【画像で見る戦術コラム】アーセナルはいかにして3点差を追いついたか 前編
22分でアーセナルが3失点した時点で試合は終わったかに見えた。プレミアリーグでアーセナルが3点差をつけられて敗北しなかったのは、この試合以前にはプレミアリーグで2017年のボーンマス戦のみだ。
前半最初の20分でウエストハムが試合の主導権を握ったのにはアーセナルの攻撃の不毛さが大きく関係しており、攻撃へのアプローチに修正を施したところから、アーセナルの復活の儀式が始まった。
アーセナルの試合立ち上がりの戦術
最初はアーセナルは前線の3人がパスのオプションとなるために低い位置まで下りてくる、という構造だった。サカ、ラカゼット、ウーデゴールの三人が下がり、前にオーバメヤンのみを残して右から中に入るようなランを窺うという戦略だったはずだ。
だが、ウエストハムの中盤が幅を狭めて彼らを封鎖することに成功し、結果として遠すぎるタッチライン際にオーバメヤンが孤立してしまったので、これは機能しなかった。
もちろん3人が下りてきているので中盤にはアーセナルの選手が普段よりも多くいたが、このオーバーロードは逆にアーセナルにとって不利に働いてしまった。
縦に抜ける動きがないままではウエストハム人を引き延ばすことが出来ず、混雑した中盤でスペースがあまりない状態だったからだ。
既に2失点しており、攻撃に全く存在感がない状態だったので、ミケル・アルテタはは何かを変えなくてはならなかった。3人が下りてくるアプローチをやめ、後ろに降りてくるのはラカゼットとウーデゴールの2人だけに変更した。
機能した疑似4-4-2への変更
同時にサカとオーバメヤンの左右も元に戻し、この2人が本来のポジションでプレイして、外から中に入る走り込みをちらつかせることでウエストハム守備陣をピン止めすることに成功した。そして、サカもサイドに回ったことでシンプルにラカゼットとウーデゴールが動き回るスペースが増えた。
この疑似4-2-2-2のようなかたちにより、ラカゼットとウーデゴールはコンスタントにウエストハムの最終ラインと中盤のライン間でボールを要求できた。
また、サカとオーバメヤンという二人のスピードスターが前にいたため、裏へのボールを警戒しなくてはならない相手はそこまで高い位置をとれず、CBがラカゼットに向かって押しあがって対応するまでの時間の余裕が少し生まれた。
ラカゼットにスペースと時間が生まれるとどうなるかというと、外から中に向かって走るサイドの2人に向かってラカゼットが以下の画像のようなボールを出せるようになる。
そして、逆に相手のCBがよりタイトにラカゼットについて行こうとすると、サカとオーバメヤンの走りこむスペースが生まれていた。以下の画像の場面ではラカゼットのパスが強すぎうまく行かなかったが。
このライン間の位置でラカゼットとウーデゴールがフリーになることが非常に多く、グラニト・ジャカやパーティからのプログレッシブパスを待ち続けていた。
そして、いざ彼らからの縦パスが届くと今度はこの二人がサカとオーバメヤンへのパスを供給する。
(後編に続きます)
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