ヨーロッパリーグはアルテタのアーセナルを一歩前に踏み出させるチャンスである
過去三年間、アーセナルにとってヨーロッパリーグがチクチクと痛むとげのような存在であ他ことは間違いない。経済的にも打撃を与えるし、選手を惹きつけるブランド力も低下するのはもちろん、木曜日と日曜日に試合が増えるのはサポーターと選手にとってストレスのもとだ。
また、特にヨーロッパリーグのグループステージの無意味さは筆舌に尽くしがたい。
恐らく多くのアーセナル関係者、サポーター、選手、フロント全員にとって、ヨーロッパリーグ優勝の一番の報酬は、翌年ヨーロッパリーグでプレイする必要がなくなることだろう。
2015年以来、ヨーロッパリーグ優勝者はCL出場権が与えらえ、これは世界中でELが軽んじられがちであることを考えると素晴らしい褒美だ。
また、これは21世紀のスポーツが置かれた状況を象徴するようでもある。トロフィー自体がおまけのようなもので、金銭的理由でCL出場権の方が重く扱われているのだから。
かつてアーセナルはCL出場権を確保するだけで、トロフィーを獲得できない残念なクラブとして扱われてきた。
だが、今や幾分状況は変わり、ベンゲルのアーセナルはスタジアム建設の借金を抱える中、単純に時代の少し先を行っていただけだということがわかってきた。
3年連続でCL出場権を逃している今、アーセナルにとってCLへの復帰は最重要課題となり、むしろそちらに執着しすぎた余りクラブの上層部はかじ取りを間違ったという風にさえ感じられる。
再売却による利益の獲得が見込めない、キャリア終盤を迎える選手に高額な給与を支払うことが増えたのに加え、契約満了が近づく選手を売却することをしなかったにもかかわらず、CL出場権を獲得できなかったことで、アーセナルは大きなダメージを受けてしまった。
だがもちろん、だからと言ってアーセナルがよりロマンチックな動機からEL優勝を目指すべきではないということにはならない。
アーセナルはヨーロッパでの大会での優勝を1994年以来果たしておらず、今季のようなに、監督が2度変わり、キャプテンすらも変わった、トラウマになってもおかしくないシーズンの最後をトロフィー獲得で飾ることが出来れば、素晴らしい出来事になるだろう。
もしこれが実現すれば、これは30歳以下のファンや、世界のファンの多くが目撃したことのないアーセナルの姿を見せることが出来る。
イングランド内でのアーセナルの評判はそこまで深刻なダメージを受けておらず、2015/16シーズンのチェルシーやホジソン/ダルグリッシュ時代のリバプールがそうであったように、数年間アーセナルが10位付近を漂っていたところで、一時的なものだと思われることだろう。
だが、世界的に見たアーセナルのブランドがそこまで強いものであるかは疑問の余地がある。近年ヨーロッパの舞台では結果を残せておらず、CL出場権は保持していたものの、率直に言って、最近は数合わせのようなもので、優勝の可能性を感じさせるような年はほとんどなかった。
ヨーロッパ大会での優勝回数に関して言えば、アーセナルはノッティンガムフォレスト、アストン・ヴィラ、そしてスパーズにも劣っており、ウエストハムと並んでいるのだ。アーセナルが履歴書を書くとすれば、唯一の欠点といっていいだろう。
したがって、ヨーロッパリーグのトロフィーを掲げることが出来れば、アーセナルのグローバルブランドの近年の棄損の埋め合わせになることだろう。
かつてベンゲルを批判する者たちは彼がCL出場権をトロフィーのように扱っているといったが、EL優勝は実際にトロフィーももたらすのだ。CL出場権と同時に優勝パレードももれなくついてくる。アーセナルの不調と運営の不手際はもう過去のものだというメッセージを発信することが出来るだろう。
本来は、2014年にアーセナルのFA杯優勝が同じような効果をもたらすはずだったのだが、アーセン・ベンゲルの魔法は失われつつあり、当時それは実現しなかった。
そこから6年が経ち、よりフロントが充実し、才能にあふれる若手監督をトップに据えたアーセナルがヨーロッパリーグを優勝する絵は今季を実りのあるものにし、より良い将来に向かう象徴となるだろう。
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