アルテタの交代策に関して
アルテタの大きな課題の一つは、試合中にどのようにゲームをコントロールするかで、特に交代策の打ち方の改善だろう。
疲労により選手のパフォーマンスが落ちることは広く知られているし、統計的に、90分間通して出場した選手よりも、途中交代で出場した選手の方が得点率が高い。
これに関しては、我々よりもサッカークラブの方がより精確なデータを持っているはずで、選手にその力を最大限発揮させるために、事前に交代を計画するという手段もある。
ここまでのアルテタの傾向として、(けが人やレッドカードを除いて)最初の交代は平均して63分時点で行われ、2人目は73分、そして最後の交代は82分だ。
これまでの試合のうちの95%でアルテタは交代枠を使い切っている。
だが一方で、アルテタは交代に関してかなり保守的で、3人目の交代はギリギリまで行わず、けが人などが発生した場合に備えて最後まで残しておく、という傾向がある。
ただし、これは他の監督の平均的な傾向と比べて大きく異なっている、というわけではない。
1人目の交代選手で40分以上プレイする選手の割合は26%で、30分以上であれば46%、80%が20分以上はプレイし、10分なら98%だ。
2人目と3人目の交代選手についてもほぼ同じなのだが、興味深い(あるいは人によっては懸念点と感じる)のは、このアルテタの交代策のパターンは、交代枠が3人の場合とまったく同じであるという点だ。
だが、ここまでアルテタが指揮を執った試合の1/3以上は5人の交代が認められていた。アルテタは4人目と5人目の交代選手に時間を与えることがほとんどなく、交代人数の変化が彼の方針に影響は及ぼしていない。
また同時に、アルテタは試合展開によって交代の傾向が変わることもない。60分時点でリードしている場合でも、同点あるいはビハインドでも、大体所の交代のパターンは、特に2人目と3人目に関してほとんど同じだ。
もちろん、これが試合を動かす上でそこまで決定的な点かどうかはわからないが、このような小さいマージンをいかにして稼ぐかがアーセナルのようなチームには重要となってくるはずだ。
そのよい例がビジャレアル戦で、交代が遅れたことによりアーセナルはディスアドバンテージを背負ってしまった。
この試合に懸かるものは非常に大きかったが、いきなりチームはゼロトップを試していた。早い段階で失点し、しかもこの試合では5人の交代が認められていたが、アルテタは早い段階で交代を行うことはしなかった。
例えセバージョスのレッドカードを避けられなかったとしても、2人目の交代が85分まで行われず、負けている試合でまるで時計の針を進めるかのように95分に選手交代を行うというのは少々奇妙だった。
この方針を今後アルテタが変えていくつもりがあるのかは確信を持てないが、交代策をもっと有効に活用すれば、アルテタは1シーズンを通して3-5点程度は上乗せできると感じられる。
もっとアグレッシブに交代を行えれば、既にチームに在籍している選手の力をより引き出し、勝ち点にして2-4くらいは稼げるのではないだろうか。
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