アーセナルからローンに出ている選手たちの将来の考察
ミケル・アルテタが夏のプランについて話すのは興味深かった。だが、今のアーセナルは去年と同じような状況で、今後の方針のカギを握るのは、膨れ上がるスカッドの選手に出場機会を与えるための欧州コンペティション出場権を獲得できるかどうかだ。
冬に契約解除でかなりの選手の放出を決断したのは悪くない方針だったと思うが、それでもまだ現在のアーセナルのスカッドの25人のうち11人もの選手の将来が不透明だ。
そもそもライアン、セバージョス、ウーデゴールの3人はローンの選手だし、ディジョンから来たバックアップキーパーはマスタードも切れない(訳注: 英語のdoesn’t cut the mustardには期待外れ、という意味があり、ディジョンとかかっている)。
それなりの移籍金が捻出できるかもしれないが、残り契約期間が短くなってきている選手が三人おり(ベジェリン、エルネニー、ラカゼット)、ルイスは夏に契約切れだ。
これは冷静に考えるととんでもない状況で、恐らく夏に大刷新が待っているのだろう。
さらにここに加えてアーセナルのトップチームからローンに出ている選手が七人もいる。アルテタも彼らのプレイを注視していると会見で語っていたが、今回は彼らの将来を考えてみたいと思う。
ルーカス・トレイラ
年齢: 25
ローン先: アトレティコ・マドリード
契約満了: 2023年
アルテタに監督が交代した際には、彼がトレイラを再生させてくれるだろうと私は正直期待していた。だが、去年の1月のポーツマス戦での怪我が契機になり、昨夏の時点で、選手も監督も完全移籍でクラブを去るのを容認しているように見えた。
ただし、パンデミックの影響で買い手を見つけるのが難しく、アトレティコへのローンで落ち着くこととなった。
理論上はこれによりトレイラは市場価値を保てるはずだったが、ここまで今季611分しか出場できておらず、フル出場は3度しかない。
1月にはローンの打ち切りが噂になったほどだ。
もちろん来季のアーセナルでトレイラが今のエルネニーのような立場に落ち着く可能性もなくはないが、それなりに買い手はつきそうなので、夏にアーセナルは売却しようと試みるのではないだろうか。
マッテオ・ゲンドゥージ
年齢: 21
ローン先: ヘルタ・ベルリン
契約満了: 2022
私が思うに、ゲンドゥージが良いサッカー選手であることは疑いの余地はないが、ポジション面での規律、というかむしろすべての面での規律、が足を引っ張っている。
ミケル・アルテタがゲンドゥージのような選手の幼稚なふるまいを容認する気がないのは明らかで、恐らく彼を他の選手から引き離せて安堵しているだろう。
完全に干されるまでの間に既に82試合アーセナルで出場しており、これは彼の年齢を考えるととんでもない数字だ。さらに、ディディエ・デシャンの下フランス代表デビュー一歩手前のところまで行っていた。
本来であれば多少問題児という評判を抱えていたとしても、宝くじに当選したような額をアーセナルにもたらしてもおかしくはなかったが、今となっては、アーセナルは20m£程度での売却で手を打つのではないだろうか。
悲しいことに、彼の将来はアーセナルにはないように思われる。
ディノス・マヴロパノス
年齢: 23
ローン先: シュツットガルト
契約満了: 2023
ニュルンベルクへのローンで輝いたのちに、ダイヤモンド・アイの異名をとったミスリンタートが再び自身のもとへとマヴロパノスを呼び戻した。
実際この長身CBはブンデスリーガでかなり良くやっており、怪我のせいで今季前半の多くを欠場したものの、既に13試合出場を挙げており、そのほとんどが先発だ。
怪我以外のマヴロパノスの問題点は、恐らくアルテタとの接点が全くないことだろう。
アルテタが監督に就任した2週間後には彼はローンに出ており、それ以来アーセナルに帰ってきていない。将来有望な若者で、なかなかの移籍金が見込めるのではないだろうか。
セヤド・コラシナツ
年齢: 27
ローン先: シャルケ
契約満了: 2022
コラシナツは大幅な給与カットを受け入れ、負けるのが決定的な戦を戦うためにシャルケへと移籍した。クラブは彼にキャプテンマークを与え、最終的には選手たちの反乱を主導し、監督のグロスは解雇された。
このような状況にわざわざ飛び込んでいかずとも、アーセナルでただ給与を受け取り続けることもできたわけで、この気概は評価しなくてはならないだろう。アーセナル側としては同時にムスタフィを一緒に連れて行ってくれたのも素晴らしかった。
まだ一年契約が残っているので、もしかすると数m£くらいは移籍金が得られるかもしれない。
エインズリー・メイトランド=ナイルズ
年齢: 23
ローン先: ウエストブロム
契約満了: 2023
サム・アラダイス率いるウエストブロムがナイルズの移籍先の第一希望ではなかったことは間違いないとは思うが、ウエストブロムと他クラブの大きな違いはナイルズに中盤での出場機会を約束したことで、すでに彼はこのポジションで連続出場が続いている。
例えば、これがここから10試合続いたとして、ナイルズはアーセナルで便利屋を再び務めることを望むだろうか?
