アーセナルのこの夏の移籍市場の総括 後編
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中盤に関しては、アーセナルがアワールとパーティ二人共の獲得を望んでいたのは間違いないだろう。だが、売却が上手くいかなかったことで、エイミー・ローレンスが報じた通り、パーティ一人分の資金をねん出するのにさえオーナーからの出資が必要だった。
これにより、アーセナルは狙ったクリエイターを獲得できなかったため、自家製の選手に頼ることになるかもしれない。あるいは、オーバメヤンを中央で起用することで現在より一人多いMFを起用し解決することも出来るかもしれない。
選手自身の特性としてはパーティはクリエイターというわけではないが、それでも彼はアーセナルでプレイメイカーとしての役割を果たすかもしれない。
ドリブルで進めようと、パスで進めようとボール前進はボール前進だからだ。
また、彼はアーセナルの右のハーフスペースが抱える問題も解決してくれるかもしれない。
ここはメンバーを外れる前にエジルが下りてきてプレイしていたエリアで、彼が居なくなって以降アーセナルの右サイド、ベジェリンやペペ、ウィリアンはチームから切り離されることが増えてしまった。
ティアニーやサカ、ジャカ、ナイルズとオーバメヤンが左サイドで三角形を形成できるのとは対照的だ。
フィル・コスタのパーティ紹介の記事にある通り、アトレティコ時代に彼は右のトリッピアーへの斜めのパスを得意としており、アーセナルの右サイドの攻撃は彼のおかげでスムーズになるかもしれない
(訳注: その記事はこちら)
前線に関しては、昨季のFA杯決勝と準決勝で試合の終盤にアーセナルは攻撃的な選手交代を必要とすることはなかったが、もしそれが必要だったとしても、ピッチに送り込める攻撃的な選手はユースアカデミー卒の選手たちが多くいる。ウィリアンの獲得によりアルテタのオプションはさらに増えた。
シェフィールド戦で明らかになったように、これによりアルテタはペペを交代のカードとしてとっておくことも出来るようになった。
だが、移籍市場の成果というのは選手獲得だけでなく、売却でも測られるべきだ。
サッカー界の経済がパンデミックのせいで停滞したことに関してクラブを責めることは出来ないが、それまでの時点でアーセナルがここまで多くの売却したい(そして、誰も買いたがらない)選手を抱え込んでしまったことは、近年のアーセナルフロントの不手際の象徴だ。
だが、前体制の負の遺産は期限切れがそろそろ近づいている。
来夏にはソクラティス、ムスタフィ、ルイス、エジルが契約切れとなり、これにより膨れ上がったスカッドの給与はだいぶ減ることになるだろう。
抱える人員が多すぎ、かつ売却が上手くいかなかったことでクラブの希望に反する形でエミ・マルティネスを売却しなくてはならなくなった(もちろん、マルティネス自身の意志も大きかったとは思うが)。
時に選手売却というのは選手クラブ双方にとって良い選択肢となることがあり、今回もその一例だろう。アーセナルでの出場試合数が限られ、マルティネスの実力を測るサンプル数が非常に少なかったことを考えると、アーセナルがマルティネスに正GKの保証を与えられなかったのは無理もない話だ。
この夏の獲得の真価は時間がたってみないとわからないが、アーセナルがこの夏に多くの動きを見せたのは事実だ(オーバメヤンとサカの契約延長も含めてもいいだろう)。
恐らく、アーセナルがここまでの選手獲得を見せられたということは交渉を締結するうえでサンジェイの不在はそこまで痛手ではないということだろう。
アーセナルがまず比較的容易な獲得を早めに行い、より難しいアワールとパーティの獲得に力を注ぐという動きを見せたのは個人的には好感が持てる。
もしガブリエルやウィリアンの獲得に必要以上に時間がかかっていたら、パーティのディールを推し進めるのに必要なリソースがなかったかもしれない。
だが一応指摘しておくと、またしてもアーセナルは高給を払いキャリアのピークを迎え、再売却による資金の回収が見込めない選手を獲得した。したがって、この夏の獲得の結果が出るのを悠長に待つ余裕はなく、迅速にチームが改善されなければ、夏の獲得が成功だったとは言えないかもしれない。
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