アワール or マディソン？
アーセナルはウーデゴールがマドリードに帰ってしまったため、この夏攻撃的MFを獲得する必要がある。多くの選手が噂に上がっているが、 その中でもマディソン獲得の噂はかなり可能性が低そうに思われた。
ただし、先日AFCBellが、アーセナルは本当にマディソンに興味を持っていると報じた。AFCBellによると、アーセナル側はマディソンに彼がこの夏のメインターゲットであり、給与を倍にする用意があると告げたとのことだ。
一方で、最近フランス方面からアーセナルはフセム・アワールへオファーを出したという報道も舞い込んでいる。アーセナルが二人ともを獲得するとは考えづらいので、問題は、クラブはどちらをエミレーツスタジアムに呼ぶべきだろうか、という点になる。
まず第一に、アルテタが彼らにどのような役割を課すつもりでいるのだろうか、という事を明確にしておくのは重要だ。
スミスロウとトップ下の座をかけて4-2-3-1(基本的にはこのフォーメーションが昨季はアーセナルの基本だった)で争うのかもしれないし、4-3-3のクリエイティブな8番の一角としてプレイさせるつもりなのかもしれない。
アワールマディソン両者ともに、どちらのポジションでもプレイできるだろうが、それぞれ現在のチームにもたらすものは異なる。
昨季のアーセナルはMFの得点数が非常に少なく(リーグ戦では合計でたったの5得点だ)はもしアルテタが中盤の得点力を高めたいと望んでいるのであれば、マディソンはうってつけだ。
昨季彼は8ゴールを挙げ、90分あたりPKを除いて0.34得点という数字を残している。これはアーセナルの昨季のスカッドのＭＦの誰よりもはるかに優れた(スミスロウは0.12でウーデゴールは0.08だった)数字であるだけでなく、ブルーノ・フェルナンデスの0.26すらも凌駕している数字だ。
さらに、重要なのはこの数字がリーグは違えど、アワールの0.25よりも上だということだ。
スタッツを見るに、マディソンとアワールのシュート能力にはかなり違いがある。マディソンは昨季xGを3.6上回る得点を挙げており、難しいチャンスも決められる選手であるという事を示唆している。
一方で、アワールはxG的には10.3だったにもかかわらず、7得点に終わった。
恐らくマディソンの実得点がxGを上回っているのは、彼がＦＫ能力が高いというのも理由だろう。だがこれは、サンティ・カソルラ退団以降フリーキックからゴールを決められるような選手が居ないアーセナルにとってはむしろポジティブな点だろう。
アーセナルの昨季の不調のまた別の要因は、オーバメヤンを筆頭としたＦＷ陣に十分なチャンスを作ることが出来なかったということにもある。
したがって、攻撃的ＭＦにはチャンス創出も期待されることになるだろう。
この面においては、アワールの90分あたり5.1度のチャンス創出はマディソンの4.5よりも優れている。
さらに、これらのチャンスの多くがオープンプレイからのものだ。マディソンにはＦＫ精度がある一方で、アワールは自身のドリブルスキルを活用し、チャンスを作り出す。
アワールは90分当たりのゴール創出アクション0.71ととんでもない数字を残しており、これはマディソンの0.47よりもはるかに高い。アワールの方がファイナルボールを演出する才能があるという事は言えるかもしれない。
ただし、これは実際のアシストには反映されていない。アワールは3アシスト、マディソンは5アシストを記録しているが、もしかすると、リヨンの攻撃陣とレスターの攻撃陣のゴール前での決定力の違いという部分も影響があるかもしれない。
最後に考慮すべき点は、アルテタのアーセナルで成功するためには、ハードワークを厭わず、前線からの守備を行う選手である必要がある。これを示す指標としてプレス成功率が採用されることがしばしばあるが、マディソンの27.3%に対してアワールの29.7%とこの面に関してはかなり似ている。
だがタックルではマディソンの方が上で、彼の方がタックル成功率が高い。
総合的に見て、私個人的にはマディソンの方が良いチョイスではないかと思う。彼は既にプレミアリーグでの経験があるし、得点力をもたらすことが出来るからだ。さらにセットプレーの精度が高く、ホームグロウンであるという点も彼をアーセナルにとってアワールより好ましいオプションにするのではないだろうか。
しかし、もし移籍金が報道の通り、マディソン獲得には60m£以上が必要である一方でアワールは20-25m£ということであれば、どちらがクラブにとって良い獲得は難しい所だ。その差額をアーセナルの他のポジションの獲得に投資できるという事になるわけなのだから。
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