恥ずべき欧州スーパーリーグ構想に関して by arseblog
スーパーリーグ。
より多くの金を欲しがる金持ちたちがオーナーを務めるビッグクラブのグループによる企み。
悲しいかな、アーセナルもこの醜悪な計画を最前線で推し進めているクラブの一つであり、昨日無機質な『我々はスーパーリーグ創立メンバー12クラブのうちの一つである』という声明を発表した。
何から嘆けばよいのかわからない。
このようなものの"創立メンバー"だといってのけてしまえる傲慢さと醜さか。あるいは、このような重大な発表をオーナーやCEOからの一言もなく、ジョエル・グレイザーの言葉の引用で済ませてしまったことか。
スタン・クロエンケは普段からほとんど発言しないし、これは各クラブ向けに用意された声明なのだろうというのはわかるが、それでも情けないとしかいいようがない。
これこそ、まさに彼らがどれほどファンのことなど気にかけていないかの証明だ。
このツイートに対する反応はすさまじいものだった。私はここまでの(筋の通った)憤慨や嘆きがアーセナルの投稿に寄せられたのをこれまでに見たことがない。
このような"コンテンツ"の投稿の準備をしなくてはならなかったクラブのスタッフには同情せざるを得ない。実際には、アーセナルではクラブの価値観、アーセナルのコミュニティでの立ち位置、歴史、野心を非常によく理解する多くのスタッフがいる。
それは現在のアーセナルからは程遠いものだが。
上層部の命令で、心の底から数え切れないほどのファンが心の底から憎むとわかっている投稿を、本来アーセナルを愛する彼らスタッフが行わなくてはならないなんて。
監督についてはどうだろう?
もしクロップやアルテタが、スーパーリーグに反対するとしたらどうなるのだろうか?彼らは良心を妥協するのか、それとも反対意見を表明したら解雇されるのか?
もしかすると、それも起こるかもしれない。誰もわからない。
欧州スーパーリーグというものの構想自体は常に存在していた。
告白しよう、私はこの実現を常に恐れていた。
もちろんスカイスポーツやプレミアリーグ、UEFAといった現在スーパーリーグを批判している団体がこれまで常にサッカーを守る行動をとってきたとは言えない。
彼らだって、サッカーから出来る限りの金を搾り取ろうとしてきた。ファンのことなど気に掛けず、キックオフの時間をずらし、チームやファンは短い期間で国の端から端までの移動を強いられた。公共交通機関が動いていない時間だろうとお構いなしに。
彼らは選手の福祉など気にかけていない。もし気にかけているのであれば、なぜパンデミックの真っただ中に6日間で3試合も代表戦を組んだりするのだ?
今季の選手の怪我の多さを見れば、彼らもまた、預金通帳と自分の都合しか考えていなかったのは明らかだ。
だが少なくとも、現在の枠組みは健全な競争に基づいている。
確かに、いわゆる"ビッグクラブ"が出来るだけ有利になるような仕組みはあるが、それでもリーグ戦は38試合あり、レスターやウエストハムのようなチームが今季チャンピオンズリーグ出場権をかけて争っている。
そして、だからこそサッカー、そしてスポーツというのは面白いのではないか。
この忌まわしき"スーパーリーグ"というものは15の"創立クラブ"の出場権が保証された閉鎖的なリーグだ。彼らは降格することはないし、出場できないという事が起こりえない。
これこそまさにスポーツのあってはならない形そのものだ。もはやこれはスポーツではない。ただのエンターテイメント、ショー、TV番組、サブスクリプションコンテンツだ。
これは全てのサッカーファンが唾棄するようなものだ。
リーグ9位のアーセナルがこの"スーパーリーグ"に無条件で参加できるというのは非常に馬鹿げている(そして、この60年間一度もリーグ優勝をしていないスパーズのようなクラブの参加も同様だ)
私は今でも、2006年のチャンピオンズリーグの決勝を昨日のことのように覚えている。
敗北の痛みは苛烈だった。だが、試合終了の笛が鳴り黄色に身を包んだアーセナルファン達が絶望している姿は私の記憶に永遠に残るだろう。
栄光を達成するのにあと一歩のところまで来ていたこと、最後まで誇りを持って立ち続けたこと、そして、そこにたどり着くまでの道筋の全て。
栄誉あるトロフィーを勝ち取るチャンスがついに訪れたがそれはほんの少しのところでかなわなかった。だが同時に、次の機会こそは、と思ったものだ。
保証しよう、偽りの栄光に満ちた新しいフォーマットのエキシビションマッチでこのような気持ちを生み出すことは絶対にできない。
もしあなたが一度でもサポートするクラブがヨーロピアンカップ(かつてはチャンピオンズリーグではなくこういった名前だったのだ)を掲げる所を夢見たことがあるのなら、その夢はもう終わりだ。
その大会はもう存在しなくなるのだから。
その代償に得られるものは何だ?
