男性であることを考えれば、これは歓迎すべき変化だが、まだまだ時間はかかるだろう。
これと同時並行で、他の対策も行うのはどうだろうか?
審判団から独立して、審判やVARのパフォーマンスを評価するような機関を設置しては?
そもそもの判定が下される経緯に関してより透明性を確保するのはどうだろうか?
誤審があったとしても、隠す必要はない。ヒューマンエラーはファンも理解できるだろうし、もし主審やVARから判定に至った経緯の説明があれば、それは更に言えるはずだ。
審判は重要な判定をミスするケースもあり、もし彼らに重ルールの理解やその判定の適用知識における欠如があるのであれば、何らかの対策を講じなくてはならない。
主審とチェック中のVARの会話を公開するのはどうだろうか?
ラグビーではすでにこれが行われているし、90分間の審判の会話を外部の人間も聞くことが出来るようにしてしまえばよい。
このアイディアに対する反論としてよく聞かれるのが、もしかすると(選手からの審判に対する)罵りや無礼な言葉までマイクに乗ってしまうかもしれないという点だが、ラグビーの選手たちが毎試合互いに互いを叩きのめすスポーツを行いながら、船乗りのような罵りの言葉を一言も発せずに試合を終えることが出来るのであれば、なぜサッカー選手にはそれができないのだろうか?
もちろん審判や選手たちが慣れるのにはある程度時間がかかるだろうが、実際に実現できれば、そもそも審判の立場を弱めるようなピッチ上での行動を減らすことも出来るはずだ。
そして、もう一つ重要なのは、メディア上での審判を巡る議論の基準を選定することだ。
審判は非常に難易度が高く、プレッシャーのかかる仕事は皆わかっている。だが、そのような仕事は多くある。サッカー選手や監督がそのうちの一つであることは言うまでもない。
彼らは常に注目を浴びている。
侮辱や中傷を行うのではなく、冷静な分析にフォーカスするような文化をメディア上に作り出すのが重要だ。"これは難しい仕事だから放っておくべきだ"という態度は誰のためにもならない。
少なくとも私には、複雑なプランニングや調査を必要とせず、すぐに手を打てるいくつかの対策があるように思われる。そして、その後により綿密な調査に基づいた改善案(ライリーとPGMOLにリップサービスを行うためのものではない案、という意味だ)を適用していけば、前に進むことが出来るだろう。
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