【戦術分析】マンチェスター・シティを無力化したアーセナルの柔軟なプレス 後編
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マンチェスター・シティ戦の前半のアーセナルのボール非保持時のパフォーマンスにおいて最も重要だったのは、選手たちがそれぞれの役割をきちんと理解し、マーカーを受け渡す必要があるタイミングをわかっていたという点だ。
以下の場面ではカンセロが外に居て、マルティネッリも同じく外に開き、かつウーデゴールやサカと同じほど高い位置にいる。
だが、シティが一旦ビルドアップをリセットし、カンセロが中に入った3-2-3-2のような形になると、マルティネッリはそのままカンセロについていくのではなく、少し中に入った場所のままシウヴァをマークし(左上の表示の裏側に隠れている)、代わりにカンセロはジャカがマークしていた。この時ジャカはホワイトにガブリエル・ジェズスを見るようサインを送っていた。
これにより、カンセロがボールを受けた際にボールを前進させられる良いパス先のオプションは全て封鎖されている。
そして、興味深いのはこの時冨安がスターリングではなくデブライネをマークすることを選択していたという点だ。スターリングにボールを届けるためにはシティは一旦横にボールを動かしてリセットする必要があるため、この選択は理にかなっている。
もしそうなれば、アーセナルのマークもリセットされ、ホワイトはガブリエルの横に戻り、ウーデゴールはロドリのマークを続ける一方でパーティがデブライネにつく、という形で冨安は再びスターリングをマークすることになっていた。
結果的に上の形からアーセナルはスローインを得ることに成功した。
前半アーセナルはシティを完全にシャットアウトすることに成功し、主なチャンスはセットプレイからの2度のみ、かつその2度のチャンスも枠内には飛ばなかった。
逆に、アーセナルがボールを保持している際には、サカとマルティネッリへのダイレクトのボールをチームは狙っていた。
ラムズデールがサイドでフリーの二人を狙っているのは試合開始直後から明らかだったし、そのうちの一本はウーデゴールがPKを得られず議論を読んだ場面に繋がるなど、マルティネッリへの速いボールも危険な場面を作れていた。
実際の得点場面も素早い攻撃から生まれたものだが、実はこれはシティのポゼッションをアーセナルが奪ったところから始まったものだ。
何度か解説した場面と似たように、ジャカとパーティがシティの右サイドを担当しており、デブライネは最終ラインが見る、あるいはシティがビルドアップをリセットした段階でマークにつく、という形だった。
今回のケースでは、ロドリがシウヴァへのパスを通すのに成功したが、その際にホワイトがデブライネがフリーとなっているのを見つけ、最終ラインと一緒に下がるのではなく、自身でデブライネに対応し、インターセプトを狙った。
ホワイトは実際にボールを奪取することに成功し、そこからサカのゴールが生まれたわけだ。
その後、後半に色々な出来事が起きたこともあり、シティは息を吹き返した。スコアは同点となり数的優位にも立ったシティだったが、それにもかかわらず、ジャカがホワイトとホールディングに加わって、5-3-1で守ることを選択したアーセナルのブロックを攻略することは出来なかった。
最終的には試合終了直前のゴールでアーセナルは敗北となったわけだが、内容的には引き分けでもアーセナルにとってはアンラッキーと言えるくらいで、勝ち点3に値したパフォーマンスを見せたのはむしろガナーズの方だった。
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