億万長者がさらに金を得るだけだ。
スーパーリーグによって得られる金銭的なインセンティブがこの計画を前に進めている。
恐らくこのタイミングで発表されるというのは多くのクラブの借金がかさんでいるという事情があるのだろう。
確かに、1000億円以上の負債を抱えるバルセロナなら、クラブの伝統と歴史を消し去ってでも借金を帳消しにする策を模索するかもしれない。
クロエンケも、もし誰かが安定した破格の収益を保証するオファーをもって現れれば、それをためらわず受け入れることだろう。
彼らはファンが何を求めているか、何を気にかけているかなど考えないのだから。
アーセナルがこのようなものの一部であることを私は本当に悲しく思う。
アーセナルは私が人生をかけて応援してきたクラブだ。これが、私が気に掛けるアーセナルに相応しいとは思えない。
もちろんわかっている、もしかすると、私が見ていたのはずっと単なる夢物語、理想化されたアーセナル像だったのかもしれない。
だが、アーセナルの発表に対するファンの反応を見るに、このような振る舞いはアーセナルに、我々が何者であるか、我々が何を代表し何を意味するか(ファンから最も愛された選手であったデイビッド・ローカッスルがかつて言ったように)に相応しくないと感じるアーセナルファンは私一人ではないはずだ
非常に難しいが、我々は今回の件に関して、クラブとオーナーを分けて考える必要があると思う。もちろんこれはアーセナルに限った話ではない。あなたのクラブを嫌う必要はない。オーナーを嫌えば良いのだ。
サッカークラブは我々にとって重要だし、それはそのために戦う価値があるものだ。・・・少なくとも、その価値が全くない地点に来てしまうまでは。
このスーパーナントカはUEFAとプレミアリーグの、参加クラブは国内リーグと代表戦から追放される、という反対にもかかわらず、8月にもう始まる予定なのだそうだ。
もちろんこれは主張を押し通すための政治的駆け引きで、向こう数週間で、どのような経緯をたどるかには注目しなくてはならない。
だが、もしこれが本当に実現したとしたら、今季の残りに何の意味があるというのだろうか?
もちろん私はアーセナルにヨーロッパでのトロフィーを勝ち取って欲しい。だが、それはCL出場権があるから、という理由もあった。
だが、もしアーセナルがこのグロテスクなバラエティ番組への出場が確約されているのであれば、プレミアリーグを何位で終えるかに何の意味があるというのだろう?
もしかすると、この計画は実現に至らないかもしれない。だが、今回の件でサッカークラブとファンとの関係に一生消えることのない傷が残るのは間違いない。そして、それは本当に悲しいことだ。
憤慨すべき点は多くあるが、何よりも、ファンのこういった反応など予測がついていたに違いないにもかかわらず、強行しようという発想が本当に哀しいものだ。
スタン・クロエンケ。アンドレア・アニエッリ。ジョエル・グレイザー。イヴァン・ガジディス。ジョン・W・ヘンリー。そしてスーパーリーグに関わったすべての人物はサッカー界の敵だ。
ジャーナリストのジョナサンが書いた通り『欧州スーパーリーグを支持できるのは、サッカーのことを本当に嫌い人物だけ』に違いない。
彼らはサッカーのことなど愛していない。彼らが愛しているのは金だけだ。そしてそれを得るために彼らが破壊しようとしているもののことなど全く考えてすらいない。それだけは断言できる。
source(当該サイトの許可を得て翻訳しています):
ディスカッション
コメント一覧
ユベントス ファンですが某ユーベ記事サイトはスーパーリーグやアニェッリ賛美のコメントしかなくユベントス 自体が嫌いになりかけましたが、この記事を読んで少し救われた気がしました。
ありがとうございます。
おや、そんなことになってるんですか!笑
いえいえ!こちらこそ読んで頂きありがとうございます!
