【戦術コラム】マンチェスター・シティ戦で機能したこと、機能しなかったこと 後編
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マンチェスター・シティの修正策
我々は後半にプレシングを調節しなくてはならなかった。あまりチャンスを作れなかったが、試合に勝つのに十分なだけのプレイは見せられたね。 -グアルディオラ
アーセナルとアルテタにとっては不運なことに、良い流れで前半を終えたにも関わらず、シティがハーフタイムの調整を施し、また後半主導権を握った。
シティがプレスを行う際にギュンドアンがより深い位置に下がるようになり、フェルナンジーニョがカバーしなくてはならないエリアを減らした。これにより彼はサカにより近くでついて行けるようになり、そしてカンセロはティアニーに集中できるようになった。
ギュンドアンはベジェリンへのパスをカットしようとするのではなく、ボールが出てから彼のファーストタッチを制限し、アーセナルを後ろに下げようとする方法に切り替えたのだ。
そして、これは機能した。アーセナルはより多くのリスクを冒す必要が生まれ、後半開始から57分までの間にシティは6本のシュートを記録した。
結果的にアーセナルはもう少し注意深くプレイすることを強いられた。2-0にされてしまっては、1-0から追いつくことはできないからだ。
ギュンドアンのポジショニングによりシティは前半よりもうまくカウンターに備えられるようになり、かつビルドアップで彼らを突破するのはより厄介になった。
アーセナルはこれに対する解決策を中々見いだせずに苦戦していた。ティアニーのスペースにボールを通すことはそれでもできていたが、その際にシティが守備時に数的優位の状況を作れるようになってしまったのだ。
届かないアーセナルの攻撃
もちろん、枠内シュートを一本しか打てなかったとはいえ、アーセナルがシティを脅かせなかったというわけではない。アーセナルが記録したファイナルサードへのパス29本という数字は、シティ相手の試合では今季5位の多さだし、ボックス内へのパス9本はシティの対戦相手のものとしては今季3番目に多い数字だ。
アルテタ自身も最後のパスが足りなかったと述べていた通り、いくつかあと一歩、という場面があった。
惜しい場面は3度ほどあり、このうち2つはシュートまでたどり着けず、もう一つはサカのファーストタッチにずれがあり、シュートがブロックされてしまった。
したがって、アーセナルに全くチャンスがなかったわけではないのだ。
試合の最終盤
恐らく、試合後ファンの間でより注目を集め、フラストレーションの対象となったのは、アーセナルが試合の最終盤で我々が期待したほど攻撃的にならなかった、という点ではないだろうか。
もちろんファンの気持ちは理解できなくはない。2-0で負けても勝ち点は変わらないのだ、それならば1-1にするためのリスクとして受け入れるべきではないか?というものだ。
だがこの見方からは、試合の流れと結果はアーセナルの手だけに委ねられているわけではなく、2チームによって決まるものだという目線が欠けている。
私が思うに、別にアーセナルは1-0での敗北に満足して攻撃の手を緩めたというわけではない。単純に疲れてしまい、攻撃時の精度を欠いてしまったのが試合展開の最も大きい要因だろう。
アーセナルはハイプレスをかけてシティ側のボールロストを誘う戦略は継続していたが、そういった場合にシティはロングボールを選択して、アーセナルがボールを得たとしても自陣の深い位置だった。
そして、チャンスになりそうな場面が訪れた際でも、シティはきちんと人数をかけて危険に対応した。
試合の終盤アーセナルは攻めようという意志を欠いたというよりも、この時点では単純にアーセナルのチャンス創出能力よりも、シティのそれを阻む力が圧倒的に上回っていたというだけの話だろう。
マンチェスター・シティは直近の17試合でオープンプレイから2失点しかしていないのだ。気概を見せ、一生懸命プレイするだけで攻略できるような相手ではない。
総括すると、アーセナルのパフォーマンスは良いもので、カンセロを封じ込め、素晴らしいビルドアップからサカにスペースを見つけ出せた点に関しては誇りに思ってよいだろう。
アーセナルは未だに順位表で注意に沈んでおり、がっかりのシーズンとなっているが、着実に改善を続けている。まだ時間が必要なだけだ。
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