アルテタはナイルズをMFとして見ていないのは明らかで、そしてナイルズはウイングバックとしてイングランド代表にすらたどり着いた。
恐らくクラブ側はナイルズを留めることも考慮するだろうが、そのためにはナイルズ自身がエミレーツで自身のポテンシャルを花開かされると信じなくてはならず、夏に彼はキャリアを左右するかもしれない決断を下すことになるだろう。
私としてはナイルズが自分の将来がアーセナルにあると考えているかは自信が持てない。
ジョー・ウィロック
年齢: 21
ローン先: ニューカッスル
契約満了: 2023
個人的にウィロックはとても好きな選手で、アーセナルに残ってほしいと思う。きちんと攻撃が機能しているチームであれば、他の選手にない中盤からの得点をもたらせる選手だと思うからだ。
その点では、私はいつもウィロックを見るとラムジーを思い出す。
外部の目線で見る限りでは、ウィロックの問題は自信にありそうだ。そろそろ彼は定期的に出場機会を得て、キャリアの勢いをつけなくてはならない時期に来ている。
当然だが、時折ヨーロッパリーグに出場するだけの選手が偉大なサッカー選手に成長できるハウもない。
ニューカッスルはニューカッスルで問題を抱えているが、スミス=ロウよりも序列が下がってしまった時点でローンを決断したのは賢い選択だったといえるだろう。
個人的には今回のローンが終わりの始まりだとは思わないし、夏にアルテタは喜んでウィロックを再び迎え入れるのではないだろうか。
ウィリアム・サリバ
年齢: 19
ローン先: ニース
契約満了: 2024
アーセナルでのここまでの経緯がサリバのプライドを傷つけたのは明らかで、最近サリバは何度もフランスメディアのインタビューでその話をしている。
もちろんこれに関しては彼を責めるわけにはいかない。アーセナルの対応は非常にまずく、サンテティエンヌでカップ戦の決勝に出場させるのを拒みまでして呼びもどしておきながら、その後ずっとユースチームでプレイさせることにしたのだから。
サリバはアルテタが公平なチャンスを彼に与えなかったと考えているようだが、もちろん、19歳の選手が守備の解決策になるのは非常にレアなので、アルテタの考えも理解はできる。
9月にローンに出すことには失敗したが、ついに彼はフランスで輝いている。ほとんどの試合で先発出場しており、他のクラブがサリバの動向を注視し始めているので、アーセナルは彼ときちんとした会話の場を設け、どのような成長をアーセナルのもと遂げられるかプランを説明すべきだ。
ここまでのところクラブはサリバはアーセナルに将来があるとコメントしているが、そうなのであれば、それを行動で証明しなくてはならない。
結果的に私はこの7人のうち5人がアーセナルを去ると予想することになったが、これに上の11人を合わせて、32人のメンバーのうち16人に移籍の可能性があるとは、今年の夏は忙しいものになりそうだ。
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