その監督がもうダメかどうか、選手の走り方などでわかる。ベンゲルは最後まで偉大な監督だった。私が思うに、出て行けという言葉をわざわざ飛行機で示す、TVも嬉しそうに取り上げる。プレミアにおける悪意の表現の仕方は他国の人間にとって、見る、聞くに堪えないものだった。私は以前チームごとアメリカに行けばいいといった。TPPに関する英国外相のコメントは、軒を借り母屋を乗っ取らんとする言い方だった。EU離脱もそうだが、サッカーにおいて英国は、何が起きても文句が言えないのでは、と思ってしまう。どうせならプレミアがスーパーリーグになればよかった。レンジャースと、セルティック他を入れて。チャンスはあった。
スポーツを政治と切り離すなら国境を跨がねばならない。消滅の危機のない組織は腐敗した。ビジネスに委ねてみる時期は来たと思う。
私の記憶が正しければ、メディア王と呼ばれた人物が、当時国内リーグに所属していたチームを引き抜いて作ったのがプレミアリーグです。そのような経緯で作られたプレミアリーグのチームを応援しながら、今回のスーパーリーグ構想を批判するのは矛盾ではないでしょうか?
「この忌まわしき”スーパーリーグ”というものは15の”創立クラブ”の出場権が保証された閉鎖的なリーグだ。彼らは降格することはないし、出場できないという事が起こりえない。
これこそまさにスポーツのあってはならない形そのものだ。もはやこれはスポーツではない。」
フットボールとならんで世界的に人気のスポーツであるバスケットボールの世界最高峰リーグ、NBAでは降格することも出場出来なくなることもありません。この方の主張に従えば、バスケットボールはスポーツではない訳ですね。バスケットボールはスポーツですか?というアンケートをして、そうではないと答える人がどれだけいるでしょうか?
「ジャーナリストのジョナサンが書いた通り『欧州スーパーリーグを支持できるのは、サッカーのことを本当に嫌い人物だけ』に違いない。」
選手の体調をまるで無視した試合日程を組むFAやUEFA(しかも彼らは更に試合数を増やそうとしています)が主催する大会を支持する人々がいることが信じられません。
私に言わせれば、『欧州スーパーリーグを支持できないのは、サッカーのことを本当に嫌い人物だけ』です。
ファンとクラブは心の問題、伝統も価値観も心の問題
これはかけがえのないものです
ただ静かにゲームを楽しみたいものとして、
実はエメリ期に心が離れかけました
自分でも驚きましたが意外と簡単なのだな、と
一方クラブがグローバリゼーションで大きくなったのも事実、資本主義は止められない
だからバランスが必要なんです
資本主義の欲望はコントロールしなければいけない、持続可能でなければならない
国内リーグの公共性、スポーツとしての公平性それから責任の所在お金の出どころ
こういったものが解決されなければ、そのときは本当にファンの心が離れていくときでしょう
そしてバランスが取れなくなったときすべては弾けてしまう
好む好まないによらず資本家は準備万端ポジションはって、あとはタイミングだけ
コロナを建前に一度歯車が動き出せばもう止められない
だからこそ水際だからこそここまで苛烈なUEFAなのでしょう
選手の権利を奪うなんてあってはならない
UEFAはある程度の権限だけ残る一人負け、クラブは大きな権益を得る
資本家がどこまで本気で課題に取り組むかにかかってますね